――― 岡 田 自 観 師 の 御 歌 集 ―――

 明麿近詠集 昭和24年11月30日発行 486首収録

 

     
  序 文

  この歌集は、昭和十一年より最近までのもので、忙中の間折に触れ時に臨み、出づるがままの感想をものしたものである。故に神歌あり道歌あり舒情歌あり、舒 景歌あり、多感多彩である私が経て来た信仰生活の一面が織込まれているのは勿論で、特に信仰人としては何物か心の糧を見出すであろう。
 この書の数ある歌の中には、深き神秘を含むものもあるが、これは読む人の身魂次第に映るのであるから、一字一句も忽(ゆるが)せにせず心を罩(こ)めて読まれん事である。

  昭和二十四年十月
      熱海の寓居にて
                   東 山 明 麿
 
     

 

     
    元 旦(がんたん)  
1 ひんがしの そらあかあかとにちりんは くもをやぶりてのぼりそめける
ひむがしの 空あかあかと日輪は 雲をやぶりて昇り初めける
S11. 1. 1
2 よのおわり いよいよちかみおおいなる ひかりはいましのぼらんとすも
夜の終り いよいよ近み大いなる 光は今し昇らんとすも
S11. 1. 1
3 ふじのゆき あかねにそめてにちりんは いましみそらにかがやきそめける
富士の雪 茜にそめて日輪は 今しみ空に輝き初めける
S11. 1. 1
4 おおふじの ゆきくれないにひはそめぬ はじらうおとめのおもわにもにて
大富士の 雪くれないに日は染めぬ はじらう乙女の面わにも似て
S11. 1. 1
     
    春の訪れ  
5 かれのはら てらすひざしにはるみえて なんとはなしにのどけさのきょう
枯野原 照す陽射しに春みえて 何とはなしにのどけさの今日
S11. 2.13
6 あさけれど はるはみえけりこみぞがわ みずのせせらぎかそかながらも
浅けれど 春は見えけり小溝川 水のせせらぎかそかながらも
S11. 2.13
7 はるきぬる はたけにのこんのゆきあれど つめたからなくうすらかぎらう
春来ぬる 畑に残んの雪あれど 冷たからなくうすらかぎらふ
S11. 2.13
8 きさらぎの すえともなればはるめきて ふゆかればやしまひにあかるき
如月の 末ともなれば春めきて 冬枯林真陽に明るき
S11. 2.13
9 いなかみち とおりすがりにめにつくは つちのなだりにはるにじむいろ
田舎道 通りすがりに眼につくは 土のなだりに春にじむ色
S11. 2.13
10 みはるかす かれももばやしうすらにも かぎろいみえぬはるちかむるや
見はるかす 枯桃林うすらにも かぎろひ見えぬ春近むるや
S11. 2.13
11 はるのひの のどかなひかりにせいせいし むぎのほだちのととのいみえて
春の日の のどかな光に生々し 麦の穂立のととのひ見えて
S11. 3.29
12 ひびかよう のべのみちしばあおずみて はたけのはるもひろごりにける
日々通ふ 野辺の道芝青ずみて 畑の春もひろごりにける
S11. 3.29
13 おとたてて はるさめならぬあまおとに こころみだるるひもすがらなる
音立てて 春雨ならぬ雨音に 心みだるる日もすがらなる
S11. 3.29
14 さみだれと おもうばかりにおとたつる はるさめのひのうっとうしけれ
五月雨と 思ふばかりに音たつる 春雨の日のうつとうしけれ
S11. 3.29
15 ゆずりはの みどりすがすがしあさばれの さつきのそらのしたをくぎろい
ゆづり葉の 緑清々し朝晴れの 五月の空の下をくぎろひ
S11. 3.29
16 たんぽぽは いまさかりなりしかすがに はるはにわべにふかまりにつつ
たんぽぽは 今盛りなりしかすがに 春は庭辺に深まりにつつ
S11. 3.29
     
    真 理  
17 ぜんあくを きめたるせつなしんりちょう ものはせんりのさきににげたる
善悪を 決めたる刹那真理てふ ものは千里の先に逃げたる
S11. 5.15
18 ゆきしもを しのぎしのぎてこのはなの さくやもたらすかみのよのはる
雪霜を しのぎしのぎて兄の花の 咲やもたらす神の代の春
S11. 5.15
19 とこはるの ひがんはろかにみゆるなり おしえのみふねにすすみゆくみは
常春の 彼岸はろかに見ゆるなり 教の御舟に進み行く身は
S11. 5.15
20 いちりんの しぐみはうらのまたうらの そのまたうらのうらのうらなり
一厘の 仕組は裏の又うらの 其又裏の裏のうらなり
S11. 5.15
     
    美しき此世  
21 とことはに おおあめつちのさかゆるは もものうごきのくるいなければ
永遠に 大天地の栄ゆるは 諸の動きの狂ひなければ
S11. 5.**
22 いとやすき かみのまみちをよそにして なやみつづくるひとのおろかさ
いとやすき 神の真道をよそにして なやみつづくる人の愚かさ
S11. 5.**
23 つつがなく ひとひのわざをなしおえて かえればたのしくさいしまちおり
恙なく 一日の業をなしおえて 帰れば楽しく妻子待ちをり
S11. 5.**
24 あめつちに はじぬあかるきたのしみを たのしむひとこそしあわせびとなる
天地に 恥じぬ明るき楽しみを たのしむ人こそ倖せ人なる
S11. 5.**
25 むつましく さいしとかたらいゆうげする こよなきたのしさあるよなりけり
睦しく 妻子と語らひ夕餉する 此上なき楽しさある世なりけり
S11. 5.**
26 こうみょうの かがやくみちへねもごろに みちびきたもうかんぜおんかも
光明の 輝く道へねもごろに 導きたもふ観世音かも
S11. 5.**
27 かぎりなく さかえゆくらんかんのんぎょうは かみのさだめしまみちにありせば
限りなく 栄えゆくらん観音行は 神の定めし真道にありせば
S11. 5.**
28 ひととして ふむべきみちとつとむべき わざとしあるなりゆめなくるいそ
人として ふむべき道と務むべき 業としあるなり夢な狂ひそ
S11. 5.**
29 よきことを かさねあかるくひをおくる ひとははてなくさかえゆくなり
善き事を 重ね明るく日を送る 人は果なく栄えゆくなり
S11. 5.**
30 やすらけく たのしくいくるひとのよと すのおおかみはつくられしなる
安らけく 楽しく生くる人の世と 主の大神は造られしなる
S11. 5.**
31 めにみえぬ むげのこうみょうまくばりつ よをきよめますうづのみほとけ
目に見えぬ 無碍の光明間くばりつ 世を浄めますうづの御仏
S11. 5.**
32 いとたかき かみのめぐもうちえこそは こよなきひとのちからなりけり
いと高き 神の恵まふ智慧こそは 此上なき人の力なりけり
S11. 5.**
33 こんこんと いずみのごとくわきいづる みょうちをたまうかんのんかしこし
滾々と 泉の如く湧きいづる 妙智を賜ふ観音畏し
S11. 5.**
34 あめつちと むだはてもなくさかゆるは かんのんぎょうのみちにぞありける
天地と むだ果もなく栄ゆるは 観音行の道にぞありける
S11. 5.**
     
    玉 川 郷  
35 しらゆきを かつぐふじがねすがしくも うつすたまがわまたなくよろしも
白雪を かつぐ富士ケ嶺清しくも うつす多摩川又なくよろしも
S11. 5.**
36 ふじがねを はろかにながめたまがわの きよきながれをなつかしむさと
富士ケ嶺を はろかに眺め玉川の 清き流をなつかしむ郷
S11. 5.**
37 つきゆきに はなにとりのねむしのこえ あかぬながめのたまがわのさと
月雪に 花に鳥の音虫の声 あかぬ眺めの玉川の里
S11. 5.**
38 だいこうみょう にょらいこのどにあもりなば あめがしたにはさやるまがなし
大光明 如来此土に天降りなば 天ケ下にはさやる曲なし
S11. 5.**
39 すみつきて しきのながめにことかかじ かみのさだめしそのにしあれば
住みつきて 四季の眺めに事かかじ 神の定めし苑にしあれば
S11. 5.**
40 みちのべに さくはなにさえさだめあり とこにいけらるものもありせば
途の辺に 咲く花にさえ運命あり 床に活けらるものもありせば
S11. 5.**
41 はなちれど みはみのるらんあめつちは さかえはてなきものにしあれば
花ちれど 実はみのるらん天地は 栄え果てなきものにしあれば
S11. 5.**
42 こんじきの ひかりまばゆくかがやいて くもよりくだるめしやかんのん
金色の 光まばゆくかがやいて 雲より降るメシヤ観音
S11. 5.**
     
