――― 岡 田 自 観 師 の 御 歌 集 ――― |
笑の泉(笑冠沓句集) 昭和26年1月30日 発行 1093首
| はしがき 今日本の社会、否日本人に最も必要なものは、何であるかといふと、それは笑であらう事は、心あるものの等しく唱へる処である。見よ、税金苦、食糧難、住宅難、物価高、金詰り、犯罪激増、病気の氾濫等々、宛然(さながら)地獄図絵といつてもいい。又昔から笑う門には福来ると言われる通り、近頃のように湿つぽい陰気な此娑婆では、好い事など来そうもない。故に斯んな陰欝な空気は元気よく笑の爆発で、一遍に吹つ飛ばして了う事だ。という訳で、此著を刊行する事になつたのである。読者諸君よ、一読大いに笑え! 三読羽目をはづせ。笑つて笑つて! 笑い抜いて! 天国を造るべきだ。笑いは天国の花と言うじやないか。 之は私が廿数年前、冠句の宗匠をしていた頃、笑冠句の会を作り、沢山の集句の中から選んだもので、それを又今度再選し筆を加えたものであるから、何れの句も珠玉のみといつてよかろう。 昭和二十五年十月 編 者 識 |
| 笑の泉 笑冠沓句集 選者 明烏阿呆 | ||
| 「空財布」 | ||
| 巻頭序歌 阿 呆 | ||
| 1 | 世の中の 空財布みなづつしりと 金貨をつめてやりたくぞ思う |
|
| 2 | 空財布 アヽ空財布カラ財布 芋 公 | |
| 3 | 美人も花も眼に入らない 空財布 阿 呆 | |
| 4 | 三井三菱に見せでやりたい 空財布 桃太郎 | |
| 5 | マルクスの理論も元は 空財布 同 | |
| 6 | せがむ子も黙つてしまつた 空財布 同 | |
| 7 | 浮かれ出してみてもやつぱり 空財布 ゝ 庵 | |
| 8 | こそこそと逃げる筈だよ 空財布 同 | |
| 9 | サービスに冷々してる 空財布 ぶら右衛門 | |
| 10 | 洋服で立派な髯で 空財布 変竹林 | |
| 11 | 請求書が一パイ詰つてる 空財布 瓢 箪 | |
| 12 | ハツとして眩暈起した 空財布 同 | |
| 13 | 慓えながら何遍も開けてる 空財布 同 | |
| 14 | 出るものは溜息ばつかり 空財布 運 公 | |
| 15 | 体裁に綿を詰めてる 空財布 運 公 | |
| 16 | 在るものは名刺ばかりの 空財布 ニキビ | |
| 17 | 幾度振つてもふつてもヤツパリ 空財布 同 | |
| 18 | 居酒屋の前でいぢつてる 空財布 一太郎 | |
| 19 | 口だけは立派に言つたが 空財布 同 | |
| 20 | 斯(こ)うなればヤケだと出した 空財布 同 | |
| 21 | こつそりと拾つてみれば 空財布 同 | |
| 22 | 月給日一晩寝たら 空財布 同 | |
| 23 | 日曜日病気とことわる 空財布 同 | |
| 24 | 江戸ツ子の自慢は喧嘩と 空財布 芋 公 | |
| 25 | 自殺した奴査べたら 空財布 同 | |
| 26 | 女房にや安全第一 空財布 ゝ 庵 | |
| 27 | 夫婦喧嘩因(もと)をただせば 空財布 運 公 | |
| 28 | 潔白だと意張ってる奴は 空財布 運 公 | |
| 29 | ウヰンドを睨めてゐる人大方(おおかた) 空財布 同 | |
| 30 | 天国気分になれない因は 空財布 瓢 箪 | |
| 31 | このままで生きていらりよか 空財布 同 | |
| 32 | 英雄も一寸弱つた 空財布 同 | |
| 33 | 借金とりに自慢に見せてる 空財布 同 | |
| 題 「そそつかしい」 | ||
| 34 | そそつかしい レールからすぐ十萬億土 瓢 箪 | |
| 35 | そそつかしい あんたと握れば車掌の手 運 公 | |
| 36 | そそつかしい 下女腰巻で膳を拭き 一太郎 | |
| 37 | そそつかしい 家内中の名を呼んじまい 呑 気 | |
| 38 | そそつかしい 腕時計外さず風呂へ入り 同 | |
| 39 | そそつかしい 口説いてみたら孫の嫁 ニキビ | |
| 40 | そそつかしい のとヤキモチが媽(かか)の癖 芋 公 | |
| 41 | そそつかしい 話三分で嬉しがり 桃太郎 | |
| 42 | そそつかしい 違つた女と無理心中 同 | |
| 43 | そそつかしい くせに銭勘定はたしかなり 同 | |
| 44 | そそつかしい 娘と思い下女を褒め ニキビ | |
| 45 | そそつかしい 泥棒犬の足をふみ 阿 呆 | |
| 題 「無精者」 | ||
| 46 | 無精者 火鉢の中はゴミ拾場 凹 丸 | |
| 47 | 無精者 爪の垢ほじり楽しそう 天 寳(宝) | |
| 48 | 無精者 自分自身で呆れてる 天 賓 | |
| 49 | 無精者 で男やもめじや堪らない 赤ン坊 | |
| 50 | 無精者 羽織の紐は飯粒だらけ 同 | |
| 51 | 無精者 障子に穴あけ天気を見 同 | |
| 52 | 無精者 意勢よく出す大欠伸 同 | |
| 53 | 無精者 と呆れ返っている自分 アンペラ | |
| 54 | 無精者 鼻糞ホジるが日課なり 同 | |
| 55 | 無精者 都(みやこ)腰巻穴だらけ 同 | |
| 56 | 無精者 もらう時だけ両手出し 同 | |
| 57 | 無精者 足を器用に使い分け 呑 気 | |
| 58 | 無精者 揚句の果が養老院 瓢 箪 | |
| 59 | 無精者 便所でまくるのも面倒臭え 同 | |
| 60 | 食卓を羽織で拭いてる 無精者 一太郎 | |
| 61 | 返事だけして又寝てしまう 無精者 同 | |
| 62 | 遠くから臭気でわかる 無精者 同 | |
| 63 | 羨しそうに乞食を見てる 無精者 ぶら右エ門 | |
| 64 | どの釘も着物のプランコ 無精者 天 寶 | |
| 65 | 亭主をば足で起してゐる 無精者 アンペラ | |
| 66 | 百年の恋もさめました 無精者 同 | |
| 67 | 忙しい時は病気の 無精者 呑 気 | |
| 68 | 一年の日記一度につける 無精者 同 | |
| 69 | 足袋の穴に墨を塗つてる 無精者 同 | |
| 70 | 呼ばれても居ないふりする 無精者 同 | |
| 71 | 股倉で手を温めてる 無精者 ニキビ | |
| 72 | 空家か塵溜かイヤ人が住んでます 無精者 赤ン坊 | |
| 73 | 二階から瀧を降らせる 無精者 芋 公 | |
| 74 | 筒先を庭に向けてる 無精者 変竹林 | |
| 75 | 天国は寝る事ですよと 無精者 瓢 箪 | |
| 題 「ケチンボウ」 | ||
| 76 | けちんぼう 媽(かか)は不経済と独身者 丸 々 | |
| 77 | けちんぼう 上には上と感心し ぶら右エ門 | |
| 78 | けちんぼう の研究これが経済学 同 | |
| 79 | けちんぼう 鼻紙幾度も日光浴 天 寶 | |
| 80 | けちんぼう 寄付金してから不眠症 変竹林 | |
| 81 | けちんぼう 宴会の隅でふさぎ込み 同 | |
| 82 | けちんぼう 子供寝かして菓子を喰い のらくら | |
| 83 | けちんぽう の出世したのが高利貸 瓢 箪 | |
| 84 | けちんぽう たたつて恋愛失敗し 同 | |
| 85 | けちんぼう 吸口燃えてもまだ捨てぬ アンペラ | |
| 86 | 歩くのに畳をスルなと けちんぼう 天 寶 | |
| 87 | お賽銭人から借りる けちんぼう 天 品 | |
| 88 | 花見なんか行くのは馬鹿だと けちんぼう 箆 棒 | |
| 89 | 見え坊で助平でおまけに けちんぽう アンペラ | |
| 90 | 恥も外聞も何の糞かと けちんぼう 瓢 箪 | |
| 91 | 金満家先祖はどれも けちんぼう 赤ン坊 | |
| 92 | 日曜日水飲んですます けちんぼう 一太郎 | |
| 93 | 儲かれば信仰するという けちんぼう 芋 公 | |
| 94 | 算盤をハジいて恋する けちんぼう 同 | |
| 題 「なさけない」 | ||
| 95 | 情ない 酒屋の前で唾を呑み 一太郎 | |
| 96 | 情ない 酒が出なけりや来ない奴 同 | |
| 97 | 情ない 貧乏神から御神徳 同 | |
| 98 | 情ない シワと白髪が増すばかり 同 | |
| 99 | 情ない 帽子でかくれぬ禿天窓(はげあたま) 同 | |
| 100 | 情ない 媽(かかあ)に来手がないのです 同 | |
| 101 | 情ない あゝ情ない媽(かか)の面 アンペラ | |
| 102 | 情ない 婦人科医者にオツピロゲ 同 | |
| 103 | 情ない 親子孫まで居候 赤ン坊 | |
| 104 | 情ない サイレンが腹へひびきやがる 同 | |
| 105 | 情ない と盲はレビユーで涙出し のらくら | |
| 106 | 情ない 洋服お髯で子をオンブ 同 | |
| 107 | 情ない いくらシヤンでも不具(かたわ)では 丸 々 | |
| 108 | 情ない 便所の前は珠数つなぎ 天 寶 | |
| 109 | 情ない 同情されて邪魔にされ 天 品 | |
| 110 | 情ない 事もするんだわパンの為 芋 公 | |
| 111 | 情ない ホームで見てる汽車の尻 凹 丸 | |
| 112 | 情ない 出るには出たが屁と欠伸(あくび) アンペラ | |
| 113 | 情ない 話を聞いて笑う馬鹿 赤ン坊 | |
| 114 | 情ない 眼をして米櫃(こめびつ)をのぞいてる 運 公 | |
| 115 | 情ない 声を乞食は研究し 瓢 箪 | |
| 116 | 情ない 奴だ便所に穴をあけ 同 | |
| 117 | 情ない あるべき処にない娘 阿 呆 | |
| 118 | 殖えるのは借金と子供とは 情ない 天 宝 | |
| 119 | 三畳に二夫婦とは 情ない 呑 気 | |
| 120 | 若夫婦見る度俺は 情ない 凹 丸 | |
| 121 | 貧乏を褒めてくれるとは 情ない 芋 公 | |
| 122 | 吸い殻をキヨロキヨロ探すとは 情ない ニキビ | |
| 123 | 御歴々が皆空っぽうとは 情ない 同 | |
| 124 | 大学出て種馬の御用とは 情ない 同 | |
| 125 | 離縁状屁が原因とは 情ない 一太郎 | |
| 題 「朴念人」(ぼくねんじん) | ||
| 126 | 朴念人 屁のような事でも感心し 呑 気 | |
| 127 | 朴念人 支那の人かときく間抜 ぶら右エ門 | |
| 128 | 朴念人 が返事するまで五分間 丸 々 | |
| 129 | 朴念人 客にお茶出し自分が先に呑み 同 | |
| 130 | 朴念人 あれで女房と子供あり 阿 呆 | |
| 131 | 十を聞き何にも悟れぬ 朴念人 一太郎 | |
| 132 | 子伜(せがれ)に理屈聞いてる 朴念人 同 | |
| 133 | 冠婚葬祭の代理の役が 朴念人 同 | |
| 134 | 情なや一家揃つて 朴念人 呑 気 | |
| 135 | 言う主張どこか判らぬ 朴念人 ぶら右エ門 | |
| 136 | ポーツとしてただ生きている 朴念人 天 品 | |
| 137 | あれでまあ博士様です 朴念人 同 | |
| 題 「泡くつて」 | ||
| 138 | 泡くつて 弁解してる裾のシミ 運 公 | |
| 139 | 泡くつて 仲裁すればロケーション 同 | |
| 140 | 泡くつて 飛び乗つて見れば車庫行だ アンペラ | |
| 141 | 泡くつて 止める小便靴の音 同 | |
| 142 | 泡くつて 千切れちぎれの立小便 同 | |
| 143 | 泡くつて 汽車を飛び降り冥土行 一太郎 | |
| 144 | 泡くつて キツスをしたら舌を噛み 同 | |
| 145 | 泡くつて 女郎屋を湯屋と取違え 同 | |
| 146 | 泡くつて 二号の名前で媽(かかあ)よび 同 | |
| 147 | 泡くつて ころげて娘チヨツト出し 同 | |
| 148 | 泡くつて 裸で飛出たら何でもない 桃太郎 | |
| 149 | 泡くつて トンでも御座らぬ部屋を開け 同 | |
| 150 | 泡くつて 膝にはさんだラヴレター のらくら | |
| 151 | 泡くつて 汗を拭いたが臭気あり 同 | |
| 152 | 泡くつて 三つ手前の駅で下車 凸 丸 | |
| 153 | 泡くつて 焦る程筒先定まらず 同 | |
| 154 | 泡くつて 七夜を初七日と言つちまい 天 寶 | |
| 155 | 泡くつて 人の亭主にカジりつき 丸 々 | |
| 156 | 泡くつて 昼の銭湯で今晩は 芋 公 | |
| 157 | 泡くつて つい泣くとこを笑つちやい 同 | |
| 158 | 泡くつて 紙幣と間違い春画出し 阿 呆 | |
| 159 | 泡くつて ブン殴つたら恋人だ 同 | |
| 160 | 泡くつて 男の声出した女形 同 | |
| 題 「ずるい奴」 | ||
| 161 | ずるい奴 後家だと見れば入びたり 運 公 | |
| 162 | ずるい奴 人のオンブで物を買い 赤ン坊 | |
| 163 | ずるい奴 も病気してからチヨツト治り 凹 丸 | |
| 164 | ずるい奴 自分のは土産に人のを喰べ のらくら | |
| 165 | するい奴 女中のお腹をロハで借り 同 | |
| 166 | ずるい奴 ばかりで娑婆(しゃば)は一パイさ ニキビ | |
| 167 | ずるい奴 自序伝をみな逆にかき 瓢 箪 | |
| 168 | 何ともかんとも言えない目付の ずるい奴 同 | |
| 169 | 袖の下で交際をする ずるい奴とずるい奴 同 | |
| 170 | 散財さして礼を言わさす ずるい奴 同 | |
| 171 | 飲み食いがあれば集る ずるい奴 同 | |
| 172 | 玉代をくれとは媽(かか)ア ずるい奴 阿 呆 | |
| 173 | 閻魔帳地獄で盗む ずるい奴 同 | |
| 題 「コソコソと」 | ||
| 174 | こそこそと 婦人科病院出る娘 芋 公 | |
| 175 | こそこそと 持出す処を一寸待て 同 | |
| 176 | こそこそと 貯めて冥土へ持つて行き 同 | |
| 177 | こそこそと する事はない天下晴れての夫婦だよ 同 | |
| 178 | こそこそと 鼠とは違うらしいわい 赤ン坊 | |
| 179 | こそこそと 娘出してる薬綿 一太郎 | |
| 180 | こそこそと 内しよ話はよしてくれ 同 | |
| 181 | こそこそと 戸棚開けてる居候 運 公 | |
| 182 | こそこそと 忍び込んだら警察署 呑 気 | |
| 183 | こそこそと 袖の下から肚さぐり 桃太郎 | |
| 184 | こそこそと 猫かと思えば御主人様 曾呂利 | |
| 題 「変な奴」 | ||
| 185 | 変な奴 転業したらチンドン屋 運 公 | |
| 186 | 変な奴 近寄つてみれば亭主なり 同 | |
| 187 | 変な奴 ニキビの出来てる嫁探し 桃太郎 | |
| 188 | 変な奴 でも大切(だいじ)の大切の宿の人 呑 気 | |
| 189 | 変な奴 女と見れば猫撫声 ニキビ | |
| 190 | 田合者が見れば江戸ツ子は 変な奴 芋 公 | |
| 191 | 女と金が嫌いとぬかす 変な奴 同 | |
| 192 | 此時節に何して食つてるか 変な奴 ぶら右エ門 | |
| 193 | 御免下さいと言うから出てみりや 変な奴 ニキビ | |
| 194 | 美人に抱かれて何ともないとは 変な奴 瓢 箪 | |
| 195 | 処女ですかと一々聞きやがる 変な奴 同 | |
| 196 | 病人で飯三人前とは 変な奴 同 | |
| 197 | 眼付から面(つら)から全体 変な奴 同 | |
| 198 | 立小便で画を描いている 変な奴 曾呂利 | |
| 題 「びくびくと」 | ||
| 199 | びくびくと 腰浮かせながら撮(つま)み食い 曾呂利 | |
| 200 | びくびくと 尻から入る親爺の部屋 のらくら | |
| 201 | びくびくと する程縮まる睾(きん)の丸 運 公 | |
| 202 | びくびくと お土産持参で嫁に行き 同 | |
| 203 | びくびくと 三井三菱なんか可愛そう 同 | |
| 204 | びくびくと 首撫でながら社長室 ニキビ | |
| 205 | びくびくと 晦日(みそか)を越してホツとする 瓢 箪 | |
| 206 | びくびくと 絶対にない事を心配し 同 | |
| 207 | びくびくと 自分が怖いとは変テコだ 同 | |
| 208 | びくびくと しますよ女房に睨まれちや 天 寶 | |
| 209 | びくびくと しないような娘はオリヤ嫌だ 同 | |
| 210 | びくびくと ふるえて亭主感づかれ 一太郎 | |
| 211 | びくびくと 若様を怖がる小間使 同 | |
| 212 | びくびくと 覗けば此野郎と下女ドナり 木偶の坊 | |
| 213 | びくびくと 出たり引つ込んだり立小便 同 | |
| 214 | びくびくと モデルはズロ-ス外してる 赤ン坊 | |
| 215 | びくびくと 睾丸(きんたま)しきりに伸びちぢみ 箆 棒 | |
| 題 「此野郎」 | ||
| 216 | 此野郎 チヨット本署へついて来い 凸 丸 | |
| 217 | 此野郎 に身を委せたのが身の因果 曾呂利 | |
| 218 | 此野郎 とコン畜生がツカミ合い 木偶の坊 | |
| 219 | 此野郎 娘つかまえて何をする 同 | |
| 220 | 此野郎 借り倒すたけが名人だ 天 寶 | |
| 221 | 此野郎 二言目には又金だ ニキビ | |
| 222 | 此野郎 の為にや親爺も泣かされた 運 公 | |
| 223 | 此野郎 と言うか言わぬうち拳固飛び のらくら | |
| 224 | 女便所を覗く所を 此野郎 一太郎 | |
| 225 | お里が知れますよ貴婦人が 此野郎 同 | |
| 226 | 人前だぞ恥を知れ恥をしれ 此野郎 赤ン坊 | |
| 227 | 女みたいなイケ好かないよ 此野郎 ニキビ | |
| 228 | いい加減はつきりしろよ 此野郎 瓢 箪 | |
| 229 | ハイハイと言いつつ肚では 此野郎 同 | |
| 230 | 今に見ろ一ペンに頭下げさすぞ 此野郎共 阿 呆 | |
| 題 「ダー」 | ||
| 231 | ダー となり居候梯子降りきれず 天 品 | |
| 232 | ダー となりかけた処がそこは曲者テツヘツヘヽヽヽヽ 瓢 箪 | |
| 233 | 洋服ぬいだら六尺褌(ふんどし)で ダー アンペラ | |
| 234 | 下痢腹で屁をやり損ね ダー ニキビ | |
| 題 「テツヘツヘツヽヽ」 | ||
| 235 | テツヘツヘツヽヽ とタイピストに見惚れでいる社長様 一太郎 | |
| 236 | テツヘツヘツヽヽ 仲々御綺麗なお嬢さん達で実は南瓜揃い ニキビ | |
| 237 | テツヘツヘツヽヽ 昨夜はタンとお娯しみ 同 | |
| 238 | テツヘツヘツヽヽ 人の物使つていれば一番経済だ 曾呂利 | |
| 239 | テツヘツヘツヽヽ 彼女から来たらしいラブレター 瓢 箪 | |
| 240 | テツヘツヘツヽヽ 先生に限りますとさ但し病気の時だけ 阿 呆 | |
| 241 | あ見それ申しましたお嬢様ではないので テツヘツヘツヽヽ ニキビ | |
| 題 「チヱツ」 | ||
| 242 | チヱツ 拾つてみたらサイダーの栓 アンペラ | |
