―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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薬毒の恐怖

『栄光』173号、昭和27(1952)年9月10日発行

 あらゆる病原は薬剤である事は、私の常に唱えているところであるが、これについて一層深く突込んでかいてみると、右の原理を常に頭に置いて診査すればよく分る。たとえばこの病気は何の薬を服んだためとか何の注射のためとか、何を塗布したからだとか、洗滌したからとかを考えてみるのである。仮に盲腸炎にしろこれはいつ何の薬を服んだから、消毒薬を用いたからと考える。言うまでもなくその薬毒が膿化し、盲腸部に固結したものだからである。また胃に関する病気にしても、何の薬を何年間服み続けたからだとか、この神経痛は、リョウマチスは、腫物は、ひょう疽は、脱疽等々もそうであり、頭痛、眼、鼻、耳、歯痛、歯槽膿漏、扁桃腺炎、声嗄れ等、何も彼も原因は薬であるから、必ず見当はつくはずである。また薬を用いた事のない子供とすれば、もちろん親の薬毒が遺伝したものであるから、その気で考えれば直ぐ分るはずである。
 というようにほとんど想像もつかない訳であるから、恐ろしい話である。しかし我神霊医学を修得すれば根本が薬毒である事が分る以上、病気の心配から解放されるのである。そうして歯痛の原因が盲腸手術のためがよくあるのも、ちょっと意外に思うであろうし、あらゆる手術の際の消毒薬が色々な痛みの原因になる事も、非常に多いものであるから、身体のどこかに激しい痛みや、執拗な痛みのある場合、既往の手術を想い出せば必ず肯くであろう。また歯槽膿漏の原因が腎臓萎縮による余剰尿が上へ昇るためと知ったら驚くの外ないであろう。その他数え上げればキリがないから、この辺で止めておくが、要するに万病ことごとくの原因は薬毒なりと知ればいいので、これだけでもその人は安心立命を得たのである。