        
43 ながまなこ めしいにありやながみみは きくらげなりやみちきらうとは
汝が眼 盲にありや汝が耳は 木耳なりや道きらふとは
S15.12.23
※全集未収録
44 よきことを あしとみらるるよにありて なにをかせんやふところですも
善き事を 悪しとみらるる世にありて 何をかせんや懐手すも
S15.12.23
45 よのために つくすまびとはいつのよも いばらのみちをくぐるものにや
世の為に 竭す真人は何時の世も 茨の道をくぐるものにや
S15.12.23
46 さかしらの よのつづかめやみひかりの かがやきそむればたださるならん
逆しらの 世の続かめや御光の 輝き初むれば釐さるならん
S15.12.23
47 よのおわり ちかむけはいのひしひしと みにせまるなりよびとめざめよ
世の終り 近む気配の犇々と 身に迫るなり世人目覚めよ
S15.12.23
48 いかならん いたつきとてもいやすすべ もてどほどこすよしなきよにもや
如何ならん 病きとても癒す術 もてど施すよしなき世にもや
S15.12.23
49 くしびなる わがさだめかもかみほとけ ひとかあらずかとくよしもなき
奇びなる わが運命かも神仏 人かあらずか解くよしもなき
S15.12.23
50 きりすとも しゃかもふたたびうまれこよ なれとわれとのちからためさん
基督も 釈迦も再び生れ来よ 汝と吾との力試さん
S15.12.23
51 あるときは ぼさつともなりあるときは にょらいともなりよびとすくわん
或時は 菩薩ともなり或時は 如来ともなり世人救はん
S15.12.23
52 ちょうじんの ちからかくしてすさみゆく このうつしよをしずかにみまもる
超人の 力隠して荒みゆく 此現世を静かに視護る
S15.12.23
53 あたらしき よぞうまんとしくになやみ ひとはあえぎてつくるをしらず
新しき 世ぞ生まんとし国悩み 人は喘ぎて尽くるを知らず
S15.12.23
54 よのおわり きたらんとしてみすくいの ひかりはしずかにのぼりそめけり
世の終 来らんとして御救の 光は静かに昇り初めけり
S15.12.23
55 ひとびとは いろをうしないものはみな ほろびんとしてめしやくだらん
人々は 色を失ひ物は悉 滅びんとして救主降らん
S15.12.23
56 えいこうの くもにかがやきもろもろの かんこのこえにくだるきりすと
栄光の 雲に暉き億兆の 歓呼の声に降るキリスト
S15.12.23
57 まがかみに かつときはきぬもものみの たまはわがてにいまはいらんとすも
曲神に 勝つ時は来ぬ桃の実の 玉はわが掌に今入らんとすも
S15.12.23
58 おおかみの はかせたまいしこのつるぎ あだなすしこぐさうちきりはらわん
大神の 佩かせ給ひし此剣 仇なす醜草打伐り払はん
S15.12.23
59 にょいのたま ふるわんときぞせまるらし このうつしよのさまをしみれば
如意の珠 揮はん時ぞ迫るらし 此現し世の状をしみれば
S15.12.23
60 こしかたを ふりさけみればよのつねの ひととあまりにちがうわれはも
越方を 振さけみれば世の常の 人とあまりにちがふ吾はも
S15.12.23
61 いくちたび やまさかこえてようやくに やすけきみちにきしここちすも
幾千度 山坂越えてやうやくに 安けき路に来し心地すも
S15.12.23
62 ゆくてには こうみょうみえてむねぬちに きぼうのいずみわきいづるなり
行手には 光明見えて胸ぬちに 希望の泉み湧き出づるなり
S15.12.23
63 このちから ああこのちからうちふるう ときのきつるのもどかしきかな
此力 嗚呼此力打揮ふ 時の来つるのもどかしきかな
S15.12.23
64 こうりゅうも ときをえざればちのそこに ひそみかくるるほかなかりけり
蛟龍も 時を得ざれば地の底に 潜み隠るる外なかりけり
S15.12.23
65 おもしろし ああおもしろしおにがしまの まつろうときのちかまるらしも
面白し あゝ面白し鬼ケ島の 服ふ時の近まるらしも
S15.12.23
66 しろきものを くろとみくろきをしろとみる よのさかしらをたださでおかめや
白きものを 黒と見黒きを白とみる 世の逆しらを正さでおかめや
S15.12.23
67 あらしふく しおのやしおぢこえにきつ ひがんみゆるぞたのしかりける
嵐吹く 潮の八潮路越えに来つ 彼岸みゆるぞ楽しかりける
S15.12.23
68 ひとのやまい いやしのすべをよのやまい いやしのすべにひろげんとするわれ
人の病 医しの術を世の病 医しの術に拡げんとする吾
S15.12.23
69 くにとくに ひととひととのはてもなき いさかいとむるはかみのほかなき
国と国 人と人との涯もなき 争ひ止むるは神の外なき
S15.12.23
70 うみちかく こむらありけんそのあした おきいでみればけむりほのみゆ
海近く 小村ありけむその朝 起きいでみれば煙ほの見ゆ
S16. 1. 1
71 ほのぼのと うみべはあけぬやまかげに しづがふし〔せ〕やのいつつむつみえ
ほのぼのと 海辺は明けぬ山かげに 賤が伏屋の五つ六つ見え
S16. 1. 1
72 はつひので のぼるにつれてうみちかき ささやささやにはたなどみゆも
初日の出 昇るにつれて海ちかき 小家小家に旗などみゆも
S16. 1. 1
73 ひんがしの そらあかりしぬいさりびと ふねだすらしくきしにうごめく
ひむがしの 空明りしぬ漁りびと 舟出すらしく岸にうごめく
S16. 1. 1
74 あさまだき とうげくだればうみちかき むらのいえいえけむりたつなり
朝まだき 峠下れば海ちかき 村の家々けむり立つなり
S16. 1. 1
75 わざわいは いよいよしげくくにぐにの たみあえぐなりさらつよちかし
禍は いよいよ滋く国々の 民喘ぐなり新つ世幾し
S16. 1.22
76 ちょうじんの ちからによらでいかにして くずれゆくよをささえうべきや
超人の 力に依らで如何にして くづれゆく世を支え得べきや
S16. 1.22
77 ひさかたの くもいにそびゆるふじがねの けだかきすがたによをぞわするる
久方の 雲井に聳ゆる富士ケ嶺の けだかき姿に世をぞ忘るる
S16. 1.22
78 ぬばたまの やみよにあれどゆくてには こうみょうかがやくわれらにぞある
奴羽玉の 暗世にあれど行手には 光明輝く吾等にぞある
S16. 1.22
79 おおいなる かみのめぐみをうくみには いかならんよのきぬとてやすけし
大いなる 神の恵を受く身には 如何ならん世の来ぬとて泰けし
S16. 1.22
80 るいらんの あやうきよとはなりにける かみにいのらでいかにとやなん
累卵の 危き世とはなりにける 神に祈らで如何にとやなん
S16. 1.22
81 まがつよの ほろぶにつれてまことなる ひとのかがやくときのうれしさ
曲津世の 滅ぶにつれて真なる 人の暉く時のうれしさ
S16. 1.22
82 きりすとや しゃかにもまさるすくいぬし あもらざりせばよはいかならめ
基督や 釈迦にも優る救主 天降らざりせば世は如何ならめ
S16. 1.22
83 ちのうえの よろずのわざわいぬぐいさり てんごくたつるときぞまたるる
地の上の 万の禍ひ拭ひ去り 天国建つる時ぞ待たるる
S16. 1.22
84 ちのうえの あだはほろびてあたらしき ただしきみよのあるるうれしさ
地の上の 仇は滅びて新しき 正しき御代の生るるうれしさ
S16. 1.22
85 はてもなき このどのうえのわざわいは かみのみそぎのわざにぞありける
果もなき 此土の上の禍ひは 神の禊の業にぞありける
S16. 1.22
86 まちわびし てんごくらくどはわれらすむ このちのうえにうちたつるなり
待ち佗びし 天国楽土は吾等住む 此地の上に打ち樹つるなり
S16. 1.22
87 あらしふく よをよそにしてふうげつを ともとしわれはしずかにいきなん
嵐吹く 世を他所にして風月を 友とし我は閑かに生きなん
S16. 1.22
88 このひごろ えふでにいそしみあくときは はろかなふじをながめつたらう
この日ごろ 絵筆にいそしみ飽く時は はろかな富士を眺めつ足らふ
S16. 1.22
89 いやかたき まことのみちをあゆむみは いかならんよのくるもおそれじ
弥固き 真の道を歩む身は 如何ならん世のくるも懼れじ
S16. 1.22
90 えがくひま まどのとみればたまがわの ながれきよけくふじははろかなる
描くひま 窓の外見れば玉川の 流れ清けく富士はろかなる
S16. 1.22
91 よのやまい いやせとてもやおおかみは わがあゆむみちかえたまいける
世の病 医せとてもや大神は 我歩む道換へ給ひける
S16. 1.22
92 ふじがねの しらゆきたまのましみずに こころあらえとやかみのみむねの
富士ケ嶺の 白雪多摩の真清水に 心洗へとや神の御むねの
S16. 1.22
     
    元伊勢に詣でて  (於琵琶湖ホテル)  
93 あまてらす くにやすかれときょうはしも いせのみみやにいのりけるかな
天照す 国安かれと今日はしも 伊勢の神宮に祈りけるかな
S16. 5.23
94 あこがれの もといせにきてかみつよの かしこきことのおもいづるかも
あこがれの 元伊勢に来て上つ代の 畏き事の思いづるかも
S16. 5.23
95 まがかみの さやるくにばらしずめさせ たまえといのりぬいせのみみやに
曲神の さやる国原鎮めさせ 玉へと祈りぬ伊勢の神宮に
S16. 5.23
96 ぬばたまの やみをはらしてあきらけき よとなさしめよいせのおおかみ
奴羽玉の 暗を晴らして明けき 世となさしめよ伊勢の大神
S16. 5.23
     
    箱根熱海紀行  
97 かんれいの もみじめでんとこのあした かどをいづればあきぞらたかし
函嶺の 紅葉賞でんと此朝 門を出づれば秋空高し
S16.10.**
98 はれすみし あきぞらくぎりやまなみは むさしののすえはてなにみゆも
晴澄みし 秋空くぎり山並は 武蔵野の末果てなにみゆも
S16.10.**
99 ゆぎょうじに くるまをとどめもうづれば かんじゃくにしてがらんふりける
遊行寺に 車を止め詣づれば 閑寂にして伽藍古りける
S16.10.**
100 ふじさわや つじどうあたりまつなみき つづかいむかしのたびをしのびぬ
藤沢や 辻堂あたり松並木 つづかひ昔の旅を偲びぬ
S16.10.**
101 あきなれや しぎたつさわにさいぎょうの あわれとどめぬいまのよにまで
秋なれや 鴫立沢に西行の あはれとどめぬ今の世にまで
S16.10.**
102 ひらつかや おおいそこえてまつのまに はやみえそめぬはこねのやまやま
平塚や 大磯越えて松の間に はやみえそめぬ箱根の山々
S16.10.**
103 いさりぶね みつよつういておだわらの うみはあきひのもとにしずけし
漁船 三つ四つ浮いて小田原の 海は秋日の下に静けし
S16.10.**
104 あたみなる おおのやのやどのよんかいの おばしまにたいへいようをひさにながめぬ
熱海なる 大野屋の宿の四階の おばしまに太平洋を久に眺めぬ
S16.10.**
105 じゅっこくとうげ くるまのまどゆのぞきみれば まなづるあたりのうみえのごとし
十国峠 車の窓ゆのぞきみれば 真鶴あたりの海絵のごとし
S16.10.**
106 さわやかな あきのさんきをこころゆく ばかりすいつつきょうをたらいぬ
爽やかな 秋の山気を心ゆく ばかり吸ひつつ今日を足らいぬ
S16.10.**
107 あきあさく もみじにはまだはやけれど めずらしきはなわがめをうばう
秋浅く 紅葉には未だ早けれど 珍らしき花わが眼をうばう
S16.10.**
108 ろうさんの ひるなおくらきみちぬけて はこねじんじゃにもうでけるかな
老杉の 昼尚暗き径抜けて 箱根神社に詣でけるかな
S16.10.**
109 かみやまや こまがたけなどもみじあさく ゆのまちいまだあきひそかなり
神山や 駒ケ嶽など紅葉浅く 温泉の町いまだ秋ひそかなり
S16.10.**
     
    立  春  
110 ほのぼのと あけゆくあさのしずもりを ひとひらふたひらさくらばなちる
ほのぼのと 明けゆく朝の静もりを 一片二片桜花散る
S17. 4.10
111 じゃはほろび せいはさかゆるたるみよの きつるよろこびひたにまつなり
邪は滅び 正は栄ゆる足御代の 来つる喜びひたに待つなり
S17. 4.10
112 ちょうじんの ちからかくしつひとのため よのためふるうときぞまたるる
超人の 力秘しつ人の為 世の為揮う時ぞ待たるる
S17. 4.10
113 おおいなる しめいにいくるわれにして つきにあくがれはなをぞたのしむ
大いなる 使命に生くる吾にして 月にあくがれ花をぞ楽しむ
S17. 4.10
114 せいこううびょう はるふかみゆくこのひごろ にわづくりなどたのしむもわれ
晴耕雨描 春深みゆく此日比 庭造りなど楽しむも吾
S17. 4.10
115 たまがわを ましたにふじのれいほうを はろかにながむるわがいおのにわ
玉川を 真下に富士の霊峯を はろかに眺むる吾庵の庭
S17. 4.10
116 あさやけの そらをうずめてわがにわの さくらはいましさきさかりおり
朝やけの 空をうづめて吾庭の 桜は今し咲き盛りをり
S17. 4.10
117 えがきつつ あくればにわにおりたちて はななどめでつさすらいにける
描きつつ 飽くれば庭に降りたちて 花など愛でつさすらひにける
S17. 4.10
118 わがにわの ながめのよきをしりにける こぞおちこちのたびをめぐりて
吾庭の 眺めの好きを知りにける 去年をちこちの旅を巡りて
S17. 4.10
119 えがきつつ おりおりまどのそとみれば もももさくらもいまさかりなり
描きつつ 折をり窓の外みれば 桃も桜も今盛りなり
S17. 4.10
120 みもしらぬ かずかずのひとすくわるる はなしなどききたらうこのよい
見も知らぬ 数かずの人救はるる 話など聞き足らう此宵
S17. 4.10
     