| 243 | チヱツ 財布は空だし媽(かかあ)は膨れるし 同 | |
| 244 | チヱツ 俺の財布 桃太郎 | |
| 245 | チヱツ 現金でなくちや売らないとさ 同 | |
| 246 | チヱツ 例のお説教さ 曾呂利 | |
| 247 | チヱツ 何が華族だ祖先は盗賊じやねえか 千 成 | |
| 248 | 居候お櫃(ひつ)の蓋をあけては チヱツ 赤ン坊 | |
| 249 | 独身者銀ブラし乍ら何度も何度も チヱツチヱツ 同 | |
| 250 | 奥さんはいつもお綺麗です事肚の底では チヱツ 一太郎 | |
| 251 | 野郎自分の席を譲つたら婆さんドツコイシヨに チヱツ ぶら右エ門 | |
| 252 | レヴュガールのズロースが長過ぎらア チヱツ 芋 公 | |
| 題 「アンボンタン」 | ||
| 253 | アンポンタン と木偶の坊とは親類か 木偶の坊 | |
| 254 | アンポンタン とは何の薬かと訊いてる真正の安本丹 同 | |
| 255 | アンポンタン めと子供を叱るが生んだ親は誰だ 錦 魚 | |
| 256 | アンポンタン ってなぁーに妾薬かと思つたわだと空トボケルナ ニキビ | |
| 257 | アンポンタン これでも籍は華族様 曾呂利 | |
| 258 | アンポンタン を売物にする太え奴 芋 公 | |
| 259 | アンポンタン 叱言を言ったら笑やがる アンペラ | |
| 260 | アンポンタン が上役だから堪らねえ 瓢 箪 | |
| 261 | アンポンタン は自分だと知るまでが一苦労 同 | |
| 262 | アンポンタン はお世辞ですよ本音は馬鹿野郎 箆 棒 | |
| 263 | アンポンタン 口を開けてるが何か食いたいのか 一太郎 | |
| 264 | アンポンタン の亭主だから妾の利巧が判るんだわ 丸 々 | |
| 265 | 十を聞いてみんな忘れる 安本丹 桃太郎 | |
| 266 | 神も仏もあるものかとは厄介な 安本丹 同 | |
| 267 | 金が無くなると夫婦喧嘩で慰めるという変な 安本丹 同 | |
| 268 | 割勘だけはとても確かな 安本丹 一太郎 | |
| 269 | 江戸ツ子はサツパリとした 安本丹 同 | |
| 270 | 結婚の杯を遠慮する 安本丹 運 公 | |
| 271 | 若様はお偉う厶(ござ)いますよ肚では 安本丹 箆 棒 | |
| 272 | 結婚の晩どうしていいか判らぬ 安本丹 天 寶 | |
| 273 | 雪隠(せつちん)で鼾(いびき)かいてる 安本丹 ニキビ | |
| 274 | フロツク着りやとても立派な 安本丹 瓢 箪 | |
| 275 | 親爺とオフクロは朴念人出来た伜は 安本丹 同 | |
| 276 | 銀座と新宿でウヨウヨしてる 安本丹 同 | |
| 題 「笑わせやがらア」 | ||
| 277 | 笑わせやがらア あの面で愛して頂戴だと のらくら | |
| 278 | 笑わせやがらア 見上げるような伜を坊ちやんだと 同 | |
| 279 | 笑わせやがらア 病院に葬式自動車の珠数つなぎとは 一太郎 | |
| 280 | 笑わせやがらア 世の大峠はどこの山にありますかと 箆 棒 | |
| 281 | 笑わせやがらア 頭下げれば何だ勧誘員か 天 寶 | |
| 282 | 笑わせやがらア どこのお嬢さんかと思つたら貴様なのか 赤ン坊 | |
| 283 | 笑わせやがらア 妾まだ処女なのよだと ニキビ | |
| 284 | 笑わせやがらア 箱入娘だと思つたら青梅が食べたいだとさ 同 | |
| 285 | 笑わせやがらア 妾(あたし)幸福など望みませんだと 瓢 箪 | |
| 286 | 笑わせやがらア 誠一つで嘘八百 瓢 箪 | |
| 287 | 自分より偉い者はあるかとさ 笑わせやがらア 天 寶 | |
| 288 | あれでお嫁に行きたいんだとは 笑わせやがらア 同 | |
| 289 | オールドミスがお嬢様だとは 笑わせやがらア 運 公 | |
| 290 | あの面で俺を騙そうとはへン 笑わせやがらア 一太郎 | |
| 291 | 仁術などといつて前金で手術するとは 笑わせやがらア 同 | |
| 292 | 花柳病も神様のお気づけとは 笑わせやがらア 箆 棒 | |
| 293 | 一銭で家内安全商売繁昌無病息災とは 笑わせやがらア 赤ン坊 | |
| 294 | 奥さんは気短かと仰有つてイザお仕度は二時間半 丸 々 笑わせやがらア |
|
| 295 | 銀行へ積んでるというから本当かと思つたら 同 ナーンだ一六銀行だ 笑わせやがらア |
|
| 296 | 娘がダンスファン伜が映画ファン親爺は行未不安とは とま子 笑わせやがらア |
|
| 題 「ケツの穴」 | ||
| 297 | ケツの穴 のような名前だ水戸黄門 天 寶 | |
| 298 | ケツの穴 余りに広過ぎてウンが逃げ 和 日 | |
| 299 | ケツの穴 の生命線はキンの玉 芋 公 | |
| 300 | ケツの穴 空気を吸つているようだ のらくら | |
| 301 | ケツの穴 スボメてお嬢さんかしこまり 瓢 箪 | |
| 302 | ケツの穴 の落行く先は痔の病院 同 | |
| 303 | ケツの穴 大きくしたいなら芋を食へ 同 | |
| 304 | ケツの穴 小さいクセに屁はデカい ニキビ | |
| 305 | ケツの穴 ブツさけるようにブツ放し 木偶の坊 | |
| 306 | ケツの穴 大きすぎて褌(ふんどし)すぐよごれ 椋 鳥 | |
| 307 | ケツの穴 が欠伸(あくび)している失業者 芋 公 | |
| 308 | 問題の起りは小さな ケツの穴 箆 棒 | |
| 309 | 観音様にもありましようか ケツの穴 瓢 箪 | |
| 310 | お嬢様ガタバスじや毀れますよ ケツの穴 天 寶 | |
| 311 | 毒瓦斯(ガス)発明の元はといえば ケツの穴 一太郎 | |
| 312 | 屁に物を言わせて笑わす ケツの穴 同 | |
| 313 | 銭湯屋の流しで行列の ケツの穴 赤ン坊 | |
| 314 | 大砲の元祖査べたら ケツの穴 同 | |
| 題 「ワシヤツライ」 | ||
| 315 | ワシヤツライ サイレン聞く時の居侯 赤ン坊 | |
| 316 | ワシヤツライ 借金の言訳もう種がねえ 天 寶 | |
| 317 | ワシヤツライ という愚痴聞くワシヤ尚ツライ ニキビ | |
| 318 | ワシヤツライ 原因を考えたら何にもないのでした 瓢 箪 | |
| 319 | ワシヤツライ 祝詞の最中屁が出そう 凸 丸 | |
| 320 | 便所が満員で ワシヤツライ 呑 気 | |
| 321 | 眠いのに亭主に起され ワシヤツライ 同 | |
| 322 | 唐紙一重が ワシヤツライ 丸 々 | |
| 323 | 金がなくて金があると見られるのは ワシヤツライ 同 | |
| 324 | 貴方妾(あたし)のズロース洗つて頂戴ね ワシヤツライ 椋 鳥 | |
| 325 | 朝から晩まで御説教 ワシヤツライ 運 公 | |
| 326 | 同伴席の後でアーア ワシヤツライ 天 寶 | |
| 327 | 人中でまた掻いです ワシヤツライ 珍 公 | |
| 328 | 風呂の中出るに出られず ワシヤツライ 凸 丸 | |
| 329 | 蟇口(がまぐち)曰く今月も後半月が ワシヤツライ 阿 呆 | |
| 330 | 湯屋の番台で息子 ワシヤツライ 同 | |
| 331 | 神様扱いされるのでエロ話も出来ず ワシヤツライ 同 | |
| 題 「ペツチヤンコ」 | ||
| 332 | ペツチヤンコ のまんま蟇口(がまぐち)年を越し 椋 鳥 | |
| 333 | ペツチヤンコ になつて電車を止めた奴 同 | |
| 334 | ペツチヤンコ にしてやるから今に見ろ 丸 々 | |
| 335 | ペツチヤンコ に座つているので屁が出ない 錦 魚 | |
| 336 | 鏡と御相談遊せなで ペツチヤンコ 天 寶 | |
| 337 | ウヰンクされて色男ぶつたら的は後の人で ペツチヤンコ のらくら | |
| 338 | 親爺が馬面媽(かかあ)が蛙面出求た娘が ペツチヤンコ 椋 鳥 | |
| 339 | お嬢様はホンマに福々しいお顔でへヽヽヽ 阿 呆 実は鼻がペツチヤンコ |
|
| 340 | ヅシンと座つた大かい尻で蚤の奴 ペツチヤンコ 同 | |
| 題 「コン畜生」 | ||
| 341 | コン畜生 と思つても亭主なりやこそ 丸 々 | |
| 342 | コン畜生 に違えねえや狐の襟巻 芋 公 | |
| 343 | コン畜生 とくりやもはや倦怠期 椋 鳥 | |
| 344 | コン畜生 と思つていたら死んじまい 阿 呆 | |
| 345 | 親方は舌で動かしや コン畜生 和 日 | |
| 346 | 小僧主人に叱られうつかり コン畜生 一太郎 | |
| 題 「お豪〔偉〕う厶(ござ)いますよ」 | ||
| 347 | お偉う厶いますよ 宮内省へお勤めで実は便所の汲取役 一太郎 | |
| 348 | お偉う厶いますよ お宅の奥様は貴方を尻にへツヘツヘツ 同 | |
| 349 | いつも御人格の御広告 お偉う厶いますよ 瓢 箪 | |
| 350 | 我輩は放蕩大学卒業生だよ お偉う厶いますよ 一太郎 (成程早稲だね) |
|
| 351 | 世界中一眼に見ゆるとは お偉う厶いますよ(地図を広げて) 飴ン棒 | |
| 352 | 俺の若い頃は外へ出ると袖がちぎれたもんだよ 桃太郎 お偉う厶いますよ(犬殺しをしていたのか) |
|
| 353 | 俺は偉いだらう片つ端から倒しちやうよ 同 お偉う厶いよすよ(但し借金を) |
|
| 354 | 貞操は許しても心は許さないとは お偉う厶いますよ 芋 公 | |
| 題 「助けてくれー」 | ||
| 355 | 助けてくれー ヒヤー水風呂だ 桃太郎 | |
| 356 | 助けてくれー と若い女の声有難え待つてました 同 | |
| 357 | 助けてくれー 一生のお願ですとは何度目じや 瓢 箪 | |
| 358 | 助けてくれー とは貧乏人じやねえ三井三菱様だよ 千 成 | |
| 359 | 助けてくれー と今にお医者の方がいうよ 芋 公 | |
| 360 | 助けてくれー 俺はもう世の中がイヤにならねえとは 同 チト変だ |
|
| 361 | 助けてくれー の一声ドブーン 瓢 箪 | |
| 362 | 助りでくれー 牛の断末魔のようなへボ謡(うたい) ニキビ | |
| 363 | 助けてくれー の所は息子三度読み 椋 鳥 | |
| 364 | 助けてくれー の悲嗚待ってるスキー場のニキビ共 同 | |
| 365 | 助けてくれー と呼んでも毎度の夫婦喧嘩で隣ではフフーン 丸 々 | |
| 題 「ウツフ」 | ||
| 366 | 居候戸棚のぞいては ウツフ 箆 棒 | |
| 367 | 便所の中で饅頭食いながら ウツフ 丸 々 | |
字余り笑冠沓句
字余り笑冠沓句 |
||
| 題 グータラベー | ||
| 368 | グータラベー でも頭さえ好けりや妾 我慢するわ 錦 魚 だとさ(ハツクシヨイ) |
|
| 369 | グータラベー 仕事の時は大いに遠慮して 食う時は一番槍 箆 棒 | |
| 370 | グータラベー に限つて真似目とは変だねとは変だね 鉄 砲 | |
| 371 | グータラベー 机に向えばコックリコックリ 注意すれば 一太郎 今考えているんだーと |
|
| 372 | グータラベー 結婚したのはいいが 次の日 桃太郎 花嫁の着物は一六銀行へ預けたので 新妻は左様なら |
|
| 373 | グータラベー 机に向つてグーグーグー 女の話が出ると 一太郎 眼をパッチりとは グ一タラベーじやないね |
|
| 374 | グータラベー は毎日何をしているんですか 椋 鳥 先生「ハイ グーは居睡りする事 タラは涎(よだれ)を垂す事 ベーは屁をすること」 |
|
| 375 | パイプくわえて掃除しながら 片つ端から灰を落している 乙 女 グータラベー |
|
| 376 | お祭最中鼾(いびき)と寝言の グータラベー ニキビ | |
| 377 | 食べる時は馬のよう 寝る事は鱶(ふか)のよう 万女子 働く時はゼロ人前という グータラベー |
|
| 378 | グツタリと寝て コツソリと起き ニツコリと飯を食い 布 袋 何処かえ消えてしまう グータラベー |
|
| 379 | 用をするでもなく しないでもなく 起つでもなく 布 袋 座るでもなく ただボーツとしている グークラベー |
|
| 380 | 「貴方 お尻がムズムズするの 掻いてくれない」 椋 鳥 「ウンよしよしこの辺か」「もうちつと下よ」「ウン此所か」 「アヽソコよ貴方はホントにグークラベーね」 |
|
| 381 | 自分の嬶(かかあ)の事を人に相談するのが 一太郎 即ちグータラベーだよ |
|
| 382 | 大飯と屁より外に能のない グータラベー 一太郎 | |
| 383 | 飯時と寝る時と 銭勘定だけは 極めて正確な グータラベー 芋 公 | |
| 384 | 能書(のうがき)が九分九厘で 仕事が一厘 舟 子 差引ゼロの グータラベー |
|
| 385 | 晩になると二階へ上つて 机に帳面を載せ 肱で頬杖ついて眠り 瓢 箪 お菓子が出ると眼をパツチリひらく グータラベー |
|
| 386 | 現代放れがしていると言われ ほめられたと思つて 瓢 箪 嬉しがつている グータラベー |
|
| 387 | 私には何にも欲はない 地位も名誉も 財産も女房も要らぬ 瓢 箪 ただ自由に寝たいという グータラベー |
|
| 388 | 火鉢を抱えては居睡りをし 着物は焼穴だらけの グータラベー 瓢 箪 | |
| 389 | 米櫃(こめびつ)が空になつても平気で寝てる グータラベー 瓢 箪 | |
| 390 | 問題が難しくなると居睡りの グータラベー 瓢 箪 | |
| 題 助平野郎 | ||
| 391 | 助平野郎 の天職は(女を喜ばす事じや) 瓢 箪 | |
| 392 | 助平野郎 がデレ助を生みデレ助が 助平野郎を生み 瓢 箪 斯(か)くして人類は繁栄するんである |
|
| 393 | 助平野郎 の方が女に好かれ ベランメー 俺様のような君子が好かれないとは教育が悪いんだな |
|
| 394 | 喰いつきたい程好きだとは 狂犬のような 助平野郎 芋 公 | |
| 395 | オヽ随分大きいお釜ですね 何升位炊けますかねだと 万女子 この助平野郎 |
|
| 題 ソーラみろ | ||
| 396 | ソーラみろ 傷物になつちやつた 赤ン坊 | |
| 397 | ソーラみろ 松茸の中毒で腹膜炎 舟 子 | |
| 題 くそでも喰え | ||
| 398 | 糞でも喰え 女は嫌いだなんて言ひながら アノ目付 唐辛子 | |
| 399 | 糞でも喰え つて神様は仰有るだらう 一銭で家内安全 商売繁昌 いい媽(かかあ)を 頓兵衛 もつように 持つたら良い子が 出来ますように 勧業債券も当りますようにだつて言うんじや |
|
| 400 | 糞でも喰え なんて言わないでも 既に糞喰つてますよ つばめ 蛆虫共はね |
|
| 401 | 糞でも喰え 小便が詰つていても 寝床から出るもんけえ だるま | |
| 402 | 糞でも喰え とは言わないよ 百万円の持参金つきなら ニキビ 目ツカチで チンバの花嫁でもね |
|
| 403 | 歯抜けの爺さん 若い娘のお尻を狙うので 娘恥しそうに 舟 子 糞でも喰え |
|
| 404 | 「あゝいい月なるかな 恋路の暗を 照してくれる 錦 魚 何と嬉しき此夜ではある」「ヤツ誰だ 此夜中に寝言ホザキやがつて」何だと 糞でも喰え |
|
| 405 | 「何卒々々ミス日本の恋を叶はせ下さいませ」と 拝むと 錦 魚 弁天様ソツポ向いて 糞でも喰え |
|
| 406 | 便所でチリンチリン電話のベル 誰が出るものか 糞でも喰え 珍 公 | |
| 題 アカンベー | ||
| 407 | アカンベー をしたら 眼へ蚊が飛込みやがつた 瓢 箪 | |
| 408 | アカンベー をやりたいよ一生に一皮は 女に口説かれてね 瓢 箪 (いつも女にアカンベーばかりされているからな) |
|
| 409 | アカンベー してもしなくても同じ様な アノお顔 芋 公 | |
| 410 | アカンベー とは先生どんな屁ですかな 瓢 箪 (それは 下の方が話つているので眼から出す屁じや) |
|
| 411 | アカンベー だよ君にやる位なら 神様に捧げるよ 緋 鯉 といつたが 実は俺が使つちやつたんだよ |
|
| 412 | あの娘 アカンベーを年中やつているんで 緋 鯉 トウトウ薮睨みになつたんだとさ |
|
| 題 ケチンボウ野郎 | ||
| 413 | ケチンボ野郎 屁までキザミやがる 飴ン棒 | |
| 414 | ケチンボ野郎 お礼はいつも舌の先で 間に合せやがる お 万 | |
| 415 | ケチンボ野郎 一生懸命 湯屋と蕎麦屋の うさぎ 御気嫌をとつてけつかりやがる |
|
| 416 | ケチンボ野郎 円タクへ乗り 蟇口を忘れたといつて 孑 孑 降りたり 乗つたり トウトウ目的地迄タダ乗り |
|
| 417 | ケチンボ野郎 キヤラメルは勿体ない キャラメル と言つて赤ン坊に消ゴムをしゃぶらせていやがる |
|
| 418 | ケチンポ野郎 臨終の間際 自分の着物を惜しそうに眺めながら 目 高 まだまだ半年位着られるんだがなアー |
|
| 419 | ケチンボ野郎 同志の対話「飯食う事は不経済だから 凸 丸 俺は食わん事にしたよ」と 言えば 「そうか俺は垂れんことにしたよ」――で ケリ |
|
| 420 | ケチンボ野郎 下駄の鼻緒を針金でこしらえ 団 子 「先づこれで 百年はもつな」 |
|
| 421 | ケチンボ野郎 の睾丸(きんたま)は 瓢 箪 豌豆(えんどう)位の大きさだとさ |
|
| 422 | 「ケチンボ野郎 と言われて癪だから 瓢 箪 俺は持つてるだけみんな出そう」 「何だ いくらだ チエツ タツタ一円じやねえか」 |
|
| 423 | 掃除賃は不経済だと 小便をワザワザ 瓢 箪 一町先の共同便所へ行つて 垂れやがる ケチンボウ野郎 |
|
| 424 | 醤油壷へ箸をなめては突込み 醤油がふえるので経済だという ニキビ ケチンボウ野郎 |
|
| 425 | 何日食はなきや死ぬか と 訊く ケチンボウ野郎 芋 公 | |
| 426 | 媽(かかあ)の仕着せを買つてやつて 一週間寝たという 阿 呆 ケチンボウ野郎 |
|
| 題 アヽ堪らねえ | ||
| 427 | アヽたまらねえ と 三助褌(ふんどし)を固く締め 一太郎 | |
| 428 | アヽたまらねえ と 姑(しゅうとめ)は やけに咳払い 一太郎 | |
| 429 | アヽたまらねえ と 思つたら ナアーンダ 芋 公 財布に穴があいてやがらア |
|
| 430 | アヽたまらねえ この暑いのに一晩中 責められて お 万 「奥さんにですか」「イヤ蚤にですよ」 |
|
| 431 | アヽたまらねえ 程金がたまらねえ 千 成 | |
| 432 | アヽたまらねえ 見ちやいられねえ レヴユー女の股が 椎の実 ブツ裂けやアしねえかと思つて |
|
| 433 | アヽたまらねえ ケツが痒くてかゆくて 待てよ 蝶 々 之が本当のケツカクという病気だな |
|
| 434 | アヽたまらねえ 苦しい苦しい 金はいくらでも出すから 一太郎 助けてくれ―― つてな病人はないものかな |
|
