―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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主の字

『光』25号、昭和24(1949)年9月3日発行

 私は常に、順序を正しくせよと言うが、この順序をタッタ一字で表わしたのが「主」の字である。今この主の字を解剖してみよう。
 上中下の横棒三本は天地人、日月地、五六七、神幽現という意味で、それを経(たて)の棒が貫き、一番上にヽ(ちょん)が乗っている、これが正しい順序で、政治でも経済でも教育宗教でも一切万事この形でゆかなければうまく行くはずがないのである、ところが、今日まであらゆるものは、大抵経緯(たてよこ)が別々で、その最も大きなものは、経の東洋思想と緯の西洋とで、離れ放れであった、ところがいよいよ時節到来、十字に結ぶ事になったのである、すなわち主の字の真中が十の字であり、上下の横棒は天と地である、つまり人間界は天地の中間であるから、人間界が十字に結ばるという訳である。これが地上天国の実相で、すなわち十字の形の神の世界である、神という言葉もその意味である。カとは火、ミとは水で火は経に燃え、水は緯に流れる、これが結んでカミという意味になるので、神御産霊(かみむすび)、高御産霊(たかみむすび)という通り、神の御働きは結びである、また仏はホトケでありホドケルであるという言霊であるから、ホドケている世界を、神が結ぶというのが、今や来らんとする神世界である、キリスト教徒が胸に描く十字架もそれの暗示であり、仏教の卍も同様の意味でただ仏教の卍は、十の字の一つ一つが枉(まが)っている、これは十の字に結ばると共に廻転が始まるという訳である、以上の意味によって政治も三段階でなければうまくゆかない、上下を真中の十でしっかり結んで上下の棒を支えている、という事は、中産階級が上層と下層との階級を調和させる役という意味にもなる、そうして一番上に大統領または総理大臣が座って支配するという意味であるから、主の形にすれば、何事も破綻なくうまくゆくのである、会社経営でも団体運営でも理屈は同じで吾らが常に唱うるミロクの世の姿である。