    還暦の歌  
121 もとつこよみに かえりしきょうゆわがいのち ひとのよのためいやつかわめや
本つ暦に 還りし今日ゆわが生命 人の世の為いや尽わめや
S17.1223
122 たまきはる こころにちかえりぐせのため ひたにつくさんきょうをさかいに
魂機張る 心に誓えり救世の為 ひたに尽さむ今日を境に
S17.1223
123 ただならぬ よとはなりけりおおかみの まもりあるみのなどおそれなん
ただならぬ 世とはなりけり大神の 守りある身のなど恐れなん
S17.1223
124 かむながら かみのまにまにすすまなん まがのさえぎるみちせまくとも
惟神 神のまにまに進まなん 曲の遮ぎる道狭くとも
S17.1223
125 ろくじゅうねん ふりさけみればやえむぐら いばらのみちしよくぞこえきし
六十年 振りさけみれば八重葎 茨の道しよくぞ越え来し
S17.1223
126 おおいなる しめいにいくるわれにして ちからかぎりによぞすくわなん
大いなる 使命に生くる我にして 力限りに世ぞ救はなん
S17.1223
127 いたつきに なやめるひとびとみるなべに むねのちしおはもえたぎるなり
病きに 悩める人びと見るなべに 胸の血潮は燃え沸るなり
S17.1223
128 かむながら きょうのよきひをむかえてゆ いざだいどうをむみいでんかな
惟神 今日の吉き日を迎えてゆ いざ大道を履み出でんかな
S17.1223
129 あくはほろび ぜんはさかゆるあくがれの ただしきみよはあれなんとすも
悪は滅び 善は栄ゆるあくがれの 正しき御代は生れなんとすも
S17.1223
130 いまはしも むそぢのさかをのりこえて きゅうせいいちずのさらつのいのちよ
今はしも 六十路の坂を乗り超えて 救世一途の新つの生命よ
S17.1223
131 まがつかみ しきりにすさぶるこのときぞ せかいじんわれはふるいたつなり
曲津神 荐りに荒ぶる此秋ぞ 世界人吾は奮ひ起つなり
S17.1223
132 いさかいと うえとやまいのはてしなき よはかみのみがちからなりけり
争ひと 飢と病の果しなき 世は神のみが力なりけり
S17.1223
133 うるわしき うましのみよはあれんとし うみのなやみのときぞいまなる
麗はしき 美しの御代は生れんとし 生みの悩みの時ぞ今なる
S17.1223
134 こうせいの よきひむかえてわれはいま きぼうわきみちむねおどるなり
更生の よき日迎えてわれは今 希望湧き満ち胸躍るなり
S17.1223
135 やまやたに いばらのみちもふみわけて きょうのよきひにめぐりけるわれ
山や谷 茨の道も踏み分けて 今日の吉き日にめぐりけるわれ
S17.1223
     
    立  春  
136 ことしはも たつはるのひのいとふかき いぎありなんとひそかにおもう
今年はも 立つ春の日のいと深き 意義ありなんと私かにおもう
S18. 2. 5
137 ちはやぶる かみのみわざはみだれたる みちもただしくたてなおしまさん
千早振る 神の御業は乱れたる 道も正しく建て直しまさむ
S18. 2. 5
138 とこやみの よはあけぬらんことしはも たつはるのきょうさかいともなり
常暗の 世は明けぬらむ今年はも 立つ春の今日境ともなり
S18. 2. 5
139 ながきよの ひとのいのちをうちひらく かぎこそいやしのみわざなるらん
永き夜の 人の生命を打開く 鍵こそ医しの神業なるらむ
S18. 2. 5
140 ふたつなき とうときいのちあやまれる いやしのわざにほろぶこひつじ
二つなき 尊き生命誤れる 医しの業にほろぶ小羊
S18. 2. 5
141 かみのため つくすとうときいのちなり などいたつきにかかるべしやは
神の為 尽す尊き生命なり など病きに罹るべしやは
S18. 2. 5
142 とうとくも かみよりうけしいのちなれば おろそかにすなみちをしまもりて
尊くも 神より禀けし生命なれば 疎かにすな道をし守りて
S18. 2. 5
143 すこやかに ひとのつとめをはたすこそ かみのめぐみにむくゆなりけり
健かに 人の務を果すこそ 神の恵みに報ゆなりけり
S18. 2. 5
144 あめがした このどのうえにやむひとの なきよつくらんわがねがいかも
天ケ下 此土の上に病む人の なき世造らんわが願ひかも
S18. 2. 5
145 おおけなや かみのまもりのあつくして わがなすわざのひびにさかゆる
おほけなや 神の守りの渥くして わが作す業の日日に栄ゆる
S18. 2. 5
146 ゆめにだも おもわぬのぞみしとげなむ やまいのなやみなきたるみよを
夢にだも 想はぬ望み仕遂げなむ 病の悩みなき足御代を
S18. 2. 5
147 あやまれる いやしのすべにむらきもの いのちちじむるあわれよびとよ
誤れる 医しの術に村肝の 生命縮むるあはれ世人よ
S18. 2. 5
148 たましらぬ いやしのすべにふたつなき いのちをすつるとこやみのよや
霊知らぬ 医しの術に二つなき 生命を捨つる常暗の世や
S18. 2. 5
149 うたてきは くすりのどくをしらずして いのちちぢむるひとにありける
歎てきは 薬の毒を知らずして 生命縮むる人にありける
S18. 2. 5
150 いたつきを いやさんとしていたつきを ますくすりのむあわれよのひと
病きを 医さんとして病きを 増す薬のむあはれ世の人
S18. 2. 5
151 やまいなく ひんなくあらそいなきみよを うちたてんとしてよるひるいそしむ
病なく 貧なく争なき御代を うち樹てんとして夜日いそしむ
S18. 2. 5
152 もろびとの とどかぬねがいとあきらめし やまいなきよをわれうちたつるなり
諸人の とどかぬ願とあきらめし 病無き世を吾打建つるなり
S18. 2. 5
153 しろがねも こがねもたまもなにかあらん いのちにまさるたからなければ
銀も 黄金も珠も何かあらむ 生命に勝る宝なければ
S18. 2. 5
154 ためしなき さらつのみよをたてんとし このどきよむるうづのかむわざ
例しなき 新つの御代を樹てんとし 此土浄むる珍の神業
S18. 2. 5
155 くにぐにの わざわいいよよふかまりぬ さらつのみよのあるるきざしや
国々の 殃ひいよよふかまりぬ 新つの御代の生るるきざしや
S18. 2. 5
     
    立春其他  (於東京大東亜会館発表)  
156 としごとに はるたちそむるきょうのひを まことのひとたちよせてほぐわれ
年毎に 春立ち初むる今日の日を 誠の人たち集せて祝ぐ吾
S19. 2. 5
157 あずさゆみ はるたちそむることしはも ただならぬよのせまりきぬらし
梓弓 春立ち初むる今年はも ただならぬ世の迫り来ぬらし
S19. 2. 5
158 けがれたる ものみなほろびあたらしき うましのみよはあれなんとすも
穢れたる もの悉滅び新しき 美しの御代は生れなんとすも
S19. 2. 5
159 たたかいに うえにやまいになやむひの あとにひかりのよぞきつるらん
戦ひに 飢に病になやむ日の 後に光の世ぞ来つるらむ
S19. 2. 5
160 いかならん わざわいせまりきぬるとて やすけからめやかみにあるひと
如何ならん 災迫り来ぬるとて 安けからめや神にある人
S19. 2. 5
161 よのおわり こころにきざむひとにして さらつのみよにいきとおすらん
世の終り 心にきざむ人にして 新つの御代に生きとほすらむ
S19. 2. 5
162ちはやぶる かみつよとなりこうみょうの あまねくてらすよぞまたれぬる
千早振 神つ代となり光明の 偏〔遍〕く照らす世ぞ待たれぬる
S19. 2. 5
163 まがつかみ いかにはやるもめにみえぬ かみのちからにはむかいえめや
曲津神 如何に逸るも眼に見えぬ 神の力に刃向ひ得めや
S19. 2. 5
164 みもたまも むしばむやくどくしらずして もとむるひとをみるぞかなしき
身も霊も 蝕ばむ薬毒知らずして 求むる人を見るぞ悲しき
S19. 2. 5
165 たまきはる いのちをけずるものとしらず さがしもとむるめしいぞあわれ
魂機張る 生命を削るものとしらず 探し求むる盲ぞ哀れ
S19. 2. 5
※全集未収録
166 にくをきり ほねをけずりてちをしぼる いやしのわざをただしたくぞおもう
肉を斬り 骨を削りて血を搾る 医しの業を正したくぞ思ふ
S19. 2. 5
167 よをすくう かみのみむねをうべないて われなしとげんいやしのわざを
世を救ふ 神のみむねを諾いて 吾成し遂げむ医しの業を
S19. 2. 5
168 いまにして もものあやまりたださざれば ひとのよやがてあやうしとぞおもう
今にして 諸の誤り匡さざれば 人の世やがて危しとぞ思ふ
S19. 2. 5
169 かにかくに われもしこのどにうまれずば ひとのこのよはいかになりなん
かにかくに 吾もし此土に生れずば 人の此世は如何になりなむ
S19. 2. 5
170 むらきもの いのちのかぎりたたかわん このよほろぼすまがのたくみと
村肝の 生命の限り戦はん この世滅ぼす曲のたくみと
S19. 2. 5
171 ときなれや ああときなれやいまはしも まにのちからのよにいづるなり
時なれや 嗚呼時なれや今はしも 麻邇の力の世にいづるなり
S19. 2. 5
172 きりすとも しゃかもとげざるきゅうせいの おおきみわざをわれなしとげん
キリストも 釈迦も遂げざる救世の 大き御業を吾成し遂げん
S19. 2. 5
     
    立 春  (立春大会)  
173 ほのぼのと はるたちそめぬよをすくう わがかむわざのゆくてにもにて
ほのぼのと 春立ち初めぬ世を救う わが神業の行手にも似て
S21. 2. 5
174 あずさゆみ はるたちそむるきょうはしも よにもめでたきひとなりぬらん
梓弓 春立ち初むる今日はしも 世にも芽出度き日となりぬらむ
S21. 2. 5
175 うつりゆく よのたどしさにこぞほぎし このひもとおきゆめとおもほゆ
移りゆく 世のたどしさに去年祝ぎし 此日も遠き夢と思ほゆ
S21. 2. 5
     