| 435 | アヽたまらねえ 便所は満員だし 破裂しそうだし お嬢さん アヽどうしよう(何がですか) |
|
| 436 | アヽたまらねえ と 助けを求める金持の後家さんは 千 成 いないものかなー |
|
| 437 | アヽたまらねえ ほど金が貯るとは 是即ち妙智力 芋 公 | |
| 438 | アヽたまらねえ「夜が明ければ金 日が暮れれば金なんだから」 芋 公 「ホーそりや結構だな」「イヤナニ 金が出るんで」 |
|
| 439 | アヽたまらねえ 皺苦茶婆アの御浄霊 一太郎 お湯に一年も入らないので臭い事 臭い事 |
|
| 440 | アヽたまらねえ 毎晩音ばかし聞かされるんでねー 芋 公 「ソリヤ何の音だ」「銭勘定さ」 |
|
| 441 | アヽたまらねえ ほど溜るのは 罪と そうして便所だよ 千 成 | |
| 442 | 狐のサツクが歩いている とは言うものの好い女だな 大黒天 アヽたまらねえ |
|
| 443 | 主人の留守へ入つた泥棒 妻君の寝姿を見て 舟 子 職業意識を忘れちやい アヽたまらねえ (ナンダ 泥棒にも職業意識があるのか) |
|
| 444 | 着物の外からじや 悪い処がハツキり判らないと言つたら 芋 公 イキナリ、クルつと捲くつたんで 流石の先生 アヽたまらねえ |
|
| 445 | 「チヨイとお前さん 立つてるついでに水を汲んで来ておくれ」 芋 公 「アイヨ」「それから、盥(たらい)の中にあるもの洗つといてね」 「アイヨ」「それが済んだら髪結さんとこへ使いに行つてね」 「オイオイ、いくら観音行でも あゝ堪らねえ」 |
|
| 446 | 若夫婦に あまり 御神徳をやり過ぎた 神様曰く 芋 公 「アヽたまらねえ 見ちやいられねえ」 |
|
| 447 | 「あなた 近所では評判よ あなた位好男子(こうだんし)で 目 高 気前がよくて 女房おもいの方はないとさ あなた 明日 お芝居見に行きましようよ」 で 亭主 アヽ堪らねえ |
|
| 448 | ピクニツクで 黄金水を嗅がされた若い二人づれ「アヽ堪らねえ」芋 公 と言つたら お百姓「コツチがヨツポド 堪らねえや」 |
|
| 449 | 神様の話を聞かされてる男 突然「アヽ堪らねえ」 芋 公 教師得意顔に「あなたはとても偉い 私の話が判つたんですね」 男「イエ ナニ ソノー 小便がしたいんで」 |
|
| 500 | 観音様も有難いが 赤いケダシの弁天様もわるくはないね 大黒天 アヽ堪らねえ |
|
| 501 | 夫婦喧嘩 犬のお産 媽の惚気 亭主の浮気 舟 子 一々神様へ持つて来られ 流石の神様 アヽ堪らねえ |
|
| 502 | 講話中踵(かかと)でお尻を押えながら アヽ堪らねえ 芋 公 | |
| 503 | 春は来た 萌ゆる若草 空の色 物干にヒラツク赤い褌 芋 公 アーアー 堪らねえ |
|
| 題 フフーンだ | ||
| 504 | フフーンだ お顔はお鍋の蓋のよう お尻はお釜のよう 錦 魚 お三どんにはおアツライだね お前さんは |
|
| 505 | フフーンだ こちとらはチヤーンと○○を掴んでるんだから 坊ちやん 安心なもんや ○○とはナンダ 睾丸だらう |
|
| 506 | フフーンだ そんなに謎をかけないで 欲しけりや欲しいと 錦 魚 仰有いよ 黄金ならいくらでも分けて上げるよ ソラ便所の中から |
|
| 507 | フフーンだ 机の匂いを嗅いでるんじやねえよ 茂 十 紙を甜めているんだ |
|
| 508 | フフーンだ アタイに早く寝ろねろつて 父ちやん母ちやん 坊ちやん 変だわね |
|
| 509 | フフーンだ アレがあの人のアレか それで 坊ちやん あれがアレなんだな ナールホド(モツト、ハツキリ言え) |
|
| 510 | フフーンだ ね湯船の中で屁を垂れやがつて 小ねこ 浮上つた玉をジーツト見てやがらア |
|
| 511 | フフーンだ 尋常大学まで卒業した拙者をつかまえて 坊ちやん 無学文盲とは怪しくりからん (尋常大学とは巧え事をぬかしたな) |
|
| 512 | フフーンだ 天が地となり 地が天となるつて 芋 公 それじや俺はサツチヨコ立ちを 稽古しよう |
|
| 513 | フフーンだ 女に好かれ 困つているんだ 芋 公 二三十人ばかりにね ダガ 病人ばかりナンだ |
|
| 514 | フフーンだ と言うてくれるない 服は破れる 靴は切れる 坊ちやん 帽子はクチヤクチヤ 靴下は穴だらけ 蟇口はカラ 彼女にはエツパツパ |
|
| 515 | フフーンだ 今時家賃なんか払つて堪るけえ 茂 十 太え大家だ―とは太え野郎じや |
|
| 516 | 「誰だい 夜這いに来たのは」「夜這いじやねえよ 茂 十 布団を剥いでいるから 掛けてやつたんだ」 「ヘン 大きにお世話様 フフーンだ」 |
|
| 517 | 男の方つて 若い女を見ると すぐに 立つんですのね 舟 子 電車の席を フフーンだ |
|
| 518 | 僕は よくもここまで磨けたものと思うよ 偉いと言はれても 坊ちやん フフーン 馬鹿ツと言はれても フフーンだ (ブンナグツても フフーンか) |
|
| 519 | 或人曰く「千手観音様でも 女が欲しいんで 小ねこ あんなに沢山手をお出しになつているんじやないですか」に 流石の観音様も フフーンだ |
|
| 520 | 三十八歳で 処女だとさ フフーンだ ニキビ | |
| 521 | 天に口あり 壁に耳あり 股に○あり ○に髭あり 茂 十 臍にゴミあり フフーンだ |
|
| 522 | こうやつてお茶を濁してりや、ミロクの世迄に 芋 公 神様が何とかして 下さるだらうで 神様 フフーンだ |
|
| 523 | 婆のクセにズロース フフーンだ 芋 公 | |
| 524 | 南瓜面でも 土左衛門になると 美人になるんだから ニキビ 飛込みなよ 南瓜さん フフーンだ |
|
| 題 バツタ組 | ||
| 525 | バツタ組 つて一体どんな奴ですか それは 瓢 箪 今に神様が表はれると 目がくらんで ヘタバツタりしちやう奴でサア |
|
| 526 | バツタ組は神代時代からチヤーンと 腰をバネ仕掛に神様が 芋 公 お造りになつたんだね |
|
| 527 | バツタ組 目下待期中 阿 呆 | |
| 528 | バック組加入の資格如何 (一)認識不足 (二)盲聾なること 瓢 箪 (三)人の悪宣伝をなし御神業の妨害をする事 (四)嘘をツキ尻餅をツキ ゴテツキ フラツキ ペコツク奴だよ |
|
| 529 | バツタ組 つてどういう連中か知つてるかい アー知つてるよ 孑 孑 媽(かかあ)の尻の下に押えつけられへタバッタ奴だらう |
|
| 530 | 今にバツタ組 が沢山来るんで畳がハゲると損だから 瓢 箪 今の中アンペラか 藁を敷いておきませうか (ナーニ土間へ砂利を敷けば沢山だよ) |
|
| 531 | いくら何だつて バツタ組には断じてならない証拠に 芋 公 髭を生やし初めたんだな 彼奴は |
|
| 532 | 朝晩のお礼はマサカ バツタ組の練習じやありますまいねー 芋 公 先生 |
|
| 533 | 何 バツタ組が面会させろつて ナランナラン 坊ちやん 只今大先生はお昼寝の真最中じや |
|
| 題 大馬鹿野郎 | ||
| 534 | 大馬鹿野郎 が一生懸命薬と情死(しんじゅう)していますとさ 桃太郎 | |
| 535 | 大馬鹿野郎 と 言はれても口惜しくないようになれだと 桃太郎 ウツフ |
|
| 536 | 大馬鹿野郎 不思議そうに曰く 雨が降ると 天気が悪いんだな お嬢さん | |
| 537 | 大馬鹿野郎 とは人様の事と思つているのが 桃太郎 即ち大馬鹿野郎の大馬鹿野郎たる所だよ |
|
| 538 | 大馬鹿野郎 運は寝て待てといはれ 毎日床の中で寝ているとさ 箆 棒 | |
| 539 | 大馬鹿野郎 の方でも決して人様に劣るもんけえ お嬢さん 失敗の数から言つてもねえ |
|
| 540 | 大馬鹿野郎 というお方はドナタ様で「ヘーあなた様で」で 赤ン坊 ギヤフン |
|
| 541 | 大馬鹿野郎 得意気に曰く「今は逆様の世だとなると俺達は お嬢さん 大利巧という事になるんだな |
|
| 542 | 大馬鹿野郎 曰く一体神様はどこにいるんだい 赤ン坊 見えねえじやねえかだと |
|
| 543 | 大馬鹿野郎 とはなかなか言つてくれんもんじやな 孑 孑 俺位偉くなるとね とはいよいよ大馬鹿野郎だね |
|
| 544 | 大馬鹿野郎 なればこそ此暑いのに 議論ばかりしているんだよ 芋 公 | |
| 545 | 大馬鹿野郎 と肚で思って「ネーあなたは様子が好いわね 目 高 奢んなさいよ」と言はれ「ウンヨシヨシ」とは いよいよ大馬鹿野郎 |
|
| 546 | 野球の放送に炭屋の小僧夢中になり タドンをつかみ ベランメー ピツチヤーの真似しながら お内儀(かみ)さんの尻をカーン 此大馬鹿野郎 |
|
| 547 | パンパンを買つて病気が染(うつ)るか染らないか 芋 公 神様を試してみようと言う 大馬鹿野郎 |
|
| 548 | お爺さんが 僕の事を 大馬鹿野郎と言つたよ 孑 孑 お父さんに似ているんだからだとさ でお爺さん ダー |
|
| 549 | チト変だと俺を審判(さにわ)したら 腹の中の 桃太郎 モロモロ共曰く「お前位 大馬鹿野郎はないよ」と言やがる |
|
| 題 チト変だ | ||
| 550 | チト変だ 足音で障子がビシャリ 坊ちやん | |
| 551 | チト変だ 障子の中 坊ちやん | |
| 552 | チト変だ と思つたらフーンナル程そうかハハー 瓢 箪 「解つたか」「イヤわからねえ」 |
|
| 553 | チト変だ と思つたら原因褌(ふんどし)にあり 瓢 箪 | |
| 554 | チト変だ ね二言目には救つてやる救つてやるつて 瓢 箪 まるで人を鮒か鰌(どじょう)にしてやがる |
|
| 555 | チト変だ けれどまあいいや ズロースも猿又と 孑 孑 同じようなものだから なア媽(かかあ) |
|
| 556 | チト変だ と思つたら あの女は奥さんじやなくて 孑 孑 奥様のお留守をする奥様なんだとよ (何だか馬鹿にややこしいな) |
|
| 557 | チト変だ 薩摩芋を喰過ぎてお腹が膨れたとはねえ 木偶之坊 | |
| 558 | チト変だ ○○さんの近頃の目付 おぼこ 「馬鹿 あれはトラホームに罹つたんだ」 |
|
| 559 | チト変だ と思えない処がチト変だ とは大いに変だ 芋 公 | |
| 560 | どうもチト変だ と思つたら婦人便所だ 孑 孑 (ウソ言え、承知で入つたんだらう) |
|
| 561 | 余り誠が有過るんでみんな逃げちやつた とは チト変だ 芋 公 | |
| 562 | 誠は腹の中へ仕舞い込んで ブラブラ遊んでいるとは 芋 公 チト変だ |
|
| 563 | 早寝の代りに朝が遅いんだ とは チト変だ 舟 子 | |
| 564 | 雨は降るし子供は寝たし あなた どう致しませうか 蟇 仙 とは チト変だ |
|
| 565 | 此暑さで親はヘトヘト 伜は元気だとは チト変だ 蟇 仙 | |
| 566 | 人の金を借り倒して これが世界の型になるんだ 舟 子 とは チト変だ |
|
| 567 | 二階から小便をして ソーラ夕立だ とは頭が チト変だ 曾呂利 | |
| 題 デレ助野郎 | ||
| 568 | デレ助野郎 曰く抑々(そもそも)天地の創りは 伊邪諾伊邪冉(イザナギイザナミ)が(モウ判つたよ) 瓢 箪 |
|
| 569 | デレ助野郎 妾宅で大往生 阿 呆 | |
| 570 | デレ助野郎 の気取つたアノ面 妾(あたし) 丸 々 唾引つかけてやりたいわ |
|
| 571 | 媽(かかあ)が留守だと ボンヤりしている デレ助野郎 丸 々 | |
| 572 | 磐若のような嬶(かかあ)をもつて喜んでいやあがる 丸 々 デレ助野郎 |
|
| 573 | 黙つている奴はデレ助野郎 お喋舌りな奴は 助平野郎だとさ 飴ン棒 | |
| 574 | 金槌でガンとやり 頭から水ブツかけて 尻の穴から 阿 呆 焼火箸を突ツ込みたい デレ助野郎 |
|
| 575 | 女便所の外で 媽(かかあ)の荷物を抱えて待つてる 阿 呆 デレ助野郎 |
|
| 題 いい気持だね | ||
| 576 | いい気持だね 借金棒引 阿 呆 | |
| 577 | 先生 大戦争で男が澤山死んだら 女が随分残るでせうね 木偶之坊 そうなつたら いい気持だね |
|
| 578 | 向側に腰かけた丸ポチヤのシヤン 酔払が隣へ座つたら 木偶之坊 僕の隣へ避難して来たです いい気持だね |
|
| 579 | 娘ソツと○を開いてアヽいい気持だね と言うからよく見たら 飴ン棒 ナーンだ 扇風機で風を入れてるんだ |
|
| 580 | 割勘の時の狸寝入り いい気持だね だるま | |
| 581 | 俄(にわか)雨で令嬢と合々傘 いい気持だね つばめ | |
| 582 | 新婚のお二人さんの自動車がパンクとは いい気持だね つばめ | |
| 583 | 財布の尻をヒツパたいて焼糞で アヽ いい気持だね 芋 公 | |
| 584 | 居睡りし乍ら親爺の叱言(こごと)を聞くのは いい気持だね 椋 鳥 | |
| 題 チヤンチヤラおかしいや | ||
| 585 | チヤンチヤラおかしいや 処女だとさ へ――あの大い尻 桃太郎 | |
| 586 | チヤンチヤラおかしいや その面で今晩愛して頂戴ねだと のらくら | |
| 587 | チヤンチヤラおかしいや 妾(あたし)処女だわ なんて 入 道 子供が三人あるくせに |
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| 588 | チヤンチヤラおかしいや 妾二度と夫は持ちません 頓兵衛 という未亡人がもう狸 |
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| 589 | チヤンチヤラおかしいや 俺を欲で釣りたがつてやがる 桃太郎 アノ後家婆め |
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| 590 | チヤンチヤラおかしいや じやねえ チヤンチヤラ悲しいや ニキビ 俺は未だ 独身者(ひとりもの)なんだよ |
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| 591 | チヤンチヤラおかしいや 親爺の脛なんか モー骨ばかりで のらくら 味も何にもありやしねえよ |
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| 592 | チヤンチヤラおかしいや 後姿にポ-ツとして のらくら 前へ廻つたら 出ツ歯で般若面 |
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| 593 | チヤンチヤラおかしいや 日比谷の喧嘩場の立派な事 珍 公 | |
| 594 | チヤンチヤラをかしいや 江戸ツ子だと意張つたつて 木偶之坊 いつも財布は空じやねえか |
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| 595 | チヤンチヤラおかしいや 太鼓を叩いて御利益があるなら 団 子 お神楽の囃し方は大福長者になるよ |
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| 596 | チヤンチヤラおかしいや 昨夜嬶(かかあ)の前で 孑 孑 ペコペコあやまつていたのを 俺はちやんと見たんだよ |
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| 597 | チヤンチヤラおかしいや 御自分だけ正に許した筈の恋仲も 芋 公 肝腎の先方様は未だ何にも御存知なし |
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| 598 | チヤンチヤラおかしいや 今にみろ だなんて言ってる奴こそ 芋 公 今にみろだ と言つてやりてえ位 今に見ろなんだよ |
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| 599 | チヤンチヤラおかしいや 女の博士は何を国家に貢献 天 寶 するんでせうね ハイ それは亭主尻敷主義を鼓吹するんです |
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| 600 | チヤンチヤラおかしいや 二言目には 家の女房が女房がだと 赤ン坊 | |
| 601 | チヤンチヤラおかしいや お臍でお茶が沸きすぎて アー熱い 赤ン坊 | |
| 602 | チヤンチヤラおかしいや 実際僕は色気なんてないんだが 瓢 箪 貴方だけにはね―― |
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| 603 | チヤンチヤラおかしいや 私は別に慾はありませんよ 瓢 箪 たゞ美人と金だけで結構なんで |
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| 604 | 一銭のお賽銭で商費繁昌 家内安全 無病息災 頓兵衛 大難は小難 小難は無難 善い子供が授かりますようにだと チエツ チヤンチヤラおかしいや |
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| 605 | 妾アンナ男嫌いだわ と言つている彼女のチンクシヤ面 頓兵衛 チヤンチヤラおかしいや |
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| 606 | 病気だ病気だと言い乍ら 食うのは三人前 丸 々 へン チヤンチヤラおかしいや |
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| 607 | 一羽でもニワトリ 赤く咲いても葵の花 乙 女 昨日買つても京菜 山の中でも山梨県 梨がアリの実とは チヤンチヤラおかしいや |
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| 608 | 僕はモウチツト ポテポテした肉体美の女が好きだね ゝ 子 何言つてやがるんだい ゴリラみたいな面で チヤンチヤラおかしいや |
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| 609 | 先づ大根を輪切りに切つてよく洗つて鍋へ入れ 十三分間 ゝ 子 茹つたら砂糖を茶匙に一匁五分 オイオイ此忙しいのに チヤンチヤラおかしいや |
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| 610 | 大神様より山の神様の方が恐いとさ チヤンチヤラおかしいや ニキビ | |
| 611 | 求婚広告 三十五歳 独身者無係類 資産予想一千萬円以上 ニキビ 絶世の美人を求む ヘン チヤンチヤラおかしいや |
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| 612 | 信者のクセに医者通いとは 仮名でかくと 芋 公 チ・ヤ・ン・チ・ヤ・ラおかしいや |
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| 613 | 夫婦和合も結構ですが あんまり度が過ぎて 神経衰弱とは 芋 公 ヘン チヤンチヤラおかしいや |
