―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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地球は呼吸する

『信仰雑話』P.55、昭和23(1948)年9月5日発行

 あらゆる生物は呼吸しているという事は誰も知っているが、実は植物も鉱物も、その他万有はことごとく呼吸している。そうして地球も呼吸していると言ったら、ちょっと意外に思うかも知れないが、左に説くところによってなる程と肯くであろう。
 そもそも、地球は一年に一回呼吸する。息をはき始める時が春で、漸次吐きつつ極点に達した時が夏である。地球の吐く息も人間と同じように温かい。それは地熱の放散によるからで、春になればそれが濃く、万有は生育しはじめ、まず草木が萌え始める。あらゆる物は上方に向かって伸び、人間も浮き浮きする。夏になるに従い草木はいよいよ繁茂し、極点に達した時、今度は地球が息を引き始めるから、草木は凋落し、万物はすべて下降状態となり、人間も冷静になる。それがまた極点に達したときが冬であって、これが大自然の姿であるが、地球が吐く息は地の霊気で、科学でいう窒素であるから、草木が成長するのである。この窒素なるものは、不断に上昇しつつ空気の存在する高さまで上昇集積され、雨によって再び地中へ還元する。これが天然の窒素肥料である。この意味において、空中から特に窒素を採り、それを肥料にすることは過っている。なる程、一時は窒素肥料によって作物の収穫が殖えるが、長く持続するときは、土壌は窒素中毒を起こし、痩土と化す。その理由は、窒素過剰結果として土壌自体の活動力が鈍化するからである。人も知るごとく、窒素肥料は第一次欧州戦争のとき、ドイツにおいて発明せられたものであるが、戦時に際し一時的収穫を増そうとする場合、その目的に適うからよいが、戦争が済み、平時となればやめるべきである。
 次に、太陽の黒点について昔から種々論議されているが、これも太陽の呼吸運動である。黒点は十一年目に増大するといわれているが、増大する時ははく息が極点に達した時である。また今までよく言われた、月の光は太陽の光の反射であるとされているが、同様太陽の燃えるのは、月からの水気による事を知らなくてはならない。また、月は二十八日で盈虧がすむが、これも月の呼吸運動である。

(注)
盈虧(えいき)、満ち欠け