    黎 明  
176 もろびとの やみをさまようなかにありて ひかりのみちをいさみゆくわれら
諸人の 闇をさ迷う中にありて 光の道を勇みゆく吾ら
S21. 2. 5
177 ときめきし くにつかさらつぎつぎに おちゆくさまのあわれなりける
時めきし 国の司等次つぎに 落ちゆくさまの哀れなりける
S21. 2. 5
178 やみのよは あけなんとしてしずけさを やぶるひびきのさやがしきかも
闇の世は 明けなんとして静けさを 破る響きのさやがしきかも
S21. 2. 5
179 きみがよは ちよにやちよとうたわれし かたきいしずえゆらぎそめける
君ケ代は 千代に八千代と謳はれし 固き礎揺ぎ初めける
S21. 2. 5
180 ひさかたの あまつみひかりさしそめて しこのみたまのかくるるひまなき
久方の 天津御光射し初めて 醜の御魂の隠るるひまなき
S21. 2. 5
181 やそまがつ おちゆくときとなりにけり うましのみくにけがせしとがにて
八十曲津 落ちゆく時となりにけり 美しの御国穢せし咎にて
S21. 2. 5
182 みちとせの やみのとばりはあけはなれ こうみょうかがやくとうかいのしま
三千歳の 暗の帳は明け放れ 光明輝やく東海の島
S21. 2. 5
183 まごころの ちからによらでくずれゆく このひのもとをささえうべきや
真心の 力によらで崩れ行く 此日之本を支え得べきや
S21. 2. 5
184 まがびとの たくみしたたかいやぶれけるは かみのまもりのあかしにぞある
曲人の 企みし戦ひ敗れけるは 神の守りの証しにぞある
S21. 2. 5
185 まがかたは とつくにびととおもいしに あらでほこりしかみのくになる
曲方は 外国人と思ひしに あらで誇りし神の国なる
S21. 2. 5
186 えいこうの はるきたりなばしづしづと メシヤのあもるときぞまたるる
栄光の 春到りなばしづしづと 救主の天降る秋ぞ待たるる
S21. 2. 5
187 はれるや はれるや かがやいて しょうりのみやこへあもるきりすと
ハレルヤ ハレルヤ 輝いて 勝利の都へ天降るキリスト
S21. 2. 5
188 よのおわり しるやしらずやらちもなき ことにさまようひとのあわれさ
夜の終り 知るや知らずや埒もなき 事にさ迷ふ人のあわれさ
S21. 2. 5
189 いままさに ほろびんとするこのくにを すくわせたまえあめつちのかみ
今正に 滅びんとする此国を 救はせ給へ天地の神
S21. 2. 5
190 よのおわり はやちかめるをしらぬげに はなたかびとのきおいぞあわれ
夜の終り はや近めるを知らぬげに 鼻高人の勢ひぞあわれ
S21. 2. 5
191 いすくわし いすずのかわのみなもとの にごりきよむるときとなりぬる
いすくわし 五十鈴の川の源の 濁り浄むる時となりぬる
S21. 2. 5
192 ながきよを ふみにじられしののくさも めばえそめけりはるたちてより
長き世を 踏み躙られし野の草も 芽生え初めけり春立ちてより
S21. 2. 5
193 うつりかわり しげきがよにもかわらぬは としのめぐりてはるぞたつなる
移り易り 繁きが世にも易らぬは 年の周りて春ぞ立つなる
S21. 2. 5
     
    熱 海  
194 ためしなき わがかむわざにくらぶれば ふりしおしえのいとちさきかな
例しなき わが神業に比ぶれば 古りし教のいと小さきかな
S20. 2.14
195 いにしえの ひじりのみちもおおかみの ひかりにてらされいまひらかんとすも
古への 聖の道も大神の 光に照され今開かんとすも
S20. 2.14
196 まひるまの ひかりにてらされよるのもの みなほろびゆくさまをしるなり
真昼間の 光に照され夜のもの みな滅びゆく状をしるなり
S20. 2.14
197 うみやまの ながめよきかなゆたかなる いでゆもありてあたみあかなき
海山の 眺め好きかな豊かなる 温泉もありて熱海飽かなき
S20. 2.14
198 ふゆごもる へやのはりどにしずかなる いずのうなばらひびながめいぬ
冬籠る 部屋の玻璃戸に静かなる 伊豆の海原日々眺めゐぬ
S20. 2.14
199 みはるかす ももやまあたりにぎわしく ほかげのみえてあたみよきかな
見はるかす 桃山あたり賑はしく 灯光の見えて熱海好きかな
S20. 2.14
200 やまあおく うみしずかにてふたつみつ こじまのみゆるあたみにすむさち
山蒼く 海閑かにて二つ三つ 小島の見ゆる熱海に住む幸
S20. 2.14
201 さながらに てんごくとおぼゆながめよき さんちひらきてよびとすくわん
宛らに 天国と覚ゆ眺めよき 山地ひらきて世人救はん
S20. 2.14
     
    閑 日  
202 おおいなる のぞみにもゆるこころおさへ うつりゆくよをしずかにみつるも
大いなる 望みに燃ゆる心おさえ 移りゆく世を静に観つるも
S21. 2.21
203 いちがつの なかばというにこうばいの ちらほらみゆるいずのゆのまち
一月の 半というに紅梅の ちらほら見ゆる伊豆の湯の町
S21. 2.21
204 ながめよき あたみのさとのやまなみを まわりてたらうこのごろのわれ
眺め好き 熱海の里の山並を 回りて足らう此頃のわれ
S21. 2.21
205 ことみゆる あたみのうみのしずけさよ ながめもたらうはるのあさなさ
湖と見ゆる 熱海の海の静けさよ 眺め足らうも春の朝なさ
S21. 2.21
206 くにびとの あえぎさまようよにありて かみのみゆきにわがやすけかり
国人の 喘ぎさ迷う世にありて 神の御幸にわが安けかり
S21. 2.21
207 ふきすさぶ あらしをよそにこのひごろ うたにいそしむわれにぞありける
吹き荒ぶ 嵐を他所に此日比 歌にいそしむ吾にぞありける
S21. 2.21
208 ふゆがれの さびしきやまにしろじろと においぬるかなうめのひともと
冬枯の 寂しき山に白じろと 匂ひぬるかな梅の一本
S21. 2.21
209 しらじらと まつのきのまにさきにおう うめにみとれつしばしたたずむ
白じらと 松の木の間に咲き匂ふ 梅に見惚れつしばし佇む
S21. 2.21
210 あずさゆみ はるあさけれどしらうめの ありどたずねてきょうもさすらう
梓弓 春浅けれど白梅の 在り処訪ねて今日も彷ふ
S21. 2.21
211 そぞろゆく まちところどころかんざくら さけるあたみよいちがつというに
そぞろゆく 街ところどころ寒桜 咲ける熱海よ一月といふに
S21. 2.21
     
        
212 うめばやし ぬいつあおげばおぽろよの つきはすみえをえがくにわのも
梅林 縫ひつ仰げば朧夜の 月は墨絵を描く庭の面
S21. 2.22
213 ふたつみつ こじまのくろくうかめおり あたみのやどのつきのよのまど
二つ三つ 小島の黒く泛めをり 熱海の宿の月の夜の窓
S21. 2.22
214 まちのぞむ このうつしよにてんごくの あるるをしらぬよびとぞあわれ
待ち望む 此現し世に天国の 生るるを知らぬ世人ぞあわれ
S21. 2.22
215 まつあおく うみむらさきのまえにして しろきはうめかわがへやのまど
松青く 海紫の前にして 白きは梅かわが部屋の窓
S21. 2.22
216 ひまあれば えふでにしたしみしょなどかき うたにいそしむこのごろのわれ
閑あれば 絵筆に親しみ書などかき 歌にいそしむ此頃のわれ
S21. 2.23
     
    正 邪  
217 しゅぎという ことばはせまきみちなれば すすみゆくほどゆきづまるなり
主義という 言葉は狭き道なれば 進みゆくほど行詰るなり
S21. 3. 1
218 もずすずめ いとさやがしきかもこのくにの たはたあらすなこころとどめて
百舌雀 いと騒しきかも此国の 田畠荒すな心とどめて
S21. 3. 1
219 じゃはせいに かたずとうたいしそのままに くにやぶれたりわするるなゆめ
邪は正に 勝たずと歌いしそのままに 国破れたり忘るるなゆめ
S21. 3. 1
220 たたかいに うちやぶれたるはよこしまの たくみのはてとしれよよのひと
戦ひに うち敗れたるは邪まの 企みの果てと知れよ世の人
S21. 3. 1
221 いくさがみ などとうかみはよにあらじ かみはへいわのごんげなればなり
軍神 などとう神は世にあらじ 神は平和の権化なればなり
S21. 3. 1
222 いくさがみ などとうことばまがかみの よをいつわりしなにぞありける
軍神 などとう言葉は曲神の 世を佯はりし名にぞありける
S21. 3. 1
223 ひとをあやめ くにをそこなうわざこそは やそまがかみのたくみにぞある
人を殺め 国を傷ふ業こそは 八十枉神の企みにぞある
S21. 3. 1
224 すのかみは いきとしいけるものみなに いのちをたまいさちをめぐもう
主の神は 生きとし生けるもの悉に 生命を賜い幸を恵まう
S21. 3. 1
225 やまいなく うえなくたたかいなきみよを つくるぞかみのみむねなるらん
病無く 飢なく戦なき御代を 造るぞ神の御旨なるらん
S21. 3. 1
226 やおよろず かみはあれどもただしきと よこしまがみのあるよなりけり
八百万 神はあれども正しきと 邪ま神のある世なりけり
S21. 3. 1
     
    神 の 愛  
227 くにやぶれ あわれのぞみをうしなえる たみぐさのえにもはるはきぬめり
国破れ あわれ望みを失える 民草の上にも春は来ぬめり
S21. 3. 3
228 ちはやぶる かみのみくにとほこらかに うたいしゆめのさめてはかなき
千早振 神の御国と誇らかに 謳いし夢の醒めて儚なき
S21. 3. 3
229 よるのおわり せまりくるなりおおかみの よさしのみわざわがとげんかも
夜の終り 迫り来るなり大神の 任さしの御業わが遂げんかも
S21. 3. 3
230 いやはての さばきのひにぞおおかみの あいのみちからあらわれいでなん
いやはての 審判の日にぞ大神の 愛の御力顕れ出でなん
S21. 3. 3
231 うえになき さむさにおびうもろびとの かてともならんわがかきしふみ
飢に泣き 寒さに慄う諸人の 糧ともならんわが記きし文
S21. 3. 3
232 とこやみの よみちさまようよのひとの あかりとならんわがときしふみ
常暗の 夜途さ迷ふ世の人の 灯とならむわが説きし書
S21. 3. 3
233 いそのかみ ふるきことどもついえゆくは さらつよちかむしるしなるらん
石の上 旧き事ども潰えゆくは 新つ世近む徴しなるらん
S21. 3. 3
234 キリストや しゃかにもみざるかむわざを おこなうくしきわがさだめかも
基督や 釈迦にも見ざる神業を 行う奇しき我運命かも
S21. 3. 3
235 いにしえゆ あまたせいじゃのとなえたる よげんをわれはあかさんとすも
古えゆ 数多聖者の唱えたる 予言を吾は証さんとすも
S21. 3. 3
     
    真の大和魂  
236 しきしまの やまとごころとひととわば あさひににおうふじのしらゆき
敷島の 大和心と人問はば 朝日に匂う富士の白雪
S21. 3. 3
237 とうかいの しまねにはゆるふじがねは へいわのみよのすがたとやみん
東海の 島根に映ゆる富士ケ嶺は 平和の御代の姿とや見ん
S21. 3. 3
238 もののふの となえしやまとだましいは みないつわりのものにぞありける
武士の 唱えし日本魂は みな偽りのものにぞありける
S21. 3. 3
239 あめがした みなはらからとおもうなり わがひのもとのやまとごころは
天ケ下 悉同胞と思うなり わが日の本の大和心は
S21. 3. 3
240 いさかいを いといへいわをこのむこそ かみのつくりしやまとだましい
争ひを 厭い平和を好むこそ 神のつくりし大和魂
S21. 3. 3
241 たいらけく よのおさまるをねがうこそ かみのまことのやまとだましい
平けく 世の治るを願ふこそ 神の誠の大和魂
S21. 3. 3
242 ものたらぬ わがひのもとのくにびとよ ものにはあらでまことなりけり
物足らぬ わが日の本の国人よ 物にはあらで誠なりけり
S21. 3. 3
     