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| 614 | 男なんて大嫌いですわ イヤその反対でせう 丸 々 チヤンチヤラおかしいや (ナーニその反対の反対ですよ とはヤツパリ同じだよ 馬鹿ツ) |
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| 615 | チヤンチヤラおかしいや 糞でも喰え わからずやのアンポンタンの ヘナチヨコ野郎の スカンピンのオツチヨコチヨイの キザで明盲で 芋の煮えたのも御存じない ヤクザのクセに アンニヤモンニヤの 五里夢中はおろか フヌケでマヌケで 何をさしても ノロマで 蜂の頭同然 グータラベ-の古狸のようにイケ図々しい 屁のようにブツブツ吐かす 慾一点張りの コイビシヤク同然 手の付けられないクセに 此三千世界の大救世主大彌勒様に向つて ゴテゴテと善だとか悪だとか 姑婆のように小ウルさくホザキやがるに至つては 最早勘忍袋の緒が切れ 金の棒どころか鉄の棒でドヤしつけるかもしれねえから 今のうちに覚悟してをけ 今に俺様がチヨイと掌を返すと 急転直下 奈落の底へ落ツコチル奴が ウンと出来るかもしれねえから、一時も早く眼を醒まし 耳の穴をカツポジツて来やがれ 庭の草ムシりか 塵溜の蛆虫とり位に使つてやろうから 阿 呆 |
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| 題 蛆 虫 | ||
| 616 | 蛆虫 というのは虫ですか 人間でしようか 丸 々 何つ それは貴様のような奴だよ |
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| 617 | 蛆虫 よりモツトモツトイヤな鼻高が 蛾になる蛆虫だよ のらくら | |
| 618 | 蛆虫共め クサイ相談をコソコソやつてやがらア 瓢 箪 | |
| 619 | 蛆虫野郎がラヴレターをよこしたので妾困つちまうわ 返事を教えて下さい先生(よろしい糞でも喰へと言つておやり) 桃太郎 |
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| 620 | 蛆虫共を生かしているのは誰だ 決つてらア 糞の塊さ 三 助 | |
| 621 | 宇治は茶所 蛆虫は糞壷 氏がなくとも玉の輿お宮詣りは 角兵衛 ウヂ神様よだ コリヤコリヤ |
|
| 622 | 「あまり世の中が発達したので 蛆虫が畳の上に住む様になり 錦 魚 人間様の居所がなくなつたといつて雪隠へ落すのも 大きくてハミ出すという始末 先生此始末をどうしますかね」 「先づ灰にして大風の日に飛ばしなさい」 |
|
| 623 | 「君は僕と話をする時 蛆虫ウジムシというが 頓兵衛 一体誰の事を言うんだい」「判らねえか 君の事だよ」 |
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| 624 | 驚く勿れ 世界の蛆虫二十億 天 品 | |
| 625 | 休めば都だ と嬉しがつてる糞壷の蛆虫 天 品 | |
| 626 | 「先生蛆虫が面会したいといつて来ました」 瓢 箪 「ヨシ黄金が欲しいだらうから、便所へ案内しろ」 |
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| 627 | 米は稲からとれ 札は紙からとれ 蛆虫は糞から生れるのは 芋 公 昔から決つてらあ この蛆虫め |
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| 628 | 美人とかシヤンとかいつても 下から見上げた日にや 芋 公 イヤハヤ……と 或日蛆虫が申しましたとサ |
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| 629 | 糞壷の中から異様なものを見上げ 蛆虫の子 芋 公 「母アちやん怖いよ怖いよ」 |
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| 630 | 蛆虫の親は蝿で 蝿の親は蛆虫で 蛆虫の親は…………… 阿 呆 アヽウルセヱ |
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| 631 | 蛆虫の説 蛆虫は 最も不潔なる所を好み 糞壷 塵溜溝泥(どぶどろ)の中 又腐つたものに喜んでタカる事は諸君も御存じなるべし 然るに万物の霊長たる人間にして 此蛆虫に劣るほどの代物があるに至つては 吾等君子人たる者長大歎息せざらんと慾するも 豈(あに)得ペけんやである いよいよ大浄化が始まるや 蛆虫共は真先にフンノビ 赫々たる太陽の光に目がツブレ 糞壷へ落ちる事請合なり アナ恐しや 阿 呆 |
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| 題 イヤな野郎 | ||
| 632 | イヤな野郎 だ上役にはペコペコ下の者にはガミガミ 孑 孑 女と見れば猫撫声 |
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| 633 | イヤな野郎 が死んでホツとしたよ 実は借りがあつたんだ 頓兵衛 | |
| 634 | イヤな野郎 番台の妻君と用もない話を無理に延していやがる 頓兵衛 | |
| 635 | イヤな野郎 でも隣の玉ちやんには好かれますよ 木偶之坊 馬鹿つ アレは猫だ |
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| 636 | 「イヤな野郎 チエツだ」 お 万 と裾の乱れを直している女給君ではある |
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| 637 | イヤな野郎 だ女の尻ばつかり迫つ駆けていやがる 団 子 (マルで犬だね) |
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| 638 | イヤな野郎 が好い媽や銭を有つてる世の中だから 俺は早く 桃太郎 最後の審判を祈つているんだ(それが貴様の入信の動機だな) |
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| 639 | イヤな野郎 だなど思つてよくく見れば鏡に写る俺の顔 桃太郎 | |
| 640 | イヤな野郎 と思つて結婚したら とてもいいの ホヽヽヽ 赤ン坊 (殴るぜ) |
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| 641 | イヤな野郎 をみんな此世から無くして 瓢 箪 お前と二人キリでいたいね というイヤな野郎 |
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| 642 | イヤな野郎 だなと思つて見上げると 瓢 箪 イヤな野郎だなと見下げやがる |
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| 643 | 毎朝食堂で食う事も忘れて 女の顔ばかり見廻している 錦 魚 本当に イヤな野郎だ |
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| 644 | 電車の振動 占めたとばかり 彼女にもたれかかりやがる 布 袋 イヤな野郎だ |
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| 645 | 飯焚きは釜の尻を撫で アイツは 凸 丸 その飯焚きの尻を○○るんだとは イヤな野郎だ |
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| 646 | お風呂で居睡り 便所は三十分 飯が一時間とは イヤな野郎だ 椋 鳥 | |
| 647 | 「先生痔が痛むんです」「ヨシお尻をお出し 椋 鳥 アツ キタネー イヤな野郎だ」 |
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| 648 | もう沢山ですよ頂けないんです と言つてから食うは食うは 頓兵衛 イヤな野郎だ |
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| 649 | 決して音をさせないスカ屁の名人だ と言う イヤな野郎 坊ちやん | |
| 650 | 先生曰く 「私のようなイヤな野郎が 御覧の通り改心したんだから 桃太郎 如何に偉大なる信仰であるかが判るです――」 と言つて宣伝しなさい |
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| 651 | みろくの世への思出に 一ペンドンチヤン騒ぎを 芋 公 してみたいとは イヤな野郎だ |
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| 652 | 朝六杯晩に八杯で二食主義になりましたとは イヤな野郎だ 芋 公 | |
| 653 | 一ペンでいいから 女の股引を穿く所をみたいと言う 芋 公 イヤナ野郎 |
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| 654 | アイツは実に怪しからん 俺が金を借りたら催促しやがるし 孑 孑 返したら受取りやがる イヤな野郎だ (貴様こそ イヤな野郎だ) |
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| 題 屁でもかぎやがれ | ||
| 655 | 屁でもかぎやがれ とお鍋君肱鉄砲 桃太郎 | |
| 656 | 屁でもかぎやがれ と言はんばつかりに 桃太郎 お尻をプリンと出して 彼女はブツと出しました |
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| 657 | 屁でもかぎやがれ 蛆虫共と言つたら 蛆虫曰く 芋 公 「そんなものは俺達の鼻へは感じねえや」 |
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| 658 | 屁でもかぎやがれ と申し上げたいですが 舟 子 此二三日お腹の具合が悪いので やめておきます |
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| 659 | 屁でもかぎやがれ ワンピースの曲線美に見惚(みと)れて 芋 公 なんぞ居るけえ 俺の妹に似ているから見てるんでえ |
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| 670 | 屁でもかぎやがれ と捲くる途端に一発 イヤ堪らねえー 赤ン坊 助けてくれー |
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| 671 | 屁でもかぎやがれ と気張つたら ○が出ちやつた 珍 公 | |
| 672 | 屁でもかぎやがれ とやつてみたいが 孑 孑 ズボンをはいているので どうもへヽヽヽ |
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| 673 | 屁でもかぎやがれ 知らざあ言つて聞かそうか 即ち屁には 孑 孑 ブースーピーの三通りあつて ブーは天真瀾漫なるも スーは陰性にして悪臭甚しく ピーなるは最も下にして 度重なる時は褌(ふんどし)をよごすなり |
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| 674 | 電車が満員で 苦しまぎれに ブーツ 肚の中で お 万 屁でもかぎやがれ |
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| 675 | 便所の戸を開けたらコレハコレハ 大尻姫大声で 瓢 箪 屁でもかぎやがれ |
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| 題 ガラクタ共 | ||
| 676 | ガラクク共 アツト気がつきや ソコは八衢(やちまた) 晒 楽 | |
| 677 | ガラクタ共 が瀬戸物屋の地震のように 桃太郎 ガラガラガラ転落する大峠 |
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| 678 | ガラクク共 よ 吾こそは神に仕える真人だぞよ 団 子 ダガ 実はシヤンが一人欲しいね |
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| 679 | ガラクタ共 お詫びに来ればお情けをもつて お 万 便所掃除位に使つてやるよ |
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| 680 | ガラクタ共 とは最初はガラガラ騒いで 瓢 箪 終いにはクタクタになる言霊じや |
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| 681 | ガラクタ共 に神様の教を聞かすのは大先生じや勿体ないから 瓢 箪 信者のガラクタ先生にしようよ |
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| 682 | ガラクタ共 処か虫のように思はれて来たよ 此頃の俺様は 瓢 箪 | |
| 683 | ガラクタ共 が親の有難さを知つたというから聞いてみりや 孑 孑 留置所へ差入弁当を入れてくれた時だつたとさ |
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| 684 | ミロクの世の暁 地獄の底から 羨しそうにのぞいて見ている 一太郎 ガラクタ共 |
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| 685 | 大学出も俺様から見りやヤツパリ ガラクタ共 一太郎 | |
| 686 | 女の生命線をねらう ガラクタ共 舟 子 | |
| 687 | 神は無いといつても 山の神には甘いだろう このガラクタ共 乙 女 | |
| 688 | サー ドンドン歩いた歩いた 夜の新宿の ガラクタ共 芋 公 | |
| 689 | ドタン場迄改心を延そうとしている ガラクタ共 瓢 箪 | |
| 題 俺 様 | ||
| 690 | 俺様 は裸になつても寒くはねえ(土用中はね) 赤ン坊 | |
| 691 | 俺様 の事は判らねえが 人様の事は尚判らねえや 俺様は 瓢 箪 | |
| 692 | 俺様 も媽の前じや九割引さ(ジャー実価は一割だな) 芋 公 | |
| 693 | 俺様が 飯を焚くんであります みろくの世まで 芋 公 | |
| 694 | 何と言つても 俺様の右へ出る者がないわい 芋 公 (右が不具(かたわ)なんで) |
|
| 695 | 此俺様も借金取の前にや 影も形もなくなるんだから お嬢さん 情ねえよ 君 |
|
| 696 | 金持がギヤフンとする時 俺様はスーツとする 舟 子 | |
| 697 | 芝居の幕引男 俺様が出なけりや 始まらねえや ニキビ | |
| 698 | 狐や狸が 俺様と言やがりや 人間様は一体何だツ 飴ン棒 (サツク様だよ) |
|
| 題 仙 人 | ||
| 699 | 太鼓腹をツン出した女仙人曰く「あんまり霞を喰べ過ぎたのよ」 芋 公 | |
| 題 ぶんなぐれ | ||
| 670 | ぶんなぐるといい音がするだろうよ アノ禿薬缶 運 公 | |
| 671 | ぶんなぐれ 誰を イヤ大掃除の時 畳を 飴ン棒 | |
| 672 | 初恋の味ですかつてホヽヽヽ くすぐつたいような 飴ン棒 痒いような 酢つぱいような カルピスのような 納豆の…… ヤイヤイ ぶんなぐるぜ |
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| 題 ハツクシヨイ | ||
| 673 | ハツクシヨイ を堪えたら 尻から ブウー 団 子 | |
| 674 | ハツクシヨイ と 歯クソと鼻クソと目クソを 河 鹿 一緒にブツパナシやがつた アノ爺 |
|
| 675 | ハツクシヨイ 簡単服の下から 赤い腰巻がダラーリ 孑 孑 | |
| 676 | ハツクシヨイ ○○さんあんまり女房に可愛がられるので 瓢 箪 アノ近頃の痩せ方 |
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| 677 | 医者の薬へ祝詞を奏げて服んだら 尚よく効くでしようかと 舟 子 お伺すると 神様 ハツクショイ |
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| 678 | 寒中胸も脚も丸出の洋装美人続け様に ハツクシヨイ 万女子 | |
| 679 | 魚河岸の哥兄 寒中シヤツ一枚で ハツクシヨイ 万女子 エーイ チョツトも寒くねえんだ ハツクシヨイ |
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| 680 | ミロクの世になつたら一夫多妻主養にならねえかな 木偶之坊 神様 ハツクショイ |
|
| 681 | いくら何でも 僕の媽だけにはいい着物を着せたいよ 芋 公 媽(かかあ)大きく ハツクシヨイ |
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| 682 | 暗がりの公園に 二人連れ あつちからもこつちからも 団 子 ハツクシヨイ ハツクシヨイ |
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| 683 | 風邪を引いた弁士登壇して 「ワタクスは ハツクシヨイ 阿 呆 只今ソウカイイタスマスタ ス厶ズ君の為に ムナサンクヨク一票を」聴衆 ハツクシヨイ |
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| 題 糞つ垂野郎 | ||
| 684 | 糞つ垂野郎 が発明したんだね 下剤は 赤ン坊 | |
| 685 | 糞つ華野郎 があるから飯が食えるんですよ おワイ屋さんわね 凹 丸 | |
| 686 | 糞つ垂野郎 ここを何処と心得ちよるか 天 品 雪隠じやない 公園じやぞ |
|
| 687 | 糞つ垂野郎 を上手に使つてみえる大先生のお腕には感心しますよ 万女子 大先生(実は 私も糞つ垂野郎ですがね) |
|
| 688 | 糞つ垂野郎 奴貴様が来てから糞壷が直に一パイになるぞ 一太郎 チト加減せんかい |
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| 689 | 糞つ垂野郎 が多すぎて 娑婆は臭え事 臭え事 阿 呆 | |
| 690 | アヽいい気持だと 雪隠で天国気分の 糞垂野郎 芋 公 | |
| 691 | 子供曰く「お父ちやん 今日は旗日だとお母ちやんが言うから 箆 棒 旗を出してね」ナンダ此糞垂野郎 |
