―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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眼病

『天国の福音』昭和22(1947)年2月5日発行

 近来日本人に最も多い病気として近視眼がある。医学上治療困難とされており、原因も適確には判っていないようであるが、これは延髄付近に集溜せ る毒結が、眼の栄養としての血液送流管たる血管を圧迫する事によって、眼が栄養不良に陥るためである。そうして眼鏡を用うるため、眼の力が漸次弱り眼鏡中 毒となる。従って近視眼を治癒するには、毒結溶解と共に眼鏡廃止が根本である。しかし眼鏡は急に廃(や)める訳にはゆかないから、漸次的に度を低めればい い訳である。もちろん本医術による時、軽症は半年位、重症も二、三年位にて完全に治癒するのである。
 トラホーム及び濾胞性結膜炎はいずれも眼そ のものではなく、瞼の裏面にボツボツが出来るのである。すなわちトラホームは上眼瞼でボツボツが大きく、濾胞性は下眼瞼でボツボツが小さいのである。そう して前者は治癒やや困難であり、後者は容易である。医学においてはトラホームは手術を可とするが、事実は最も不可であって、手術によるも決して根治はしな い。否むしろ悪化を招来するのである。何となれば手術後一時的良果はあるが必ず再発する。故にまた手術するという訳で漸次悪性となり、手の付けられないよ うになるものである。数回以上の受手術者に至っては眼球著しく充血し絶えず漏膿、開眼困難、激痛等を伴い苦悩はなはだしく到底正視に堪えぬものがあると共 に、手術のいかに恐るべきかを知るのである。トラホームは放任しておくも治癒するが本施術による時迅速に根治するのである。濾胞性結膜炎は自然治癒するも ので、医療を加えればそれだけ時日が延びのである。
 次に多い眼病としては血〔結〕膜炎がある。一名血眼(ちめ)ともハヤリ眼とも称し、眼球紅潮 を呈し、眼脂(めやに)、涙等が絶えず溢れ出る。原因は前額部に滞溜する毒素が浄化溶解し、眼球から排泄されようとするので放任しておくも順調に治癒す る。しかも治癒後は頭脳快適となるが、医療を施せば薬毒によって増悪し、視力障碍をさえ起す例もすくなくないのである。
 眼星(めぼし)も多い眼 疾である。これらも毒素が眼球へ集溜、瞳孔面へ固結するのである。いわば瞳孔面に小さな腫物が出来る訳で放任しておけば治癒するのである。しかるに、医家 または世人は必ず点眼薬を施すため膿が固結し、非常に治り難くなる。私の経験上全然点薬しない患者は二、三回にて大抵治癒するが、点眼を多くした患者程治 癒に長時日を要するのである。
 右の外種々の眼疾はいずれも浄化のための毒素が眼球から排泄されようとして集溜する事が原因である以上、その毒素を排泄する事によって治癒するので、その方法としては本医術による外ないのである。
  次に最も恐れられている眼病に底翳(そこひ)がある。これは白底翳、青底翳、黒底翳の三種があっていずれも眼底に毒素集溜固結するのである。その毒素とは 白底翳は白い膿、青底翳は青い膿、黒底翳は黒い毒血であって、黒底翳が最も重症とされている。医療においては充分の毒素溜結を待って眼球を剔出、眼底部の 着毒を払拭し、再びもとに復させ、手術治癒後特殊の眼鏡を用いる方法を執るのである。その結果はちょうど強度の近視眼位の視力であるが、それで満足するよ り致し方ない。しかしながら今まで全然盲目であったものがともかく幾分の視力が復するから患者の歓喜と共に、医家も医学の進歩に随喜するのであるが、本医 術の見地より観る時、右は完全治癒とは言い難く次善的方法でしかない訳である。しかるに本医術による時完全に治癒するのである。ただ薬毒の多寡によって治 癒の速度に長短があり、最も困難なるは彼の六百六号の薬毒による底翳であるが、この底翳は片眼が多いのである。
 次に鳥眼と称する夜盲症及び医学 上不治とされている色盲は、その原因が霊的であるから、その項目に譲る事とする。しかしながら眼病の大方は本医術によれば全治するのである。また悲しくも ないのに涙の出る人があるがこれは点眼薬が時日を経て変化し涙となって出るのであるから放任すれば必ず治癒する。この症状を医診では涙嚢(るいのう)の故 障とするが、これもはなはだしい誤説である。
 次に眼について知っておかねばならぬ事がある。それは眼球充血の場合紅色を呈するが、これは血液ではなく膿であって、眼に限り白色の膿が眼球に集溜する場合紅色を呈するが、膿排泄に従い紅色は消滅するのである。