      
243 ろくじゅうごねん ふりさけみればまがかみと ときじくたたかいつづけきしかも
六十五年 ふりさけみれば曲神と 非時戦い続け来しかも
S21. 3. 6
244 あるときは ねっとうにいりあるときは はくひょうふみしかこのわれかな
或時は 熱湯に入り或時は 薄氷踏みし過去の吾かな
S21. 3. 6
245 まがかみを ことむけやわしよきかみと あらためにつつわれはきしかな
曲神を 言向和しよき神と 改めにつつ吾は来しかな
S21. 3. 6
246 ひにつきに いやさかえゆくわがわざは かみのみむねにそうにやあらん
日に月に 弥栄えゆくわが業は 神の御旨に添ふにやあらむ
S21. 3. 6
247 たまきはる とうときいのちたまいしと よろこぶひとのいよよふえつも
魂機張る 尊き生命賜ひしと 欣ぶ人のいよよ殖えつも
S21. 3. 6
248 さだまれる ひとのいのちをわれはしも かむわざをもてままにかゆるも
定まれる 人の生命を吾はしも 神業をもて侭に換ゆるも
S21. 3. 6
249 いまはしも きえなんとするふたつなき たまのおつなぐわがかみわざよ
今はしも 消えなんとする二つなき 魂の緒つなぐわが神業よ
S21. 3. 6
250 いにしへゆ ひとのいのちはままならぬ ものとされきぬはかなさのよや
古ゆ 人の生命はままならぬ ものとされ来ぬ儚なさの世や
S21. 3. 6
251 きりすとの きせきをいまにあらわしつ よびとをすくうひとつくるわれ
キリストの 奇蹟を今に表はしつ 世人を救ふ人造るわれ
S21. 3. 6
252 まのふちに しずまんとするあだびとに さちとよろこびあたうわれはも
魔の淵に 沈まんとする仇人に 幸と歓び与ふ吾はも
S21. 3. 6
253 ぬばたまの やみにさまようもろびとを こうみょうのみちにいざのうわがわざ
奴羽玉の 暗にさ迷ふ諸人を 光明の道に誘ふわが業
S21. 3. 6
254 むらきもの こころのめしいをいやしつつ すくいのかどにいざのうわれかな
村肝の 心の盲を医しつつ 救ひの門に誘ふわれかな
S21. 3. 6
※全集未収録
255 すぎしかた ふりさけみればただびとと ちがうさだめのわれにぞありける
過ぎし方 振さけみれば常人と ちがふ運命の吾にぞありける
S21. 3. 7
256 よのつねの ひとのさだめとちがうなり かみのめぐみのいやふかくして
世の常の 人の運命とちがうなり 神の恵みのいや深くして
S21. 3. 7
257 いとせまき しゅぎとうみちをつくりつつ すすみがてなるひとのおおかり
いと窄き 主義とう道を作りつつ 進みがてなる人の多かり
S21. 3. 7
258 うえになく たみよそにしてあらそいに ひもこれたらぬあわれものしり
飢に号く 民よそにして争ひに 日もこれ足らぬ哀れ物識り
S21. 3. 7
259 いかならん みちもたやすくすすむなり まことのつえにすがりゆきなば
如何ならん 道も容易く進むなり 誠の杖に縋り行きなば
S21. 3. 7
260 うきなやみ しげきよなれどこころやすく わたるはまことのつえもてばなり
憂き艱み 滋き世なれど心安く 渡るは誠の杖もてばなり
S21. 3. 7
261 とうときは まことなりけりくろがねの いわおもとおすちからなりせば
尊きは 誠なりけり鉄の 巌も通す力なりせば
S21. 3. 7
     
      
262 ときめきし ものいまはしもささやかに いくるをききてなにかかなしき
時めきし もの今はしも小やかに 生くるを聞きて何か悲しき
S21. 3.10
263 じゃはすたれ せいはさかゆるひのもとの あるるをまちしわれにぞありける
邪は廃れ 正は栄ゆる日の本の 生るるを待ちし吾にぞありける
S21. 3.10
264 ときつかぜ ふききよめけりながきよの ちりやあくたのなごりとどめで
時津風 吹き浄めけり長き世の 塵や芥の名残とどめで
S21. 3.10
265 かみかぜは ふきいでにけりこのくにに つもりしちりをはらわんとして
神風は 吹きいでにけり此国に 積りし塵を払はんとして
S21. 3.10
266 ひのもとを きよめんとしてかためしなき おおかみかぜはふきあれにける
日の本を 浄めんとてか例しなき 大神風は吹きあれにける
S21. 3.10
267 とこしへに みどりさかゆるときわぎの まつもたおれぬかみかぜのふき
永久に 緑栄ゆる常盤〔磐〕木の 松も倒れぬ神風の吹き
S21. 3.10
268 ちはやぶる かみのみくにをかみかぜの ちりもとどめずふきぞきよめよ
千早振 神の御国を神風の 塵もとどめず吹きぞ浄めよ
S21. 3.10
269 かみかぜに ふきまくられてこのくにの しこのくさきはみなたおれけり
神風に 吹き捲くられて此国の 醜の草木はみな倒れけり
S21. 3.10
     
    春の訪れ  
270 りょうそでに みさきまなかにはつしまや おおしまはろけしわがにわにたてば
両袖に 岬真中に初島や 大島はろけしわが庭に佇てば
S21. 3.13
271 つえをひく のべのかれくさふゆながら とおやまなみにうすがすみみゆ
杖をひく 野辺の枯草冬ながら 遠山並に薄霞見ゆ
S21. 3.13
272 またれぬる はるはきぬるかおちこちの やまむらさきにかすみたちそむ
待たれぬる 春は来ぬるか遠近の 山紫に霞立ち初む
S21. 3.13
273 まつのまに しらじらみゆはしらうめか さくらにもやとしばしまどいぬ
松の間に 白じらみゆは白梅か 桜にもやと少時まどいぬ
S21. 3.13
     
    和光同塵  
274 ちりにまじり ひかりなごめつしずやかに ときまつわれのみにぞありける
塵に同り 光和めつ静やかに 時待つ吾の身にぞありける
S21. 3.18
275 なをかくし ちからかくしてきゅうせいの いしずえひそかにきずくわれはも
名を隠し 力匿して救世の 礎窃かに築く吾はも
S21. 3.18
276 めにみえぬ ちからをふるいよをすくう わがかみわざのくしびなるかも
眼に見えぬ 力を揮ひ世を救ふ わが神業の奇びなるかも
S21. 3.18
277 いまはしも ちちゅうにひそむこうりゅうの よにいでなんとときをまちぬる
今はしも 池中に潜む蛟龍の 世に出でなんと時を待ちぬる
S21. 3.18
278 あめがした おさまるよのさまめにうかめ ときまつわれのたのしかりける
天ケ下 治まる世の状眼にうかめ 時待つ吾の楽しかりける
S21. 3.18
279 りによらず ほうにもよらずただとくに おさまるみよぞちじょうてんごく
理に偏らず 法にも倚らずただ徳に 治まる美代ぞ地上天国
S21. 3.18
280 はるさめの そぼふるおとをみみにしつ うたなどものしきょうもくれける
春雨の そぼ降る音を耳にしつ 歌などものし今日も暮れける
S21. 3.18
     
    珍の神業  
281 わがかける もじそのままにおどるなり みなそれぞれにたまをいるれば
わがかける 文字そのままに躍るなり 皆それぞれに魂を入るれば
S21. 9. 8
282 ひとつひとつの もじのちからによのひとの いのちをすくうくしきかむわざ
一つ一つの 文字の力に世の人の 生命を救う奇しき神業
S21. 9. 8
     
    奇しき神業  
283 さだまれる ひとのよわいをのばすてう まだなきわざをわれはおこなう
定まれる 人の齢を延すてう 未だなき業を吾は行う
S21. 9.**
284 わがわざを うたがうひとはわがわざの まことをしらぬゆえにぞありける
わが業を 疑ふ人はわが業の 真を知らぬ故にぞありける
S21. 9.**
285 いにしえゆ ためしとてなきくしびさに わがわざうたがうひともあるなり
古ゆ ためしとてなき奇びさに わが業疑ふ人もあるなり
S21. 9.**
286 もろびとの ねがうことどもかなえんと こころをくだくわれにぞありける
諸人の 願う事ども叶へんと 心を砕く吾にぞありける
S21. 9.**
287 よのひとに さちをあたうるさちこそは なににもいやますさちとこそしれ
世の人に 幸を与うる幸こそは 何にも弥増す幸とこそ知れ
S21. 9.**
     
        
288 てんごくを このちのうえにつくるとう みわざのもとにいくるわれかな
天国を 此地の上に造るとう 御業の下に生くる吾かな
S21. 9.**
     
    地上天国  
289 てんごくは ちかづきにけりよのひとよ われにきたりてまなこひらけよ
天国は 近づきにけり世の人よ 吾に来りて眼開けよ
S21.11. 7
290 やまいなく ものみちたりてもろびとの えらぎよろこぶちじょうてんごく
病無く 物満ち足りて諸人の 歓ぎ喜ぶ地上天国
S21.11. 7
291 はなわらい ももとりうたうはるののの のどけきさまぞちじょうてんごく
花笑い 百鳥歌う春の野の 長閑けき状ぞ地上天国
S21.11. 7
292 しんぜんび まったくそなわるうつしよを ちじょうてんごくとわれはいうなり
真善美 完く備はる現し世を 地上天国と吾はいうなり
S21.11. 7
     
    大 浄 化  
293 ひとのよの ちりもあくたものこりなく あらいきよむるときぞきぬめり
人の世の 塵も芥も残りなく 洗ひ浄むる時ぞ来ぬめり
S22. 1. 5
294 めずらしき ちじょうてんごくうちたつる かみのみわざのだいじょうかかな
珍らしき 地上天国打樹つる 神の御業の大浄化かな
S22. 1. 5
295 ながきよを つもりつもりしつみけがれ れいかにいまややきはらわんとすも
永き世を 積りつもりし罪穢 霊火に今や燃き祓はんとすも
S22. 1. 5
     
    新 世 界  
296 あたらしき よはあたらしきつちのうえに うちたてらるべきものにありなん
新しき 世は新しき土の上に 打樹てらるべきものにありなむ
S22. 1. 8
297 ときめきし ひとたちつぎつぎおちゆくは さらつよあるるしるしなるらん
時めきし 人達次つぎ落ちゆくは 新つ世生るる徴なるらん
S22. 1. 8
298 なやちいの なくもまことのあるひとの よにあらわるるときとなりぬる
名や地位の なくも誠のある人の 世に現はるる時となりぬる
S22. 1. 8
299 まことのちえ あいのひかりにあふれたる ひとのよにいづるみろくのみよかな
真の智慧 愛の光に溢れたる 人の世に出る五六七の御代かな
S22. 1. 8
300 うらおもて たくみにあしらうえらびとの おちゆくさまのいとあわれなる
裏表 巧みにあしらふえら人の 落ちゆく状のいと哀れなる
S22. 1. 8
301 よこしまの こころをかくしうるわしく かざりしひとのまつろぞあわれ
邪まの 心をかくし美はしく 飾りし人の末路ぞあはれ
S22. 1. 8
302 まつりごと ただしくなされもろびとの えらぎよろこぶみろくせいだい
政り事 正しくなされ諸人の 歓ぎ喜ぶ五六七聖代
S22. 1. 8
303 いさかいを このむはけもののさがにして へいわをこのむひとぞひとなる
争ひを 好むは獣の性にして 平和を好む人ぞ人なる
S22. 1. 8
304 いさかいを このむけもののさがなくし へいわをこのむひとつくるわれ
争ひを 好む獣の性なくし 平和を好む人つくるわれ
S22. 1. 8
     