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| 692 | 女給の前では気前をみせ 家へ帰れば女房の湯銭まで 万女子 ケチケチしやがる 此糞垂野郎 |
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| 693 | オイ女 もうちつとこつちへ来いよ エツヘヽヽヽ 頓兵衛 「何をするんですよ 此糞垂野郎」 |
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| 694 | チヨイチヨイ私にくいつこうとする 犬のような 糞垂野郎 ニキビ | |
| 695 | 肥料車(こえぐるま)曳く牛曰く「人間つて奴は 木偶之坊 どいつもこいつも 糞垂野郎ばかりだ」 |
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| 696 | とうとうあの娘の聟(むこ)になりやがつたな 赤ン坊 アノ碌でなしの アノ此糞垂野郎めが |
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| 697 | 「大峠は凡そ何時頃ですか」と伺えば 大先生は 一太郎 「お前みたいな糞垂野郎のクタバる時だ」との御言葉でありました |
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| 698 | 今朝から一度もしないのに 糞つ垂野郎とは之如何(これいかに)一太郎 (真黒な尻を隠す所を雪隠というが如し) |
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| 699 | 糞を垂れるより外能のない奴が ツマリ 糞垂野郎さ 阿 呆 | |
| 題 御冗談でしよう | ||
| 700 | 御冗談でしよう とドンと一発肘鉄砲 運 公 | |
| 701 | 御冗談でしよう 此唇は 茶椀より外に のらくら 誰にもサワラセやしないのよ |
|
| 702 | 御冗談でしよう 西瓜を噛むにはいいですが のらくら キツスには邪魔ですとさ 此出ツ歯は |
|
| 703 | 御冗談でしよう 「水道のホースがハネたんですよ 此しみは」 のらくら | |
| 704 | 御冗談でしよう レツキとした彼氏が へン あるんですわよ ニキビ | |
| 705 | 御冗談でしよう こんなオールドミスに思召しがあるなんて 天 寶 嬉しくもありますわよ |
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| 706 | 御冗談でしよう 横巾よりか いくらか丈の方が短いだと 舟 子 | |
| 707 | 御冗談でしょう 借金なんか踏倒すもんですか 桃太郎 みんな空手形で払いましたよ |
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| 708 | 御冗談でしょう 女は嫌いじやないんですが神様が恐いから 阿 呆 我慢しているだけなんですよ 私の品行方正なのはね |
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| 709 | 十年も信仰した私が灰になるなんて ゴゴヽヽヽ御冗談でしよう 芋 公 | |
| 710 | 一生懸命身魂を研いたら なくなりやしませんかだと ベランメー チエツ 御冗談でしよう |
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| 711 | 奥さん御留守中はサゾお淋しいでしよう ドンナ御用でも 一太郎 致しますからエツヘヽヽヽ ヘン 御冗談でしよう |
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| 題 馬鹿にしてやがらア | ||
| 712 | 馬鹿にしてやがらア 飯の中のチヂレツ毛 芋 公 | |
| 713 | 馬鹿にしてやがらア 隣座敷のキッスの音 団 子 | |
| 714 | 馬鹿にしてやがらア もうおナカが膨んで来やがる 団 子 (馬鹿ツ亭主を経てば当りメエだ) |
|
| 715 | 馬鹿にしてやがらア 金が何だ財産が何だ 俺が判らねえか 曾呂利 (判つてるよスカンピンのピーピー野郎さ) |
|
| 716 | 馬鹿にしてやがらア 借着だから汚してもいいとさ 赤ン坊 それが俺の着物なんだよ |
|
| 717 | 馬鹿にしてやがらア さんざ待たして 明日お出でだと 赤ン坊 | |
| 718 | 馬鹿にしてやがらア と思い乍らも おぼこ 優しく頼む彼女を見てわねえ |
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| 719 | 馬鹿にしてやがらア 勿体ねえや 豚姫なんて つばめ 豚に姫をつけやがつて(馬鹿アべコベだ 姫に豚をつけたんだ) |
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| 720 | 馬鹿にしてやがらア と言はれてみたいです 同伴席の私達 芋 公 | |
| 721 | 馬鹿にしてやがらア 居睡りなんかしていたんじやねえ 芋 公 机の匂いを嗅いでいたんでえ |
|
| 722 | 馬鹿にしてやがらア 屁の詮議なんか 実は俺様がやつたんだ ニキビ アアいい気持だ |
|
| 723 | 馬鹿にしてやがらア 鼻糞ホジツタ手で 餅菓子を ニキビ 撮(つま)んでくれやがるんだ (馬鹿世の中はみんなそんなもんだよ) |
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| 724 | 馬鹿にしてやがらア 早く帰れと催促しやがる新婚の家庭 ニキビ | |
| 725 | 馬鹿にしてやがらア 俺様は病気なんてない健康だよ 瓢 箪 と言いながら ゴホンゴホン ハツクシヨウ |
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| 726 | 時は春 彼氏と彼女 絹のシヨールにスマートな背広服 三 助 天気は好い ブラリブラりお手々つないで来やがる へン 馬鹿にしてやがらア |
|
| 727 | お前のような女でも 俺だから女房にしといてやるんだ お 万 なんて威張るが 夜になると マルデ猫のよう 馬鹿にしてやがらア |
|
| 728 | 一寸待つて頂戴ね 今真最中なのよ 何をつて愧しいわ 頓兵衛 アノ蚤をとつてるのよ 馬鹿にしてやがらア |
|
| 729 | 苦しい事はメグリとり 失敗が成功のもと 悪い事は 瓢 箪 善い事の始まりとは チエツ 馬鹿にしてやがらア |
|
| 730 | しなだれかかる彼女の夢を見ていた彼 目がさめてナンダ 弁 天 馬鹿にしてやがらア |
|
| 731 | 家の親爺は 女を見る眼と 俺達を見る眼と 木偶之坊 目付きが違いやがらア 馬鹿にしてやがらア |
|
| 732 | 花嫁があまりに慣れた態度に 聟殿 プンプンすれば ニキビ 「どなたもそう仰有いましたわ」だと 馬鹿にしてやがらア |
|
| 733 | 禿た処をみて 朧月は趣があるんだと ヘン何とでも言え 孑 孑 馬鹿にしてやがらア |
|
| 734 | 今に病気が治つて鱈腹(たらふく)儲かつたら 芋 公 信仰してもいい―だとさ 馬鹿にしてやがらア |
|
| 735 | 犬がロース 人間が小間切れとは へン 馬鹿にしてやがらア 頓兵衛 | |
| 736 | 彼の野郎は金があるクセにないといい 此野郎は無いクセに 頓兵衛 あると言やがる ドツチも人を 馬鹿にしてやがらア |
|
| 737 | いくら今日は今日はと呼んでも 出て来ないと思つたら 舟 子 ナアーンだ若夫婦か 馬鹿にしてやがらア |
|
| 738 | 久し振りで旅から帰つて来たその晩お客様 馬鹿にしてやがらア 舟 子 | |
| 739 | 尻に敷かれている亭主 ヘン座蒲団じやあるめえし 舟 子 馬鹿にしてやがらア |
|
| 740 | ヘー あなたの御主人は ズロ-スの洗濯はしないんですか 舟 子 だとさ 馬鹿にしてやがらア |
|
| 741 | 猫のサカリを二階から見て独身者(ひとりもの) 芋 公 チエツ 馬鹿にしてやがらア |
|
| 742 | 子供曰く「僕はお臍から生れたんだとよ」馬鹿にしてやがらア 芋 公 | |
| 743 | 議会の傍聴に行つた男「ナーンダ 今日は撲り合いは 芋 公 ないじやねえか ツマラネー 馬鹿にしてやがらア」 |
|
| 744 | アスフワルトの道路へ 小便で不二山を描きながら 酔つぱらい 舟 子 ウイー ババ馬鹿にしてやがらア |
|
| 題 スベタ | ||
| 745 | 「此スベタ奴出て行けとは 妾(あたし)イツソ有難いは〔わ〕 いゝ子 左様なら」で 野郎ポカーン |
|
| 746 | 此スベタ ソリヤ俺の越中だよ 孑 孑 ア トウトウ顔を拭いてしまいやがつた |
|
| 747 | 此スベタ めおナラをしやがつて涼しい顔をして済してけつかる 越 中 | |
| 748 | このスベタ じやない 弁天様と言いたいが 一太郎 スベタはどう見てもスベタに違いない スベタだよ |
|
| 749 | スベタスベタ と昼はドナりドーシ 団 子 夜になると弁天様弁天様と拝み奉りやがる |
|
| 750 | 此スベタめ もう勘弁出来ねえ他の男を引つ張り込みやがつて 団 子 何だ田舎のお父さんでエツヘヽヽヽいいお天気で |
|
| 751 | 此スベタめ 亭主の言う事を聞かなけりや 凸 丸 クタバツて死んじまえつてーのは嘘だよ |
|
| 752 | 此スベタめ 未だ気がつかねえか 暗くつても俺は亭主だぞ 孑 孑 | |
| 753 | 此スベタめ 早く握らないか ソコじやない 馬鹿 寿司だよ 珍 公 | |
| 754 | 此スベタめ 男だと思つたよ 立小便してやがるんだもの 芋 公 | |
| 755 | 一生懸命追越してみたら ア ナアーンだ スベタ面だ 芋 公 | |
| 756 | アイスキャンデーの解けかかつたような面アしている 芋 公 此スベタ奴 |
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| 757 | 猫撫声を通り起して豚撫声と来てやがらあ 此スベタ 芋 公 | |
| 758 | 此不景気に亦(また)孕みやがつたな 此スベタめ ニキビ | |
| 759 | 養子の悲しさ口には出せねど 肚の中では 此スベタめ ニキビ | |
| 760 | 奥様 女中にあんまりお叱言がうるさいので 女中思はず 万女子 此スベタ奴 |
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| 761 | 彼女 スベタと言はれ 鏡と睨めつこで溜息 小ネコ アーア やつぱりその通りだわ |
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| 762 | 家の親爺奴 私の事を スベタスベタと言うが 小ネコ ヘン御自分の頭こそ 蝿がとまるとスべツターだよ |
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| 題 兵六玉 | ||
| 763 | 兵六玉曰く 私は何か掴むものがないと生きていられないよ 瓢 箪 (ジヤー石コロでも掴んでろ) |
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| 764 | 兵六玉曰く 遅く寝て早く起きる人が感心なら 孑 孑 早く寝ておそく起きる人も同じじやねえか |
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| 765 | お昼時分に起き出し 日中は居睡り 夕方から消えてしまう 一太郎 兵六玉 |
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| 766 | 風呂へ入るや否や大欠伸と一緒に兵六玉を浮かすという 兵六玉 桃太郎 | |
| 767 | 障子を二、三寸必す開けておいては 乙 女 「今年の冬は とても寒いですねえ」と言う 兵六玉 |
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| 768 | 神様の話だと ボンヤリしているが 女の話となると お 万 目をグリグリしやがる兵六玉 |
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| 769 | 寒いと縮まり 暖いとダラケる これ即ち 芋 公 兵六玉じやない○○じや |
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| 770 | 善い事もせす 悪い事もせす 瓢 箪 ただ空気を吸つて生きてるだけの 兵六玉 |
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| 771 | 今死ねば地獄え行きそうだから 瓢 箪 仕方なしに生きていると言う 兵六玉 |
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| 772 | 七六五の世が五六七となるとすれば 兵六玉は安心なもんだよ 瓢 箪 どちらも真中が六だからね |
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| 773 | 目玉 ヒヨツクリ玉 提灯玉屁玉 カンシヤク玉にシリゴ玉 阿 呆 アタマにドタマ 按摩の眼玉に鉄砲玉 南京玉にお手玉 疝気(せんき)の睾丸(きんたま)に狸の睾丸 イザリの睾丸に 蚊の目玉 蚤の睾丸に兵六玉 アヽクタビレタ |
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| 題 ハツキリしろ | ||
| 774 | ハツキリしろ オイ寝てるのか起きてるのか 椎の実 ヘイ ワツシにも判らねえんで |
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| 775 | ハツキりしろ 此アマ「エエはつきりするわ 蛙 ジヤーあんたと別れるわ」 で野郎ポカーン |
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| 776 | ハツキリしろ というから大の字になつてみせたら 芋 公 流石の亭主野郎もダー (原句のまま) |
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| 777 | ハツキリしろ 信仰するのかしねえのか「左様 仙 人 マー十年許り考えてから返事するよ」 |
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| 778 | ハツキリしろ よ君のアノ品は何時出来上るかね 孑 孑 「期日迄には出来ようかと思います」「デハ 期日はいつだね」 「そそ、それが判らねえんで」 |
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| 779 | ハツキリしろ よ「ただ承知したと言やいいんだ」 河 鹿 「ウンヨーシ承知した」「ソーカ有難え 借金棒引だ」 |
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| 780 | 「ハツキリしろよ 君済まないが二円貸さないか」「よし貸そう」河 鹿 「有難い 所で今は一円だけ呉れ給へ」 「ウンよし」 「そうすると僕は君に一円貨してる訳だね」「ソりやそうだ」 「すると差引貸借(たいしゃく)なしだね アヽ好い気持だ」 |
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| 781 | 「俺の外套(がいとう)じやないが 裏が表に 芋 公 表が裏になる御時世だぞ はつきりしろ」 |
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| 782 | 床の中から彼氏「今日は雨かね」「ウン雨だ」 乙 女 「お天気になるかね」「ウンお天気になるよ」「ならないかね」 「ウンならないよ」「コン畜生はつきりしろ」 |
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| 783 | ヘツヘツヘヽヽヽ旦那ソノ――エ――トアノ――コーツと 一太郎 ヘツヘツヘヽヽヽ何で厶(ござ)いまして 実はソノ―― アヽうるせえ ハツキリしろよ |
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| 784 | 新婚の族の宿屋で新郎 女中に向い「眠そうだな もう少し 蛙 ハツキリしろよ」女中「ハツキリしない方が 御都合が好いでせう」に新郎 ギヤフン |
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| 785 | はつきりしろ 此兵六玉め 貴様こそはフイゴの向う面徳利野郎 米饅頭の後前(あとさき) 節穴同然 ワンワン鳴けば犬も同然 安本丹の抜ガラ タラリンブラリン スツトコガリガリデンデン亡者 オタンチン ドツチヨイフヌケ野郎の間抜野郎 虻蜂蜻蛉(あぶはちとんぼ) 虫ケラ同然蛆虫野郎のゲジゲジ野郎 馬鹿の骨頂 阿呆のユキドマリ仲屋の坊や七月のオヤリ 肥溜柄杓にドウゲン壷のお古 ドヂで間抜でヘボクタ野郎で 飯食つて糞垂れて生きてる名ばかりの人間野郎が世間にウヨウヨしているんだから 神様もやり切れめえと思うが 此世智辛い世の中に コンナ馬鹿々々しい事を作る俺様も 自分ながら アキレ蛙の蟇蛙 日比谷蛙の鳴きくらベ アラアラザツと如件(くだんのごとし) 阿 呆 |
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| 題 アン畜生 | ||
| 786 | アン畜生 又例のお説教か アイツ 古シヤン たしかに坊主の生れ代りだね |
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| 787 | アン畜生 はどうも虫が好かんが 芋 公 アノ妹は好きで堪らねえーんだ |
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| 788 | アン畜生 人を責める時はいゝ気持そう 千 成 自分が責められる時は 居睡り |
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| 789 | アン畜生 と青筋立てて怒つたんだが 種を播いたのはエート 天 品 誰だつケかなア――待てよ アヽ判つた 俺だつた |
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| 790 | アン畜生 も此頃好男子に見え出しましたが 乙 女 眼鏡をとつたセイでせうか 先生(イヤ貴方の方で色気が出たせいですよ) |
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| 791 | アン畜生 イヤに俺の顔みて嬉しがつていると思つたら 孑 孑 借金とりの媽(かかあ)だつた |
