―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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五六七世界の建設

『光』18号、昭和24(1949)年7月16日発行

 吾らが唱える五六七(みろく)世界の実相は目下執筆中で、いずれ発表するつもりであるが、ここでは五六七世界建設までの過程について述べようとするのである、もちろん、五六七世界とはキリストの予言した天国であり、釈迦の唱えたいわゆる弥動の世である、しかるにこの理想世界たる五六七世界は、今や呱々(ここ)の声を挙げんとする寸前に迫っている事である。
 私の霊感によれば今霊界においては既に五六七世界の土台は築かれたのである、これによって近き将来いとも現実的にこの地上に出現する事は疑う余地はないのであるから、何と有難い時節に生れたものではないか、実に吾々は歓喜に堪えないのである。
 それについて知らねばならない事はたとえば今ここに一大豪壮な建築物を建造せんとする場合、今までその土地に存在していた古い家は破壊されなければならない、もちろんその古材の中から、新建築に役立つものを選び、洗い浄め削り治して使用する事はもちろんであって、今や五六七世界建設に当ってもそれと同様な事象が行われるであろう、それについて今後発生するあらゆる事態が、人間の眼からみて理屈に合わないような事や無益と思う事、破壊的の事等もあるかも知れないが、それは汚穢(おわい)の一大清掃である事を知らねばならない。しかし一切は神意の具現である以上、人間の凡眼によって、とやかく判断する事は出来ないとすれば人間たるもの、大いに謙譲となって、一切の推移に順応すべきである。
 この事を霊感によって知識し得た吾らは、常に偉大なる神意を曲解せざるよう戒意し、正しい神観をもって今後人類の経験にない、いかなる異常事や崩壊作用も、信仰に徹する者の特権として与えられたる安心立命の境地に住し、生を楽しみつつ時を待つべきである、かようなはなはだ掴みどころのない言い方も、深遠なる神の密意は現在具体的に言う事は出来ないからである。
 要するに弥勒世界実現前、当然経なければならないその過程に対処する心構えを整えるべきである。