      
305 ものたらぬ なやみのもとはもろびとの こころにまことのたらねばなりけり
物足らぬ 悩みの元は諸人の 心に誠の足らねばなりけり
S22. 1.19
306 あらそいや すとのかいけついとやすし まことごころにかたりあいなば
争や ストの解決もいと易し 誠心に語り合いなば
S22. 1.19
307 あたらしき へいわにほんをうちたつる ちからにこそはまことなりけり
新しき 平和日本をうち樹つる 力にこそは誠なりけり
S22. 1.19
308 まことなき ひとのつどいのかしましさ もずやすずめとひとしかりける
誠なき 人の集いの喧しさ 百舌鳥や雀と等しかりける
S22. 1.19
309 くにのなやみ つぎつぎおこるうたてさよ かみにそむけるとがにありせば
国の悩み 次つぎ起る嘆てさよ 神に背ける尤にありせば
S22. 1.19
310 かみをおそれ ただしきみちをまもるひと つくるぞわれのしめいなるらん
神を恐れ 正しき道を守る人 つくるぞわれの使命なるらん
S22. 1.19
     
    医しの業  
311 わがなせし いやしのわざのなかりせば ひとのこのよはいかになるらめ
わが成せし 医しの業のなかりせば 人の此世は如何になるらめ
S22. 2.24
312 こんごうせきも こがねの〔も〕たまもなにかせん いのちのたからにうちくらぶれば
金剛石も 黄金の〔も〕玉も何かせむ 命の宝にうち比ぶれば
S22. 2.24
313 いたつきの なやみにあうてつくづくと すこやかなひのさちをしぞおもう
いたつきの 悩みに遇ふて熟づくと 健かな日の幸をしぞ思う
S22. 2.24
     
    観 山 亭  
314 あしびきの あおがきやまのたたなはる なかにたてけるかんざんていかな
足曳の 青垣山の畳なはる 中に建てける観山亭かな
S22. 9.15
315 きくやかに あきぞらにうかむやまなみを あさなゆうなにみるしんきょかな
きくやかに 秋空に浮む山並を 朝な夕なに観る新居かな
S22. 9.15
316 こけふりし にわのおおいしながめつつ かみよをしのぶわがいおのそと
苔ふりし 庭の大石ながめつつ 神代を偲ぶわが庵の外
S22. 9.15
317 そそりたつ こけむすいわおのおごそかさ あきぞらたかくすみわたるした
聳り立つ 苔むす巌のおごそかさ 秋空高く澄み渡る下
S22. 9.15
318 あきされど やまのもみじはいろあさく まなかいのやまいとまじかなり
秋されど 山の紅葉は色浅く まなかいの山いと真近なり
S22. 9.15
319 しらくもの ゆききせわしきなつのやま ながむるひまのたのしかりける
白雲の 去来せわしき夏の山 眺むるひまの楽しかりける
S22. 9.15
     
    大 峠  
320 ちじょうてんごく あれなんとすもまめひとよ みたまみがきをおこたるなゆめ
地上天国 生れなんとすも信徒よ 身魂磨きを怠るなゆめ
S22.11. 8
321 いくちとせ つもりつもりしちりあくた きよめたまえといのるわれはも
幾千歳 積りつもりし塵芥 浄め給えと祈る吾はも
S22.11. 8
322 ためしなき このうつしよのおおとうげ ひによにちかむをしるやしらずや
例しなき 此現世の大峠 日に夜に近むを知るや知らずや
S22.11. 8
     
    新 年  
323 あらたまの としをむかえてみもたまも いとすがしけれかみにあるみは
新玉の 年を迎へて身も魂も いと清しけれ神に在る身は
S23. 1. 1
324 とこやみの よをあきらけくはらさんと こうみょうにょらいはいでましにける
常暗の 世を明けく晴さんと 光明如来は出でましにける
S23. 1. 1
325 あらたまの としをむかえておもうかな かみのしぐみのいとたえなるを
新玉の 年を迎えて思うかな 神の仕組のいと妙なるを
S23. 1. 1
326 ぬばたまの やみじもすみてこうみょうの みちふみそむるここちこそすれ
奴羽玉の 暗路もすみて光明の 道ふみ初むる心地こそすれ
S23. 1. 1
327 じつげつち さんみいったいのみちからを そなえていでますみろくおおかみ
日月地 三位一体の御力を 具へて出でます五六七大神
S23. 1. 1
     
    神 の 守  
328 すぎしかた ふりさけみればやえむぐら いばらのみちをよくぞこえきし
過ぎし方 振さけみれば八重葎 茨の道をよくぞ越え来し
S23. 1. 1
329 たえがたき なやみしのびついまあるは かみのめぐみのふかきにぞある
堪え難き 悩み忍びつ今あるは 神の恵の深きにぞある
S23. 1. 1
330 わがゆくて いかにはばむもいとやすく はらいきにけるみょうちりきかも
わが行手 如何に阻むもいと易く 払い来にける妙智力かも
S23. 1. 1
331 ひにつきに いやさかえゆくわがわざの ちからはまことにいでければなり
日に月に いや栄えゆくわが業の 力は誠に出でければなり
S23. 1. 1
332 すくわれて えらぎよろこぶまめひとの おもみるごとになにもわすれぬ
救はれて 歓ぎ喜ぶ信徒の 面見る毎に何も忘れぬ
S23. 1. 1
333 かんぜおん ぼさつのみこころこころとし すすむひとこそまことのひとなる
観世音 菩薩の御心心とし 進む人こそ真の人なる
S23. 1. 1
334 くにあげて やみになやめるこのひごろ すくうはかみのひかりよりなき
国挙げて 闇に悩める此日比 救ふは神の光よりなき
S23. 5. 1
335 こうみょうの あまねくてらすよなりせば ちりやけがれのなどあるべしや
光明の 遍く照らす世なりせば 塵や汚れのなどあるべしや
S23. 5. 1
     
    楽しき世  
336 かむながら かみのまにまにすすむみは うきのこのよもたのしかりけり
惟神 神のまにまに進む身は 憂きの此世も楽しかりけり
S23. 5.16
337 いかならん くるしみとてもきえぬらん かみのみむねにそうみなりせば
如何ならむ 苦しみとても消えぬらむ 神の御旨に添ふ身なりせば
S23. 5.16
338 ただかみの おおみこころにまかすなり よわきちからのひとのみにあれば
ただ神の 大御心に委すなり 弱き力の人の身にあれば
S23. 5.16
339 ひとのよは いともたのしきものぞかし たがいいにけんうきのよなりと
人の世は いとも楽しきものぞかし 誰が言いにけむ憂の世なりと
S23. 5.16
340 こころぬちに くもりありせばひとのよの まことのたのしみあらじとぞおもう
心ぬちに 曇りありせば人の世の 真の楽しみあらじとぞ思ふ
S23. 5.16
341 よのひとに さちあれかしとねぐひとの さちこそまことのさちとこそしれ
世の人に 幸あれかしと願ぐ人の 幸こそ真の幸とこそ知れ
S23. 5.16
342 われはただ かみのみむねにうちまかせ こころやすらにすすみゆくなり
吾はただ 神の御旨にうち委せ 心安らに進みゆくなり
S23. 5.16
343 まがかみの ちからのかぎりさわるとも かみをせにするわれらおそれじ
曲神の 力の限り障るとも 神を背にする吾ら恐れじ
S23. 5.16
344 まがかみを おそるるなかれまこともて ときまちぬればかならずやかたなん
曲神を 恐るる勿れ誠もて 時待ちぬれば必ずや勝たなん
S23. 5.16
345 じゅうぜんの かみのみまもりあるみには などまがかみのさやるべしやは
十全の 神の御護りある身には など曲神のさやるべしやは
S23. 5.16
346 えらびとと いわるるなかれありがたき ひとといわれんことをのぞめよ
えら人と いはるる勿れ有難き 人といはれむ事を望めよ
S23. 5.16
347 ひとのちから いとどよわきをしりてより こころにやどるかみのいくたま
人の力 いとど弱きを知りてより 心に宿る神の生魂
S23. 5.16
     
        
348 ろくじゅうねん ふりさけみればたかきやま ふかたにがわもよくぞこえきし
六十年 ふりさけみれば高き山 深谷川もよくぞ越え来し
S23. 5.13
349 みるひとの こころごころにうつるなり ひとのこのよのよしとあしとは
観る人の 心ごころに映るなり 人の此世の善しと悪しとは
S23. 5.13
     
    早雲寮初祭  
350 てんごくの かたつくらんとささやかな みやいつくりぬかんれいのえに
天国の 型作らんとささやかな 宮居造りぬ函嶺の上に
S23. 5.**
351 おおかみの うづのみやいをうちたてし きょうのよろこびなににかたとえん
大神の 珍の宮居をうち樹てし 今日の慶び何にかたとえむ
S23. 5.**
352 あなうれし したついわねにみやばしら ふとしきたててみかみむかえん
あな嬉し 下津磐根に宮柱 太敷建てて御神迎えぬ
S23. 5.**
353 ときみちて かみのゆにわのはつまつり まいきかがやくまめひとのおも
時満ちて 神の斎庭の初祭 参来かがやく信徒の面
S23. 5.**
354 かたちばかりの みやいにあれどまめひとの まことのこころよみさせたまえ
形ばかりの 宮居にあれど信徒の 誠の心嘉させ給え
S23. 5.**
355 ちじょうてんごく いまぞはじ〔ま〕らんあたらしき みみやのたちしきょうをさかいに
地上天国 今ぞ肇らむ新しき 神宮の建ちし今日を境に
S23. 5.**
356 ひかかたの あまつみかみはちのうえを きよめんとしてめしやをくだせり
久方の 天津御神は地の上を 浄めむとしてメシヤを下せり
S23. 5.**
357 あもりにし みろくにおわすかむみたま いつきまつりぬきょうのよきひに
天降りにし 弥勒に在す神御霊 斎き奉りぬ今日の吉き日に
S23. 5.**
358 ひとみずと つちとのしぐみありやかに まなこにうつるときはきにける
火と水と 土との経綸ありやかに 眼に映る時は来にける
S23. 5.**
359 あめがした いたつきもなくいさかいも きえてゆたけきよぞきつるなり
天が下 病きもなく争ひも 消えてゆたけき世ぞ来つるなり
S23. 5.**
360 こしかたを かえりみすればくしびなる われがすぐせにおもいふかきも
越方を 顧みすれば奇びなる われが宿命に想ひ深きも
S23. 5.**
     
    石 楽 園  
361 あしびきの はこねのやまのながめよき ところえらみてさやかなやたてぬ
足曳の 箱根の山の眺めよき 所えらみて小やかな家建てぬ
S23. 9.15
362 わがしんきょ とりまくいわおのさわにして こけむすさまをあさゆうめづる
わが新居 取巻く巌の沢にして 苔むすさまを朝夕賞づる
S23. 9.15
363 めずらしき おおいしこいしにいろどれる わがひろにわをせきらくえんとなづけぬ
珍らしき 大石小石に彩れる わが広庭を石楽園と名づけぬ
S23. 9.15
364 とこしへの よのいしずえといはがねの うえにたてけりすがしきいおりを
永久の 世の礎と巌ケ根の 上に建てけり清しき庵を
S23. 9.15
365 みはるかす じゅかいのはてにやわらかき せんをえがけるみょうじょうがたけ
見遥かす 樹海の涯に和かき 線を描ける明星ケ嶽
S23. 9.15
366 それぞれの いわおのすがたをめでにつつ にわをさすらいたらうわれはも
それぞれの 巌の姿を愛でにつつ 庭をさすらい足らふ吾はも
S23. 9.15
367 いまだよに なきめずらしきせきていを つくらんとするわがのぞみかな
未だ世に なき珍らしき石庭を 造らんとするわが望みかな
S23. 9.15
     