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| 792 | アン畜生 も起きた時はお早うといい 寝る時には 呑 百 「お寝みなさい」と言やがる 癪にさわらねえ奴だ |
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| 793 | アン畜生 俺の懐ばかり狙つていやがる 当りメエよ 坊ちやん 貴様の懐があんまり情ないから 少し内緒で入れてやらうと思つたんだとよ |
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| 794 | アン畜生 見ろアノ若いクセにアノ布袋腹(実は腹膜炎) 赤ン坊 | |
| 795 | アン畜生 が妾(あたし)の亭主だと思うと実に 瓢 箪 嫌でもないわよホヽヽヽ |
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| 796 | アン畜生 呼ばわりされても妾(あたし)我慢するわだと 緋 鯉 此助平アマツチヨめ |
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| 797 | アン寄生 とバツタり途で出合つて思はず 瓢 箪 コンチクワー……好いお天気で |
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| 798 | アン畜生 凡ゆる衣裳に着飽きたから 乙 女 今度は青いおべべが着たいんだとよ |
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| 799 | 夜中に変な物音をさせやがる さては アン畜生だな 曾呂利 | |
| 800 | 居候 障子の穴からしきりに覗き乍ら 口惜しそうに 赤ン坊 アン畜生 うまくやつていやがる |
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| 題 お気の毒様 | ||
| 801 | お気の毒様 一週間だけ我慢してネー 貴方 団 子 | |
| 802 | お気の毒様 と言いたいが俺はホツとしたよ 頓兵衛 奴が死んで借金が棒引になつたんで |
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| 803 | お気の毒様 愛の巣が蜘蛛の巣になつたんですから のらくら 妾(あたし)は燕の巣に致しますわ |
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| 804 | お気の毒様 今日は門には出ていませんが旗日でねえ のらくら | |
| 805 | お気の毒様 金持の貯め込んだ汚ねえ金なんぞ真平だよ 一太郎 併し呉れるなら有難くもらうよ |
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| 806 | お気の毒様 妾もう約束済なのよ 彼と彼と彼氏の三人にね 椋 鳥 | |
| 807 | お気の毒様 処かいい気味だね 月が顔を出したんで 天 品 | |
| 808 | お気の毒様 奥さんがお亡くなりになつたそうで 別ピン 後釜は如何で 妾ナンナラ ホヽヽヽ |
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| 809 | お気の毒様 のような そうでもないような 丸 々 いい気味のようなへヽヽヽ |
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| 810 | お気の毒様 斯うみえたつて来る時が来りや 俺なんざア 芋 公 ヘン ツンノーベル賞を貰うよ |
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| 811 | いくら踊つてもズロースしてますからね お気の毒様 団 子 | |
| 812 | お妾(めかけ)でもいいわよ 妾(あたし)でなければ ニキビ 夜も日も明けないというお方があるのよ 大きに お気の毒様 |
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| 813 | 犬みたいにお預けをくつてる婿殿 お気の毒様 ニキビ | |
| 814 | 女房は不感症 亭主は不眠症で イヤハヤ お気の毒様 ニキビ | |
| 815 | ヤレ火事だ と慌てて風呂から桶を前にあてて出ると 古シヤン 底が抜けているのにお気がつかぬとは お気の毒様 |
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| 題 奇妙奇天烈 | ||
| 816 | 奇妙奇天烈 神様にかかつて助かるよりは 千 成 医者にかかつて死ぬ方がマシだとよ |
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| 817 | 奇妙奇天烈 な野郎曰く 善の為に悪の型をやつているんでえ 桃太郎 | |
| 818 | 奇妙奇天烈 象の脚かと思つて段々見上げたら 彼女の足だつた 乙 女 | |
| 819 | 奇妙奇天烈 借金取りの来ない法を教えてやろか それは 芋 公 初めから借りない事だ |
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| 820 | 夫婦は一心同体だから 寒い時なんざア ヘン実に 奇妙奇天烈 芋 公 | |
| 821 | 炬燵の中と言うから 奇妙奇天烈だと思つたら ナーンだ 芋 公 足袋の小ハゼの事だい |
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| 822 | 親父のポケットに入つていた 奇妙奇天烈な品物 芋 公 子供が見つけ出し 引つぱつたり 膨らましたり |
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| 823 | どうせ身も魂も捧げたんだかち お国替位は覚悟の前と 芋 公 言うから 奇妙奇天烈と 思つたらナーンだ 武蔵の国を上総の国に替えたんだとよ |
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| 824 | 「人間は死ぬと必す二十年後には生れ替つて来るんだから 芋 公 奇妙奇天烈だろ」「ソリや初耳だな やつぱり観音力つて言うのか」「イヤ 四五の二十つてね」 |
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| 825 | 蜆つ貝が蛤になるとは 奇妙奇天烈 お 万 | |
| 826 | 「あれだけは親が教へなくても知つているから 奇妙奇天烈だよ」お 万 | |
| 題 フラフラ野郎 | ||
| 827 | フラフラ野郎 の住居はどこだ アタリメエよ 臍の下だ 坊ちやん | |
| 828 | フラフラ野郎 は正直でいいよ 金をやればノラクラするし 一太郎 金がなければブラブラしやがる |
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| 829 | フラフラ野郎 寝呆眼で褌を帯と間違えて 少し短いな 蝶 々 | |
| 830 | フラフラ野郎 泡食つて媽の都腰巻を穿いて 此袴は窮屈だね 万ドン | |
| 831 | フラフラ野郎 曰く 俺にポーツとしていると思つたら 芋 公 風邪引いて熱があるんだとサ |
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| 832 | フラフラ野郎 の息子曰く「オトツツアン一円呉れないか」 河 鹿 「馬鹿野郎、此時節に年を考えろ」「テツヘツヘツヘツ有難え ジヤ千円お呉れ」で親爺、ギヤフン |
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| 833 | あつちへ行つてはハハー成程と感心し こつちへ来てはハハー 亭 主 成程と感心し いつ迄経つてもフラフラ信仰の フラフラ野郎 |
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| 834 | あれもしなければならんし これもしなければならんし お 万 アヽ忙しいと言い乍ら ポカリポカリ煙草ふかしてる フラフラ野郎 |
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| 835 | 媽をつかまえては好い気持で お説教ばかりしている 芋 公 フラフラ野郎 |
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| 836 | 神様のお話を聴き乍ら あんまり有難いので 乙 女 終いには居睡りしますよと言う フラフラ野郎 |
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| 837 | 居睡りじやねえ こう眼をつぶつて気が散らないように 芋 公 神様のお話を聞いてゐるんだよという フラフラ野郎 |
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| 838 | 「あんな好きな酒が近頃飲めなくなりましたよ」 芋 公 「ホー御信心のお蔭は大したもんですなア」 「イヤ、ナニ銭が無くなつたんで」と言う フラフラ野郎 |
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| 題 インチキ野郎 | ||
| 839 | インチキ野郎 があまり沢山いるんで 俺達位で 芋 公 誠の人に見えるんだな |
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| 840 | インチキ野郎 八方から非難攻撃に ヱツヘヽヽヽ 芋 公 出る杭は打たれまさア |
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| 841 | インチキ野郎 曰く「何事も神様がなさるんで 芋 公 吾々人間が 兎や角言うペきではないのです 時に君済まんが 百円貸してくれんか |
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| 842 | インチキ野郎 め部屋の前を通ると電燈を消し 瓢 箪 行過ぎると点けやがる |
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| 843 | インチキ野郎 ばかりで誠の者は己一人だと言う 瓢 箪 それが実はインチキなんだよ |
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| 844 | インチキ野郎 肩を張り眼を輝かし 口角泡を飛ばして嘘八百 瓢 箪 | |
| 845 | インチキ野郎 どの辺まで神様を騙せるか 瓢 箪 「一つ試してみようか」だと |
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| 846 | インチキ野郎 「神様の為なら地位も名誉も財産も要らねえ」 瓢 箪 と言い乍ら 肚の中は慾で一杯 |
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| 847 | インチキ野郎 のお天気博土曰く「明日は晴れたり曇つたり 孑 孑 ことによると雨が降ります」とは 外れつこないよ |
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| 848 | インチキ野郎 口が滑ると「実は君の心を引いてみたんだよ」 瓢 箪 と ゴマかしやがる |
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| 849 | インチキ野郎 話が詰ると その奥は神秘だと逃げ 呑 百 その次は「理屈は抜きにしようよ」 |
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| 850 | 怪しいと気がついたら もう遅い 娘を手なづけやがつた 瓢 箪 インチキ野郎 |
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| 851 | 誠を間男と感違いする程の インチキ野郎 瓢 箪 | |
| 852 | 彼女から御神書を借り 机の上に広げて 眼をつむつて 曾呂利 香を嗅いでいる インチキ野郎 |
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| 853 | ミロクの世が若し来ない時の用意に 金を貯めておこうという 芋 公 インチキ野郎 |
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| 854 | 絶対愛の神様なら 立替も浄化も延してくれるのが 芋 公 本当じやないかねと言う インチキ野郎 |
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| 855 | 「ミロクの世になつたら俺なんぞ 妾の四、五人も置いて 芋 公 朝から酒びたりの身魂なんだよ」とは 厄介な インチキ野郎 |
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| 856 | 一銭玉へ煙革の銀紙を貼つて子供に「ソレ小使やるよ」 芋 公 と投出す インチキ野郎 |
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| 857 | 魂は神に捧げ 肉体は媽に捧げ お金は自分に捧げる 芋 公 インチキ野郎 |
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| 題 アタシ恥しいわ | ||
| 858 | 妾恥しいわ テナ事もあつたつけなア 古媽(かかあ) 芋 公 | |
| 859 | 妾恥しいわ 二階から見られちやつたんですもの 芋 公 | |
| 860 | 妻恥しいわ ズラリと並んだお歴々の前で笑冠句よむのは 瓢 箪 だつて 婆のクセに |
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| 861 | 妾恥しいわ と逃げ出すかと思つたらそうでもないよ 瓢 箪 女つて変な代物だな |
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| 862 | 妾恥しいわ 一寸裸になつたら御用聞きのニキビ面が出て来たの のらくら | |
| 863 | 妾恥しいわ お芋を頬張つていたら 彼氏に見つかつちやつて のらくら | |
| 864 | 妾恥しいわ 此頃変なのよ アノー ソノーエーと のらくら (もう判りますよ) |
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| 865 | 妾恥しいわ 大変な事忘れたのよ ズロースはく事 桃太郎 | |
| 866 | 妾恥しいわ と言葉は可愛いいが その面と来ちや―― 箆 棒 | |
| 867 | 妾恥しいわ なんて言う柄かい まるで鬼子母神のような 千 成 面をしやがつて |
|
| 868 | 妾恥しいわ 随分目立つて来たのよ 腹膜炎かしら 千 成 | |
| 869 | 妾恥しいわ これ以上まくれないわよ 但し潮干狩の娘 椋 鳥 | |
| 870 | 妾恥しいわ と令嬢の言葉にフト見れば 向うの岸に 一太郎 野郎がコチラへ向けて ジヤ―― |
|
| 871 | 妾恥しいわ 嬉しい様な恐いような 胸がドキドキするような 一太郎 | |
| 872 | 妾恥しいわ 変なところに変なものが 一太郎 出来て歩けないんですもの |
|
| 873 | 妾恥しいわ の言霊は 玄米釜と同様 骨まで溶けるようだ 阿 呆 と言はれたら 男子たるもの ゆめゆめ油断する勿れ |
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| 874 | 妾恥しいわ とは其言霊の何ぞ可憐なりや 処女にして始めて価値あり 然るに何ぞや 出戻り三回にして 子を生む事五何に及ぶ 之を聞いて吾忽ち 薪ダツポーをとつて 一撃を喰はさんとは決して思はず 却つてその境遇に同情 以て抱擁せんとす これ即ち君子の行なるべし 阿 呆 |
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| 875 | 十九貫五百目の肉の塊が オチヨボ口で 阿 呆 妾恥しいわだと チヱツ |
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| 題 豚 姫 | ||
| 876 | 豚姫 さんのように肥つていたら寒くないでせうね 乙 女 イーヱ風当りが広いので 反つて寒いですよ |
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| 877 | 豚姫 の嬶は一文要らずの電熱器だね ニキビ | |
| 878 | 豚姫 のおナラはまるで自動車のラツパだね 千 成 | |
| 879 | 豚姫 と熊公と結婚したら何が生れますか 凸 丸 (ブとクでプク姫が生れるさ) |
|
| 880 | 豚姫 の二階借りは三割増だとさ 赤ン坊 | |
| 881 | 豚姫 とは亭主を青く細くローソクのシンの如くする 布 袋 恐るべき動物なり |
|
| 882 | 豚姫 さん達大峠には走るより転がる方が早いですぜ 箆 棒 | |
| 883 | 豚姫 嘆じて曰く 食べれば肥るし 痩せるにやお腹が空くし お嬢さん アーまゝならぬ浮世じやわいな |
|
| 884 | 豚姫 ならまだしも豚媽豚爺 出来たガキまで豚の子 一太郎 (だからいづれ大きくなつたら豚箱入りだらう) |
|
| 885 | 豚姫 の資格如何 身長四尺 胴廻り五尺 猪首で鳩胸で ニキビ 出つ尻で アヽ恐いからもうよそう |
|
| 886 | 豚姫 を見るといつも思うね アレをトンカツにしたら 芋 公 何人前出来るかつてね |
|
| 887 | 蛙の尻へストローを差込んで プーツと膨らましたような ニキビ 豚姫様 |
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| 888 | 縦だか緯だか一寸見当がとれんよ 豚姫さんは 頓兵衛 | |
| 889 | 男便所で用事をしてると 隣りの女便所で物凄い瀧の音 千 成 戸が開いて出て来たのはヤツパリ 豚姫様だつた |
|
| 890 | 女房もつなら 豚姫おもち 愛嬌タツプリ サービス満点 凸 丸 力は五人前 軍用向きで蹴つ飛ばした位じや壊れやしない |
|
| 891 | 「アスコへ干してあるアリヤ何だらう」「アレカ ズロースだ」 凸 丸 「ヘエースゲーナ 片つ方でお櫃位あるな」 「まさか」「人間が穿くのか」「イヤ 豚姫のさ」 |
|
| 892 | 二十八貫の 豚姫 十二貫の亭主を 昼夜の別(わか)ちなく 布 袋 アンマリ可愛いがるので トウトウ死んじやつたとさ―とは テモサテモ恐ろしい話だ |
