―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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近頃の世相

『栄光』214号、昭和28(1953)年6月24日発行

 今日の世相をつくづく見てみると、不可解な点が余りに多いのは、何がためかをかいてみよう。それには色々あろうが、その第一は近頃のごとく各地に大中小の火災の多い事で、その損害高も相当の額に上るというのである。これには人間に分らない何かの原因がなくてはならないと誰しも思うであろうし、その他交通事故にしても、ヤレ衝突、脱線、墜落等々、その都度(つど)人畜の被害も中々馬鹿にはならないものがある。その他最も悪質なものとしては、つまらぬ事で喧嘩、殴合(なぐりあ)い、殺傷沙汰など、人間の命を余りに軽く見過ぎる態(ざま)は、普通の頭では解釈出来ない。また僅かな金を奪(と)るために簡単に人を殺すなどもそうで、彼(か)の運チャンの首を締めて、僅か千円か二千円の金を奪うなど、人の命を見る事敝履(へいり)のごとしである。
 右は男性に関する事だが、女性の方も感心出来ない事が沢山ある。その中で最も情ないと思うのは貞操観念の低下である。吾々としても封建時代のような堅苦しい事は言いたくないが、その反動でもあろうが現在のようではどう考えても行過ぎとしか思えない。近頃町を歩いても、公々然とむしろ誇らし気にパンパン嬢が外国兵と腕を組んで横行している有様は、これらも止むを得ないという理屈もあろうが、一種の国辱的感がするのは誰しもそうであろう。これをたとえてみると人間の肉体の汚いところは出来るだけ人に見せないようにするのが本当である。
 以上は気の付いたままかいたのであるが、ではこれらの原因は一体どこにあるかというと、これこそ吾々の神霊医学を通して見ればよく分る。それは今日の人間程薬を多く用ゆる時代はなかったであろう。つまり薬を多量に体内へ入れ、一方近代文化生活は頭脳を酷使するため、薬という毒物は頭脳目掛けて集溜し固結する。その個所は後頭部及び延髄付近であるから、どんな人でも右の部を触れば必ず判ると共に、それが溶けるための微熱も必ずある。そこでその固結が脳の血管を圧迫するため、常に軽い脳貧血が起っていると共に、微熱は脳に影響して脳の活動を鈍らす。そのような訳で今日の人間は頭が痛い、重い、ボンヤリする、焦々(イライラ)する、考えが纏(まとま)らない、気が塞(ふさ)ぐ、悲観的となる、というような症状のない人はほとんどあるまい。これを医学では神経衰弱というのである。そうして薬毒の固結排除活動が発(おこ)る。すなわち浄化作用である。これが感冒、下痢、胃病、肺病、心臓病、不眠、精神病、赤痢、疫痢等の原因となるに対し医学では全然分らないから逆な療法を施(ほどこ)す以上、増えるとも減るはずはないのである。ところがこの原理が徹底的に分る所は我救世教より外になく、しかもそれを完全に治す方法が我浄霊医術であるから、何が何でも右の症状のある人は、まず薬をやめて本教へ来る事である。それによって右の苦痛は拭(ぬぐ)ったように去り、明朗愉快な人生を送り得ると共に、社会的には事故、犯罪、貧乏、争い等々解消するとしたら、これが地上天国を作る宗教でなくて何であろう。

(注)
敝履(へいり)、破れたくつ。使い物にならないはき物。