        
368 ながきよを しくみたまいしおおかみの かりとるときのせまりけるかも
長き世を 仕組み賜いし大神の 刈りとる時のせまりけるかも
S23.10.15
369 くにあえぐ いくまんおくのひとぐさの かんきにえらぐときぞまちぬる
苦に喘ぐ 幾万億の人草の 歓喜にえらぐ時ぞ待ちぬる
S23.10.15
370 えらばれし かみのはしらのいやつどい ちじょうてんごくうちたてんかも
えらばれし 神の柱のいや集い 地上天国うち樹てんかも
S23.10.15
     
        
371 えんまんぐそく まったきのよはいまはしも あれんとするなりときたらいみち
円満具足 完きの世は今はしも 生れんとするなり時足らいみち
S23.11. 3
372 てんちじん じゅんじょただしきたるみよを みろくのみよとわれはいうなり
天地人 順序正しき足御代を 五六七の御代と吾は曰うなり
S23.11. 3
     
    立 春  
373 きびしかりし ふゆのさむさにとばりして いとおおらかにはるはたちけり
厳しかりし 冬の寒さに帳りして いと大らかに春は立ちけり
S24. 2. 4
374 かんざくら はやちりそめてあたたかき ゆのまちあたみのはるはたちけり
寒桜 はや散り初めて暖き 湯の町熱海の春は立ちけり
S24. 2. 4
375 しらうめの こずえにあたるひさきにも それとしらるるはるたちしきょう
白梅の 梢にあたる日さきにも それと知らるる春立ちし今日
S24. 2. 4
376 ながかりし ふゆのさむさもはるたちて うめさきにおうそのをうかめぬ
永かりし 冬の寒さも春立ちて 梅咲き匂ふ園をうかめぬ
S24. 2. 4
377 ふゆすぎて たつはるのごとわがわざも はなさきにおうときとなりぬる
冬過ぎて 立つ春の如わが業も 花咲き匂ふ時となりぬる
S24. 2. 4
378 うめがかの におうにわべにわれたちて はるたつきょうのおもいふかしも
梅ケ香の 匂ふ庭辺に吾佇ちて 春立つ今日の思ひ深しも
S24. 2. 4
379 あずさゆみ はるたつきょうのうれしさよ まことのひとたちつどうこのよい
梓弓 春立つ今日の嬉しさよ 誠の人達つどふ此宵
S24. 2. 4
380 たつはるを いわうこのよいでんとうの ほかげにはゆるひとびとのおも
立つ春を 祝ふ此宵電灯の 灯光に映ゆる人々の面
S24. 2. 4
     
    救主降臨  
381 みろくのよ みえそむるともこころせよ まがはすきなくねらいつめおり
弥勒の世 見え初むるとも心せよ 曲は隙なく狙ひつめをり
S24. 2.**
382 きりすとに さたんしゃかにはだいばあり われにもありぬもろもろのまが
キリストに サタン釈迦には醍〔提〕婆あり 我にもありぬもろもろの曲
S24. 2.**
383 まがかみは いかにさやるもおそれまじ われにはかみのまもりありせば
曲神は 如何に障るも怖れまじ 我には神の守りありせば
S24. 2.**
384 よのひとよ いまわがふるうちからより うえのちからはあらじとしれかし
世の人よ 今わが揮ふ力より 上の力はあらじと知れかし
S24. 2.**
385 うつしよの みだれをただしじゅんじょある みようちたてんわがのぞみかも
現世の 乱れを釐し順序ある 御代打樹てむわが望みかも
S24. 2.**
386 みろくとは ひみずつちのじゅんじょよき まったきのよをいうにぞありける
五六七とは 火水土の順序よき 完きの世をいふにぞありける
S24. 2.**
387 わがふるう ちからはいまだうつしよに あらわれたることなきものにぞある
わが揮ふ 力は未だ現世に 現れたる事なきものにぞある
S24. 2.**
388 きりすとも しゃかもこうしもまほめっとも わがあれいづるときぞまたれん
キリストも 釈迦も孔子もマホメットも わが現れ出づる時ぞ待たれん
S24. 2.**
389 まちのぞむ めしやのちからもわがふるう ちからもおなじちからなりけり
待ち望む メシヤの力もわが揮ふ 力も同じ力なりけり
S24. 2.**
390 えいこうの くもよりくだるきりすとの よにしれわたるときぞちかみぬ
栄光の 雲より降るキリストの 世に知れ渡る時ぞ近みぬ
S24. 2.**
391 あなとうと てんよりくだるきりすとを いわうはれるやのこえぞいさまし
あな尊と 天より降るキリストを 祝ふハレルヤの声ぞいさまし
S24. 2.**
392 きりすとも しゃかもめしやもかんのんも ひとのすがたのかみにぞありける
キリストも 釈迦もメシヤも観音も 人の姿の神にぞありける
S24. 2.**
393 こえがたき このうつしよのおおとうげ やすくこえなんかみのあないに
越え難き 此現世の大峠 安く越えなむ神の案内に
S24. 2.**
394 おおいなる かみのちからをみするとも あわれめしいのめにはうつらじ
大いなる 神の力を見するとも 哀れ盲の眼には映らじ
S24. 2.**
※全集未収録
395 おおかみの ふかきしぐみはもろびとの めにはうつらぬものとしれかし
大神の 深き仕組は諸人の 眼には映らぬものと知れかし
S24. 2.**
396 おおいなる かみのしぐみはいとちさき ひとのまなこになどうつらめや
大いなる 神の仕組はいと小さき 人の眼になど映らめや
S24. 2.**
397 ひかりなり ああひかりなりいかならん こきやみとてもうちはらすなり
光なり 嗚呼光なり如何ならむ 濃き暗とてもうち霽らすなり
S24. 2.**
398 いやはてに てんよりくだるきりすとに よのもろもろはよみがえるらん
いやはてに 天より降るキリストに 世のもろもろは甦るらむ
S24. 2.**
     
    天国の苑  
399 てんごくの そののもけいをあしびきの はこねのやまのうえにたてなん
天国の 苑の模型を足曳の 箱根の山の上に立てなむ
S24. 5.13
400 けしきよき はこねのやまのいただきに われてんごくのそのをつくらん
景色好き 箱根の山の頂に われ天国の苑を造らん
S24. 5.13
401 おおかみの ふかきしぐみはいとしるく はこねあたみのうえにしらるる
大神の 深き仕組はいとしるく 箱根熱海の上に知らるる
S24. 5.13
402 おいしげる くさきのやぶをきりひらき はこねのやまにはなぞのつくりぬ
生ひ茂る 草木の薮を切りひらき 箱根の山に花苑つくりぬ
S24. 5.13
403 かりこもの みだれたるよをうちひらき うましのみよをたてなんとすも
苅菰の 乱れたる世をうち拓き 美しの御代を建てなんとすも
S24. 5.13
     
        
404 のにやまに いろとりどりにさくはなは かみのめぐまうたからにぞある
野に山に 色とりどりに咲く花は 神の恵まう宝にぞある
S24. 5.**
405 うるわしき はなみるごとにおもうかな かみのたくみのたえなるみわざを
美はしき 花見る毎に意ふかな 神のたくみの妙なる御技を
S24. 5.**
406 うるわしき はなにあこがるひとこそは はなにもにたるこころもつなり
美はしき 花に憧る人こそは 花にも似たる心もつなり
S24. 5.**
407 あさなさを いろとりどりにあさがおの さくをしみればなつをわすれぬ
朝なさを 色とりどりに朝顔の 咲くをしみれば夏を忘れぬ
S24. 5.**
408 ひとのよの たのしさしりぬにわにさく つばきひとえだとこにかざりて
人の世の 楽しさ知りぬ庭に咲く 椿一枝床に飾りて
S24. 5.**
409 うきのよも たのしきみよとなりにけり かみのまもりのあるをしりてゆ
憂の世も 楽しき御代となりにけり 神の守りのあるを知りてゆ
S24. 5.**
     
    神 の 力  
410 まことなり ああまことなりこのくにに ほしきはまことのいちじなりけり
誠なり 嗚呼誠なり此国に 欲しきは誠の一字なりけり
S24. 5.**
411 なにごとも おもいにまかせぬうつしよに たよるはかみのちからのみなり
何事も 思ひに委せぬ現世に 頼るは神の力のみなり
S24. 5.**
412 かんのんりき よにあらわれてかりこもの みだれたるよもたださるるならめ
観音力 世に現はれて苅菰の 乱れたる世も正さるるならめ
S24. 5.**
413 めにみえぬ かみのちからのあることを さとらしめんとてわれつとむなり
眼に見えぬ 神の力のある事を 悟らしめむとて吾努むなり
S24. 5.**
414 ふきすさぶ あらしのそとにやすかりぬ かみのころもにつつまるるみの
吹き荒ぶ 嵐の外に安かりぬ 神の衣に包まるる身の
S24. 5.**
     
    火の洗礼  
415 ただかみの おおみこころにかなわんと つとむるひとこそまびとなりけり
ただ神の 大御心に適はむと 努むる人こそ真人なりけり
S24. 5.**
416 ひとのつみ とがむるひとこそかみよりの とがめをかかぶるひとにぞありける
人の罪 咎むる人こそ神よりの 尤めを蒙ぶる人にぞありける
S24. 5.**
417 ひとのよの くらくのもとはみなおのが てにつくるなりこころせよみな
人の世の 苦楽の本は皆己が 手に作るなり心せよみな
S24. 5.**
418 もろびとよ こころゆるすなおおいなる かみのさばきのきたらんとするいま
諸人よ 心許すな大いなる 神の審判の来らむとする今
S24. 5.**
419 かみはなしと いとほこらしげにいうひとの あわてふためくときぞきにける
神は無しと いと誇らしげに言ふ人の あわてふためく時ぞ来にける
S24. 5.**
420 きりすとの となえしさいごのさなきとは かみのれいかによぞきよむなり
キリストの 唱えし最後の裁きとは 神の霊火に世ぞ浄むなり
S24. 5.**
421 よのけがれ あらいきよめてあたらしき かみのよたつるさばきのわざかな
世の汚れ 洗ひ浄めて新しき 神の世建つる裁きの業かな
S24. 5.**
422 ひとびとよ くいあらためてよのとうげ やすくこえなんそなえせよかし
人々よ 悔改めて世の峠 安く越えなむ備へせよかし
S24. 5.**
423 しんぱんの ひのきびしさよいかならん まがもひれふしくいあらたむるらん
審判の 日の厳しさよ如何ならむ 曲も鰭伏し悔改むるらむ
S24. 5.**
424 もろびとの まなこをさますかねうてど みみをふさぎてきかんともせず
諸人の 眼を醒す鐘うてど 耳を塞ぎて聞かむともせず
S24. 5.**
425 じょうれいの なもておこなうわがわざは ひのせんれいのことにぞありける
浄霊の 名もて行ふわが業は 火の洗霊の事にぞありける
S24. 5.**
     