|
| 893 | 箱入娘を豚姫なぞに 何がそうさしたのか(ツマリ喰べすぎだ) 芋 公 | |
| 894 | 降るような縁談がうるささに 神様へ奉仕したんですとは 芋 公 ハツクシヨイだよ 豚姫嬢 |
|
| 895 | ゴム風船に手足を付けたような 豚姫様 芋 公 | |
| 896 | 湯上りはグロだね 大豚姫 芋 公 | |
| 897 | アノ釜鳴りのような音は何だらう 舟 子 アレかアレは豚姫がお産しているんだよ |
|
| 898 | 肥れば 豚姫 痩せれば竿竹姫 これが言霊の妙用なんだよ 瓢 箪 | |
| 899 | 庭に豚が飼つてあると思ったら ナーンだ草むしりをしている 瓢 箪 豚姫だ |
|
| 900 | 誰だ水道を出しつぱなしで 勿体ないじやないかと 瓢 箪 傍へ行つたら ナーンだ 豚姫が小便しているんだ |
|
| 題 亭主野郎 | ||
| 901 | 亭主野郎 日曜日の日課は哀れ子守と洗濯 お嬢さん | |
| 902 | 亭主野郎 と喧嘩しない日があつたつけかなあ 十五年間にさ 緋 鯉 | |
| 903 | 亭主野郎 だなんて威張りなさんなよ 人に腹一杯飲も 緋 鯉 食はせないクセに(マルデ弁当屋だね 亭主は) |
|
| 904 | 亭主野郎 奴ウヌ覚えてろ 今晩ギユーギユー 桃太郎 泣かしてやるから(亭主野郎曰く「有難え有難え」) |
|
| 905 | 亭主野郎 だなんて申しませんよ ただ肚の中で 桃太郎 そう思つているだけよ(猶悪いわ) |
|
| 906 | 亭主野郎 とよくも吐(ぬか)したな ヨーシ俺も男だ 桃太郎 手前の褌(ふんどし)の洗濯はモーしねえぞ |
|
| 907 | 亭主野郎 曰く冬の媽は経済だよ アンカの代りになるからな つばめ | |
| 908 | 亭主野郎 日曜日に子守をしている所を重役に見られ お嬢さん 此の子はとても私になついていまして エツヘヽヽヽ |
|
| 909 | 亭主野郎 天国気分になつたと見えて 坊ちやん ヤイ媽(かか)ア褌(ふんどし)でも買つてやろうか |
|
| 910 | 亭主野郎 自分の写真と睨(にらめ)つこしながら 舟 子 然し好い男だなあ 媽が妬くのも無理はないよ |
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| 911 | 亭主野郎 オイ媽と呼べば アイよお爺さん―でギヤフン 一太郎 | |
| 912 | 亭主野郎 曰く家では媽に責められ 餓鬼にはワメかれ 一太郎 外へ出れば巡査には奴鳴られ 犬には吠えられ アヽもう判つた判つた |
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| 913 | 亭主野郎 曰く「家内は美術音楽文学なんぞの才能がありまして」河 鹿 客「それは結構で そうしますと炊事はどうなさいますか」 「イヤそれは私の受持でして」 |
|
| 914 | 月末が来ると忍術を使つて 消えて了う 亭主野郎 河 鹿 | |
| 915 | 晦日(みそか)が来ると二階へ上つたきりで 芋 公 ブルブルふるえている 亭主野郎 |
|
| 916 | 玄米飯の屁みたいに蔭でプスプス言つてないで 芋 公 此方へ出たらいいじやないの この亭主野郎 |
|
| 917 | 尻に敷かれて冬は暖かでいいですよと嬉しがつている 亭主野郎 芋 公 | |
| 918 | 何事も今と反対なのが五六七の世と聞いて 占めたツ 芋 公 其時洗濯は女房がするんだねと喜ぶ 亭主野郎 |
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| 919 | 子供ばかり生まして 女房に ケンツク食つてる骨ばかりの 芋 公 亭主野郎 |
|
| 920 | 赤ン坊と荷物を持たされて デパートでマゴマゴしてる 芋 公 八字髭の 亭主野郎 |
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| 921 | 「亭主野郎 を座蒲団にして 一体それで 貴様はいいのか」 瓢 箪 「アー とても温くつていいよ」 |
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| 922 | 寝顔の亭主野郎 曰く「明日の朝五時の汽車で立つんだから 孑 孑 俺が貴様を呼ぶから必す起してくれろよ」 |
|
| 923 | ○○夫人 曰く「貴方此時節に子供の守どころじや 乙 女 ありませんよ」亭主野郎 曰く「ソーダ全くだ 子供はお前に頼むよ」でギヤフン |
|
| 題 此媽(このかかあ) | ||
| 924 | 此媽 有難過ぎて泣きたくなるよ 赤ン坊 | |
| 925 | 此媽 の寝瀕を見れば大きな口を開けて 何とまあ 赤ン坊 間抜面だらう |
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| 926 | 此媽 つて知つてるか「お内儀(かみ)さんの 事だらう」 お嬢さん 「イヤお内儀は鼻について来たから 女篇に鼻とかくんだ 判つたか」 |
|
| 927 | 「此媽 の人の真似の出来ない取柄はたつた一つあるよ」 緋 鯉 「何だ」「寝るとすぐ屁を垂れる事だ」 |
|
| 928 | 此媽 はとても感心ですよ 朝はとてもおそいし 一太郎 晩はとても早く寝たがるんで |
|
| 929 | 「此媽 一体全体亭主を何と心得てやがるんだアーン」 一太郎 媽曰く「マー妾に勝手な事をさせる機械だね」 |
|
| 930 | 此媽 又腹が膨れたな 少し遠慮しなよ アツ違つた 芋 公 俺の方だつた |
|
| 931 | 此媽 と新婚旅行したと思えば俺は腹が立つよ 椎の実 | |
| 932 | 此媽 ならロハですから経済ですよ と言う亭主野郎 箆 棒 | |
| 933 | 此媽 可愛いような憎いような 居てもらいたいような 瓢 箪 | |
| 934 | 此媽 の機嫌をとろうか神様の御用しようか 瓢 箪 ヨシ判つた 昼間は神様の御用をして 夜は媽アの御機嫌とるとしよう |
|
| 935 | 巡査 迷子の子供に「お父さんとお母さんの名前は」 甘 栗 「アノー お父さんは亭主野郎 お母さんは此媽アていうんだよ」で巡査ダー |
|
| 936 | 「此媽 亭主を尻に敷いて何が面白い」 芋 公 「ダつてお前さんの顔 座蒲団みたいだもの」 |
|
| 937 | 土手南爪が夕立に遇つたような 此媽 芋 公 | |
| 938 | 此媽「あんまり肥つて来たんで少し位切売りしたつて 芋 公 判りやしないわねえお前さん」―とぬかしやがる |
|
| 939 | 父親に向い子供「お父ちやん此媽アがいけないんだよ」 芋 公 「コラ子供のクセに媽アなて何だ」「だつてお父さんこそ 毎日此媽ア媽アと言うじやないの」で、ギヤフン |
|
| 940 | ヤケに尻の方がダブダブだと思つたら この媽のズロースなんだ 舟 子 | |
| 941 | 此媽 と来たら朝寝坊で大食で 飯を焚かせりや焦しやがるし 阿 呆 小言を言やアふくれるし なぐれば泣きやがる 銭は使い放題 屁はたれ放題 文句は言い放題 昼寝は仕放題 アヽ助からねえ |
|
| 題 アラどうしよう | ||
| 942 | アラどうしよう 十八で寝小便 運 公 | |
| 943 | アラどうしよう 裾から蛇がだんだん奥の方へ タタタ大変 丸 々 何だ夢か 私恥しいわ |
|
| 944 | アラどうしよう ドアが裾をくわえて アラアラアラ のらくら | |
| 945 | アラどうしよう 向ふから来るの親爺よ アナター絶対絶命だわ のらくら | |
| 946 | アラどうしよう 浮いてるからつまんだら 玉子のキミ 天 寶 銭湯の風呂の中 |
|
| 947 | アラどうしよう 祝詞の最中 背中で蚤が 木偶之坊 運動会を開いているのよ |
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| 948 | アラどうしよう 股いだらオワイ屋の杓子がニユーツ 芋 公 | |
| 949 | アラどうしよう ラヴレター袂(たもと)へ入れたまんま 椋 鳥 質屋へ入れちやつたのよ |
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| 950 | 俄雨で彼女眉毛をブン流し アラどうしよう 桃太郎 | |
| 951 | いくらお眼が悪いからといつて 湯槽(ゆぶね)の縁と 呑 気 人の頭と間違えて腰かけるとは アラどうしよう じやすみませんね |
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| 952 | 便所で恋人の写真を見ていたら、糞壷へポカリ アラどうしよう 阿 呆 | |
| 953 | 鱒すくいを踊り乍ら褌が落ちそうなので 阿 呆 アラエツサツサをウツカリ間違えて アラどうしよう |
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| 題 ケツでもしやぶれ | ||
| 954 | ケツでもしやぶれ と女房クルリと背(せな)を向け 瓢 箪 | |
| 955 | ケツでもしやぶれ と言はんばつかりに風呂場でツン出す 瓢 箪 お三どん |
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| 956 | ケツでもしやぶれ だとぬかしたな コココ此おかめ面め 瓢 箪 じやー目の前へ出せで ギヤフン |
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| 957 | ケツでもしやぶれ ですつてへヽヽヽ貴女の事ならどこでも 古シヤン | |
| 958 | ケツでもしやぶれ と突出す途端 猫がガブリ アイテヽヽヽ 赤ン坊 | |
| 959 | ケツでもしやぶれ と尻を捲つてやりたいが女ではどうも 赤ン坊 ヱツヘヽヽヽ |
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| 960 | ケツでもしやぶれ と啖呵を切つた哥兄(あにい)の 椋 鳥 褌(ふんどし)の汚ねえ事 |
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| 961 | 「皆さん大きくなつたら善行をしなきや駄目ですよ 椋 鳥 例えば○○先生のように」生徒一同「ケツでもしやぶれ」 |
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| 962 | 時に君 少し貸さんか 金か イヤサヽ細君だよ 角兵衛 トヽヽヽトンでもねえ ケツでもしやぶれ |
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| 963 | 借金とりが来たので頭を戸棚へ突込んだ格好は 瓢 箪 ケツでもしやぶれだね |
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| 964 | 「ケツでもしやぶれ」「俺も男だしやぶるから出せ」 凸 丸 「ホントにしやぶるか」「ホントにしやぶる」「嘘じやないな」 「ウソじやない」「きつとしやぶるか」「きつとしやぶる」 「チト臭いぞ」「臭くてもいい」「構わんか」「構わん」 「そんなら出すぞ」「早く出せ」「そりやしやぶれ」 「アツリヤ此野郎キタネー 見ちやいられねー 助けてくれ」 |
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| 題 フヌケ | ||
| 965 | 此アマツチヨ亭主を虫ケラか フヌケみたいに思うか 茂 十 だつてムズムズして蚤みたいじやないの |
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| 966 | フヌケ野郎の媽曰く「子供は私が生んでやつたんだから お嬢さん オシメはお前さんが洗う役だよ」ナナナンだと此の女つちよめ |
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| 967 | フヌケフヌケつて馬鹿にするが これでも女房を 千 成 家に囲つてあるんだぞ ヘン |
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| 968 | 此女つちよを凹ますだけの観音力をお与え下さい 大先生 瓢 箪 (生れた時から凹んでいるからいいじやねえか 此フヌケ野郎) |
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| 969 | 亭主がフヌケ 媽(かかあ)がマヌケ 出来た子供がヌケ作 芋 公 | |
| 970 | 人間の眼には俺は フヌケに見えるだろうが 芋 公 神様の方は凡てアべコベだから 案外大したもんらしいよ |
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| 971 | 「お前大きくなつたら何になるの」 珍 公 「あたいお母アちやんみたいに此女つちよに」 「お前は」「オイラお父ちやんみたいに フヌケになるんだよ」 |
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| 972 | 「オイ誰方か見えたか」「見えました 酒屋に米屋に チンドン 八百屋炭屋魚屋」「馬鹿 御用聞じやねえ お客さまの事だ 此のフヌケ女(あま)め」 |
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| 973 | フヌケ牧師「酒は最もあなたの敵ですよ」 瓢 箪 酒呑み「然し聖書には敵を愛せよとかいてありますが」 で牧師先生 ギヤフン |
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| 974 | 「貴様をボーツとフヌケのようにした女つちよは 坊ちやん どのアマツチヨだアノ女つちよか」「イヤソノ女つちよだ」 「ナニ此女つちよかヤー大変 俺を睨めてやがらア」 |
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| 975 | 「貴様は何の為に生きているんだい」「エー私は食う為に」 坊ちやん 「貴様は」「○○する為に」「貴様は」「私は寝る為に」 「貴様は」「ヘー媽(かかあ)の為に」 チエツ どいつもこいつも揃つて フヌケ野郎ばかりだ |
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| 題 お臍が茶を沸かさア | ||
| 976 | お臍が茶を沸かさア 何回目の処女だい エー今日は 入 道 未だ処女なのよ |
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| 977 | お臍が茶を沸かさア ヨーシ沸かせるなら沸かせてみろ 万ドン 呑んでやるからでギヤフン |
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| 978 | お臍が茶を沸かさア なんてどういう訳でしようか先生 お 万 (先生曰くそれはおかまが後にあるからです) |
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| 979 | お臍が茶を沸かさア あなたはお若く見えますねと言つたら 孑 孑 急に衣紋(えもん)を作りやがる クソツタレ婆アめが |
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| 980 | お臍が茶を沸かさア 正午過(ひるすぎ)に起きて 孑 孑 ヤーお早うとぬかしやがる |
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| 981 | お臍が茶を沸かさア だがお茶を注ぐ時は女は困るね 坊ちやん 土瓶の口が缺けているから |
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| 982 | お臍が茶を沸かさア アツツヽヽヽもう煮えたつているから 坊ちやん 早くお茶菓子を出しなよ |
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| 983 | お臍が茶を沸かさア 道理で近頃小便が近くなつて困るです 坊ちやん | |
| 984 | お臍が茶を沸かさア 土手南瓜め そう傍へ寄つて来て 瓢 箪 くれなくても いい事はねえ とは何だか判らねえ |
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| 985 | お臍が茶を沸かさア つて言うがおへその上に 瓢 箪 土瓶をおくんですかだと |
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| 986 | 娘十八 番茶も出花つていうが あの面でへン 木偶之坊 お臍が茶を沸かさア |
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| 987 | 敬神の額を掛け 神は此世にないものだよーだと 万ドン ヘンお臍が茶を沸かさア |
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| 988 | 先生曰く「人間のお臍は何の為に着いているのか知つていますか」芋 公 生徒 「お茶を沸す為であります」 |
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| 題 トンチキ野郎 | ||
| 989 | トンチキ野郎 叱られていよいよ トンチキ野郎 三 助 | |
| 990 | トンチキ野郎 貸家を叩き起し乍ら 今晩は今晩は 赤ン坊 | |
| 991 | トンチキ野郎 夜中に湯殿の戸をあけ小便じやーじやー 椋 鳥 | |
| 992 | トンチキ野郎 を分析すればトンは 豚 椋 鳥 チキはチキンで鶏だどうだ俺は学者だろう |
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| 993 | トンチキ野郎 とは頓馬野郎とインチキ野郎を合計したんだな 凸 丸 | |
| 994 | トンチキ野郎 にはどんな媽(かかあ)がいいでせうね 飴ン棒 (先づコンチキあまだね) |
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| 995 | トンチキ野郎 娘の前で済しているが ズボンの間から 団 子 猿股の紐が ブラ下つているのを御存知なしだよ |
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| 996 | トンチキ野郎 でも羽織袴を着けた時は 別ピン チヨイと惚れますわだと |
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| 997 | トンチキ野郎 今日は全く赤面して顔が赤くなやましたよだと 別ピン | |
| 998 | トンチキ野郎 酒と酢とを間違えて ヒヤー大変 万女子 | |
| 999 | トンチキ野郎 女の尻に喰いつき震えていやがる 坊ちやん (但しそれは蚊のトンチキ野郎さ) |
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| 1000 | トンチキ野郎 が死んだら地獄へ行くでせうか 瓢 箪 天国へ行くでせうか (トンチキだから アツチへ行つたり コツチへ来たりさ) |
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| 1001 | トンチキ野郎 でもいいですわ 妾(わたし)あの人の為なら 芋 公 たとへ火の中(アヽもう判った判つた) |
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| 1002 | トンチキ野郎 でもいいわよ あの人と一緒なら 芋 公 海水浴でも温泉でも砂風呂てな処でもホヽヽヽ |
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| 1003 | 妻「アナタ それはおしめですよ」夫「ナヽヽヽなんだと 木偶之坊 顔を拭いてしまつた 俺の此 トンチキ野郎」 |
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| 1004 | 「此恋を叶わせ給え お礼に金の燈籠千本上げますから」 木偶之坊 というと 神様は「ワシを誰だと思う そんなペテンに乗るか 此のトンチキ野郎」 |
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| 1005 | 女と金の事だけはトンチキでない トンチキ野郎 芋 公 | |
| 1006 | 節穴を顔の真ン中に 木耳を横面にくつつけている 芋 公 トンチキ野郎 |
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| 1007 | 交番で私の行先どこだんべえと訊いてる トンチキ野郎 だるま | |
| 1008 | 弁論大会で「今日はまだ話を考え中」と言いながら引込む 瓢 箪 トンチキ野郎 |
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| 1009 | 夜中に女中と女房と間違えた トンチキ野郎 瓢 箪 | |
| 1010 | 先祖代々のメグリで授かつた子は情なや トンチキ野郎 赤ン坊 | |
| 1011 | 医者の研究材料になつてクタバツてしまつた トンチキ野郎 頓兵衛 | |
| 1012 | 満員の女便所を開けて 後何分位で 空きますかとゴマカス 赤ン坊 トンチキ野郎 |
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| 1013 | 人の起きてる時に居睡りをし 寝ている時に目を 一太郎 キヨロキヨロする トンチキ野郎 |
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| 題 ソーラ大変 | ||
| 1014 | ソーラ大変だ ソーラ大変だというから行つてみたら 団 子 見せ物小屋の掛声だつた |
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| 1015 | ソーラ大変 地震だ地震だで 女湯は裸シヨー 一太郎 | |
| 1016 | ソーラ大変 男は嫌いだと言つてる中に膨れる事膨れる事 一太郎 | |
| 1017 | ソーラ大変 玄関にはお客 台所には御用聞き いい子 赤ン坊拭ギヤーギヤー アイロンからは煙が出る 犬はワンワン 小便は漏れそう 一体どれから先に 片づけようか アヽどうしようどうしよう |
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| 1018 | ソーラ大変 夜中に媽と娘と間違えた 瓢 箪 | |
| 1019 | ソーラ大変 膨らんで来たお腹 ベランメー | |
| 1020 | ソーラ大変 隣の夫婦が夜中に大喧嘩だ アアいゝ気持だと 千 成 ホクソ笑んでる独身者 |
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| 1021 | ソーラ大変 空襲「アナ夕腰が抜けちやつたからおぶつてよ」 椋 鳥 (オーよしよしお前のお尻はフツクリしていいね) |
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| 1022 | ソーラ大変 馘 々 々 椋 鳥 | |
| 1023 | ソーラ大変 ミロク様御出現(モーロクサマ御隠退) 入 道 | |
| 1024 | ソーラ大変 敵の大軍押寄せたりな押寄せたりな 団 子 米屋 魚屋 八百屋 酒屋 肉屋 牛乳屋 新聞屋 まつたアイス共 雲霞(うんか)の如くノンノンズヰズヰ |
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| 1025 | ソーラ大変 ドカーン ガラガラ シユー ストーン 瓢 箪 目まい フンノビ アフン キユーツ プスツ 逆立 四ツン這い 南無惟神 アーメン 天理王の尊 |
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| 1026 | ソーラ大変 お世辞に抱いた子が ジヤ―― 頓兵衛 | |
| 1027 | ソーラ大変 神が表に現われて目玉 マルクス 坊ちやん 口は南無阿弥陀仏 |
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| 1028 | ソーラ大変 用便最中 大地震 お 万 | |
| 1029 | 台所口だと思って戸を開けたら 奥さんの御入浴 一太郎 ソーラ大変(実は承知でやつたんだろう) |
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| 1030 | 居候 主人の留守に女中を口説いてる最中 一太郎 おかへり ソーラ大変 |
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| 1031 | 丁半の真最中ガチヤリガチヤリ ソーラ大変 ニキビ | |
| 1032 | 湯屋でアヽズロースがないわ アツ着物もないわ ソーラ大変 団 子 | |
| 1033 | 鍬の先光つたものあり ソーラ大変 赤ン坊 (よくよくみたらガラスのカケラ) |
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| 1034 | 信仰の深いものはどんな事があつても驚かないが 瓢 箪 神様の未だ判らない人は と言つてる時にガラガラガラ 講師が一番先に ソーラ大変 |
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| 1035 | ズルズルズルヌルヌルヌル寝呆け乍ら 寝小便だ ソーラ大変 瓢 箪 | |
| 題 土手南瓜 | ||
| 1036 | 土手南瓜 のお袋が梅干婆アとは 面白いね 唐 辛 | |
| 1037 | 土手南瓜 を奥様というのはワシヤ辛いとさ土手南瓜 唐 辛 | |
| 1038 | 土手南瓜 がいくら気取つても土手南瓜はヤツパリ 別ピン ドテ南瓜だよネー 土手南瓜さん |
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| 1039 | 「土手南瓜 つてナアーニ」 「アンタみたいな顔さ」 お嬢さん 「アラ それじや 美人の事なのね」とは この土手南瓜奴 |
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| 1040 | 土手南瓜 の彼女女優志願で見事落選 彼女嘆じて曰く お嬢さん 「世の中の奴は目がないねー」 |
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| 1041 | 土手南瓜 が自殺したら新聞に丸ボチヤの美人だとさ お嬢さん | |
| 1042 | 土手南瓜 が私ならお前さんときちや ヘン 唐ン辛だよ 赤ン坊 何故つて真赤な痩つポチだもの |
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| 1043 | 土手南瓜 が並んでいるカフエーのテーブル 赤ン坊 | |
| 1044 | 土手南瓜 なんて私ネヽヽヽコツパズかしいわねーという 芋 公 出たての土手南瓜 |
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| 1045 | 土手南瓜 土手南瓜なんてそんなに見くびるもんじや 芋 公 ありませんよ 一度可愛がつて下さつたらそれこそホヽヽヽ |
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| 1046 | 土手南瓜 が洋服着たらまるで豚の玩具だね 飴ン棒 | |
| 1047 | 土手南瓜 の日に焼けた面は鬼の面へ 白粉塗つたようだね 坊ちやん | |
| 1048 | 土手南瓜 の履歴書に曰く 品行方正 精力旺盛 腕力絶倫 坊ちやん どんな男子でも手玉にとるとは アヽ助けてくれ |
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| 1049 | 土手南瓜 のオナラはラツパの如く水便が水道の如く 千 成 大便は泥棒の如く 声は豚の如く 食う事は象の如しか |
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| 1050 | 土手南瓜 を尻から見たら 割れた挽臼のようだね 入 道 | |
| 1051 | 土手南瓜 にも取柄があるかな あるよ それは目方さ 瓢 箪 | |
| 1052 | 土手南瓜 の蔓が引つ掛つて放れねえ ヤレヤレ色男はつらいね 瓢 箪 | |
| 1053 | 土手南瓜 ですみませんでしたね ツイ親がクラヤミで ニキビ 泡くつて拵えたんですから |
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| 1054 | 土手南瓜 のクセに大学卒業の美男にして秀才 ニキビ 社会的地位あり 財産百万以上の夫が欲しいとは おへそが茶を沸かさア |
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| 1055 | 鼻声聞けばマルで豚が唸るような 土手南瓜 芋 公 | |
| 1056 | いくら 土手南瓜だつて永年連れ添つている間には 芋 公 たまには悪くはないと思わない事もないでもないでせう |
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| 1057 | 場上りのホンノリ桜色と言つてやりたいが 芋 公 実は茄蛸のような 土手南瓜 |
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| 1058 | ウドン粉をブツかけたような 土手南瓜が 芋 公 銀座をシヤナリシヤナリ |
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| 1059 | ヘンすんまへんな 土手南瓜だつてお嫁の口が降るほど ニキビ エートそのう ある訳じやないんだから 同情してよ |
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| 1060 | 化粧したら串柿えカビが生えたような 土手南瓜の面 錦 魚 | |
| 1061 | 八百屋で売つてるタダの土手南瓜と 土手南瓜が違うんだよ 箆 棒 あの土手南瓜は |
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| 1062 | 南瓜面が花見に土手を通るよ これがホントの 土手南瓜 飴ン棒 | |
| 1063 | 先生曰く「皆さん 安心は出来ませんよ 土手南瓜なんて言霊は 舟 子 ミロクの世になつても解消しないそうですから |
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| 1064 | 畠が悪かつたのか可哀想に凸凹な 土手南瓜 瓢 箪 | |
| 1065 | オカメの相手がヒヨツトコ 狸の相手が狐 瓢 箪 土手南瓜の相手がヘボ胡瓜 |
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| 1066 | 首だけ出して寝ている格好は まるで 万ドン 土手南瓜が莚からハミ出しているようだね |
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| 1067 | 八百屋の嬶ときちゃア 面が土手南瓜で 眼がドングリ 阿 呆 足が練馬大根で 手が八ツ頭 喋舌りや蓮つパ 糞はサツマ芋 髪は唐もろこしのようなチヂレツ毛 ○○が茄子と来ちや イヤハヤ助からねえ |
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| 1068 | 二十の扉で アナ君「今度は動物にして植物です」 阿 呆 柴田嬢「デワ土手南瓜ですか」御名答 |
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| 題 ヘナーチヨコ野郎 | ||
| 1069 | ヘナチヨコ野郎 媽アに叱られ ヘナヘナチヨコチヨコ 団 子 | |
| 1070 | ヘナチヨコ野郎 が校長で 先生がデレ助で 木偶之坊 教わる生徒は抜作ばかりと来てやがらア |
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| 1071 | ヘナチョコ野郎 が言う事を聞かしたつて 木偶之坊 ヘー偉いもんだね 誰を 何女房を チヱツ ナーンダ |
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| 1072 | ヘナチヨコ野郎 新聞を裏返しに見てるので 丸 々 女房「あなたそれは裏ですよ」というと 「ナンダ馬鹿め 貴様に見ろと言うんだ」 |
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| 1073 | ヘナチヨコ野郎 曰くこれでも好く人があるんじやないんだよ 入 道 | |
| 1074 | へナチヨコ野郎 寝小便で蒲団に地図を描いたな 綿 魚 | |
| 1075 | ヘナチヨコ野郎 ちよつと本署へ同道しろ エロの件で ニキビ (アーン 何じやと証拠は貴様のニキビじや) |
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| 1076 | ヘナチヨコ野郎 の天職は屁を垂れ 居睡りをし 鼻糞ホジリ 阿 呆 大飯を食い 大糞を垂れ 種馬になる事だ 判つたか |
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| 1077 | 貴様は ヘナチヨコ野郎じやない 媽(かかあ)に甘いから のらくら アメチヨコ野郎だ 判つたか |
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| 1078 | 降るような縁談のうちから 選りによつて神様が 舟 子 お授け下さつたんだよ この ヘナチヨコ野郎の亭主でも |
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| 1079 | 世の為人の為じやない 自分の為 媽の為 ガキの為 瓢 箪 働くだけなんだ ヘナチヨコ野郎は |
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| 1080 | 先生様にチツトンベーお聞き申しやスが ワツチントコの 凹 丸 田吾作野郎が ヘナチヨコ野郎でガンスカ (ハー ソーでガンすよ) |
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| 1081 | 大晦日を押入で暮す ヘナチヨコ野郎 赤ン坊 | |
| 1082 | お礼の時欠伸をする奴 屁をたれる奴 鼻クソホヂる奴 丸 々 即ち ヘナチヨコ野郎 |
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| 1083 | 顔形は ヘナチヨコ野郎の亭主でも 万女子 心はナカナカもつて ホヽヽヽ |
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| 1084 | 練炭の穴へ一つ一つ葉書を丸めて 立てて火をおこしている ニキビ ヘナチヨコ野郎 |
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| 1085 | 火吹竹を逆様に吹いて考えてる ヘナチヨコ野郎 ニキビ | |
| 1086 | 足下から火がつき 寝耳に水でビックリしている 芋 公 ヘナチヨコ野郎 |
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| 1087 | 女房の毛虱を半日がかりでとつている ヘナチヨコ野郎 凸 丸 | |
| 1088 | 犬の交尾(つがっ)ているのを見ている 山のような 凸 丸 ヘナチヨコ野郎 |
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| 1089 | ヘンナ処へチヨコチヨコ通う奴これ即ち ヘナチヨコ野郎 阿 呆 | |
| 1090 | ヘヽヽヽナンでもいゝからチヨツとコツチへお出でーと 阿 呆 女の袖を引く奴これも ヘナチヨコ野郎 |
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| 1091 | ヘみたいナ チヨつとしたコとにも大騒ぎする奴 阿 呆 コイツも へナチヨコ野郎 |
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| 1092 | いやらしいヘンナチヨツトした トコロを気にする奴も 阿 呆 やつぱり ヘナチヨコ野郎 |
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| 1093 | 此頃の人間は利巧そうな馬鹿で 働くようで 眠つてるようで 阿 呆 正直で嘘つきで 真面目くさつて大法螺を吹き 大胆でビクビクし 助平のクセに堅い事をぬかし 人の物は自分のもの 自分の物はヤツパリ自分の物 情深くて薄情で 金を借倒しては舌を出し ケチケチしてはパツパと使い シミツタれで気前がよく 一生懸命に信仰しては罪を重ね 賞めてはケナシ 肚の中で感心しながら口では悪く言やがる、 ソリ反るかと思やペコペコし 生きていて屍同然 欲ばつては損をし 意張つては馬鹿にされ フン張つてはヘタバリ ガンバツテはツンノメリ 鼻高々と凹まされる 斯ういう奴こそ トンチキチンのトンチキ野郎のヘナチヨコ野郎だよ |
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