    救ひの光  
426 ぬばたまの やみのいろこきよなりとも はらさでおかんかみのひかりに
奴羽玉の 闇の色濃き世なりとも 晴さでおかむ神の光に
S24. 5.**
427 こうみょうの いとうるわしくかがやけど やみにうごめくひとにはみえまじ
光明の いと美はしく輝やけど 暗にうごめく人には見へまじ
S24. 5.**
428 はなはさき とりうたえどもたのしめぬ ひとはみかみにそむけばなりける
花は咲き 鳥歌へども楽しめぬ 人は御神に背けばなりける
S24. 5.**
429 おおいなる すくいのみてをのばすとも すがるよしなきめしいのおおき
大いなる 救の御手を伸すとも すがるよしなき盲の多き
S24. 5.**
※全集未収録
     
    神の仕組  
430 おおかみの ふかきしぐみはいかならん ひじりといえどしるよしもなき
大神の 深き仕組は如何ならむ 聖といへど知る由もなき
S24. 5.18
431 ひとのめに なぞうつらむやおおかみの しぐみのふかさはかりしらねば
人の眼に なぞ映らむや大神の 仕組の深さはかりしらねば
S24. 5.18
432 おんりえど きよめきよみてあたらしき たのしきみよをつくるかむわざ
厭離穢土 清め浄みて新しき 楽しき御代を造る神業
S24. 5.18
433 ぶつのよは すみきわまりてためしなき みろくのみよはあれなんとすも
仏の世は すみ極まりて例しなき 弥勒の御代は生れなんとすも
S24. 5.18
434 よのおわり きつるもしらでらちもなき いさかいごとにふけるあわれさ
世の終り 来つるも知らで埒もなき 争ひ事に耽ける哀れさ
S24. 5.18
435 はなわらい ももとりうたうてんごくの そのをこのどにうつすかみわざ
花笑ひ 百鳥歌う天国の 苑を此土に移す神業
S24. 5.18
436 ながめよき あたみのおくにうるわしき はなのてんごくわれつくらんとすも
眺め好き 熱海の奥に美はしき 花の天国吾造らむとすも
S24. 5.18
437 あしびきの やまじのかげにささやかな なしらぬはなにもこころひかるる
足曳の 山路の蔭に小やかな 名知らぬ花にも心ひかるる
S24. 5.18
     
    嵐 の 外  
438 ちりあくた つもりつもりしよをきよむ つよきあらしもふきぞするなり
塵芥 つもり積りし世を浄む 強き嵐も吹きぞするなり
S24. 5.**
439 おおかみの ふかきしぐみはいやはてに ゆめにもおもわぬこといづるらん
大神の 深き仕組はいやはてに 夢にも想はぬこと出づるらん
S24. 5.**
440 いかならん あらしふくとてかみにある みはやすけかりおおみめぐみに
如何ならむ 嵐吹くとて神にある 身は安けかり大御恵に
S24. 5.**
441 あかきあらしも などおそれめやすのかみが えがくめいがのいろとしおもえば
赤き嵐も など恐れめや主の神が 描く名画の色とし思えば
S24. 5.**
442 おおかみは いろとりどりのえのぐもて ちじょうてんごくのめいがえがかん
大神は 色とりどりの絵具もて 地上天国の名画描かむ
S24. 5.**
     
    神は十全  
443 たいぼうの ちじょうてんごくあるるまで あらしもふかんなみもあれなん
待望の 地上天国現るるまで 嵐も吹かむ波も荒れなむ
S24. 6.17
444 てんごくの うぶごえいまやあげんとし よはじんつうのなやみのなかなり
天国の 産声今や挙げんとし 世は陣痛の悩の中なり
S24. 6.17
445 みぎひだり あらそうひとなどしらぬがに ききとたのしむかみのみこたち
右左 争ふ人等知らぬがに 嬉々と楽しむ神の御子たち
S24. 6.17
446 かみあるを しらぬよびとのあさましさ こころのめしいしるよしもなく
神在るを 知らぬ世人のあさましさ 心の盲知るよしもなく
S24. 6.17
※全集未収録
447 ひとのちから いかにつよくもくぶくりんの せとぎわにきてくつがえるなり
人の力 如何に強くも九分九厘の 瀬戸際に来て覆るなり
S24. 6.17
448 ひとのちからは くぶくりんかみのちからはじゅうぜんと しるひとにしてすくわるるなり
人の力は 九分九厘神の力は十全と 知る人にして救はるるなり
S24. 6.17
     
    神 仙 郷  
449 いちぼくいっそう いっせきなりとこまやかに こころしてなりしんせんきょうかな
一木一草 一石なりとこまやかに 心して成りし神仙郷かな
S24. 8.18
450 うるわしき はなにかこまれうみやまの ながめあかなきしんせんきょうはも
美はしき 花にかこまれ海山の 眺め飽かなき神仙郷はも
S24. 8.18
451 だれもまだ ためしとてなきうづのにわ つくりてわれはこころたらいし
誰もまだ 試しとてなき珍の庭 つくりて吾は心足らひし
S24. 8.18
452 てんねんの ふうちをいかしじんこうの びにいろどりてしんえんなりぬ
天然の 風致を生かし人工の 美に彩りて神苑成りぬ
S24. 8.18
453 あしびきの はこねのやまのえにひろく はなのてんごくわれつくりけり
足曳の 箱根の山の上に広く 花の天国吾造りけり
S24. 8.18
454 やまとみず のみなりしはこねやま われはなそえててんごくつくらん
山と水 のみなりし箱根山 われ花そえて天国つくらん
S24. 8.18
455 つゆのあめ しとしとふりてしんえんの みどりふかまりいとしずかなり
梅雨の雨 しとしと降りて神苑の 緑深まりいと静かなり
S24. 8.18
456 みはるかす みょうじょうがたけうすぎぬを かかぶれるごとあめにけぶれる
見遥かす 明星ケ嶽薄絹を かかぶれる如雨にけぶれる
S24. 8.18
457 いわのまに いろとりどりのさつきうえ このよながらのてんごくのその
岩の間に 色とりどりの皐月植え 此世ながらの天国の苑
S24. 8.18
458 みるひとの くちをそろえてほめたたう しんせんきょうのてんごくのその
観る人の 口を揃えてほめたたふ 神仙郷の天国の苑
S24. 8.18
459 てんごくの そのはかくやとおもおえて われしんせんきょうのなをつけにけり
天国の 苑は斯くやと思ほえて われ神仙郷の名をつけにけり
S24. 8.18
460 そびえたつ おおいわのえにあおぎみる かんざんていのけだかきすがたよ
そびえ立つ 大岩の上に仰ぎ見る 観山亭の崇高き姿よ
S24. 8.18
461 てんごくと みまがうばかりいわのまに しばくさつづらいももはなさける
天国と 見紛ふばかり岩の間に 芝草つづらひ百花咲ける
S24. 8.18
462 いときよき たかやまのえのいわのまに はなさきそろいてんごくしのばゆ
いと清き 高山の上の巌の間に 花咲きそろひ天国偲ばゆ
S24. 8.18
463 てんごくの はなにやあらんたかやまの いわおをつづりてさつきさくなり
天国の 花にやあらむ高山の 巌を綴りてさつき咲くなり
S24. 8.18
464 しんせんきょう いよいよなりてかんれいの めいしょとならんよのしるにつれ
神仙郷 いよいよ成りて函嶺の 名所と成らむ世の知るにつれ
S24. 8.18
465 かんとうに なだたるはこねのやまのえに われはそえけりうづのめいしょを
関東に 名だたる箱根の山の上に 吾は添えけり珍の名所を
S24. 8.18
     
    最後の日  
466 ふきすさむ あらしをよそにてんごくを ゆめにえがきつわれはありけり
ふきすさむ 嵐をよそに天国を 夢に描きつわれはありけり
S24. 6.17
467 くぶくりんの よをくつがえすいちりんの ちからはにょいのたまにぞありける
九分九厘の 世を覆えす一厘の 力は如意の玉にぞありける
S24. 6.17
468 にょいのたま うちふるいなばいかならん あくまといえどおののくなるらん
如意の珠 うち揮ひなば如何ならむ 悪魔といえど戦くなるらむ
S24. 6.17
469 みちとせを ふかくかくせしにょいのたま よにあらわるるときとなりぬる
三千歳を 深く隠せし如意の珠 世に現はるる時となりぬる
S24. 6.17
470 かみをちからに まことをつえにつくひとの などかおそれんあかきあらしも
神を力に 誠を杖につく人の などか怖れん赤き嵐も
S24. 6.17
471 まるくすも れーにんとてもきりすとの まえにひれふすときぞきぬらむ
マルクスも レーニンとてもキリストの 前に鰭伏す時ぞ来ぬらむ
S24. 6.17
472 おおかみが えがくしぐみのえのぐなり いろとりどりのしゅぎてうものは
大神が 描く仕組の絵具なり 色とりどりの主義てうものは
S24. 6.17
473 さばかるる ひのせまれるをしらずして みよくにふけるひとのあやうき
裁かるる 日の迫れるを知らずして 身欲に耽ける人の危ふき
S24. 6.17
474 いやはての さばきのにわにうちひかれ くいあらたむるともせんすべなかれ
いやはての 裁きの廷に打曳かれ 悔改むるともせんすべなけれ
S24. 6.17
475 おおいなる さばきのつぎにきたるもの そはかがやけるちじょうてんごく
大いなる 裁きの次に来るもの そは輝ける地上天国
S24. 6.17
476 てんごくの ゆめはいつしかまさゆめと なりていましもあれなんとする
天国の 夢はいつしか正夢と なりて今しも現れなむとする
S24. 6.17
477 いくるひと ほろぶるひとをたてわくる さばきのひこそよのさいごなり
生くる人 滅ぶる人を立別くる 裁きの日こそ世の最後なり
S24. 6.17
478 よのおわり そらごとなりとみしひとの あわてふためくときぞちかみぬ
世の終り 空事なりとみし人の あはてふためく時ぞ近みぬ
S24. 6.17
479 ぶつめつと いうもさいごのひというも よのきりかえのときをいうなり
仏滅と いうも最後の日というも 世の切替の秋をいうなり
S24. 6.17
480 よきひとは よろこびあしきひとくやむ しんぱんのひはせまりきぬらし
善き人は 喜び悪しき人悔む 審判の日は迫り来ぬらし
S24. 6.17
     
    善 と 悪  
481 おおいなる さちをたまわるみすくいに まなこをとずるひとのあわれさ
大いなる 幸を賜はる御救いに 眼を閉づる人の哀れさ
S24. 9.20
482 よきものを よしとみあしきをあしとみる まなこはただしきまなこなりけり
善きものを 善とみ悪しきをあしとみる 眼は正しき眼なりけり
S24. 9.20
483 ぜんあくの けじめもわかぬまなこもつ めしいのはばるよにぞありける
善悪の けぢめも分かぬ眼もつ 盲のはばる世にぞありける
S24. 9.20
※全集未収録
484 ひとのめは いつわりえてもかみのみめは いつわりえぬをしるひとのさち
人の眼は 佯り得ても神の御眼は いつはり得ぬを知る人の幸
S24. 9.20
485 おろかなる ひととはあくのたねをまき かりとるなやみしらぬひとなる
愚なる 人とは悪の種を播き 刈りとるなやみしらぬ人なる
S24. 9.20
486 しこびとの ほろぶるときとはなりにける かみのひかりのいよよかがやき
醜人の 滅ぶる時とはなりにける 神の光のいよよ輝き
S24. 9.20
     
 

四八六首収録