―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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神霊放射能時代

『地上天国』4号、昭和24(1949)年5月25日発行

 近来、放射線または放射能という言葉がよく使われて来たのは周知の事実で、特に原子破壊の学理が進むにつれその傾向は著しくなりつつある。もちろんこの言葉はラジウム発見からであるが、今日においてはウラニウム・トリウム・プラ〔ロ〕トニウムのごとき漸次種類が殖えつつあり、これらの原〔元〕素が文化の発展にいかに寄与しつつあり、将来はあらゆる方面に応用せられ人類の福祉増進に役立つかは、けだし想像以上のものがあろう。
 ところが、以上のごとき鉱物性放射能より一層強力かつ優秀なる放射能を私は発見したと共に、現在盛んに応用しつつ幾多の人命を救い、感謝の的と仰がれている。私はこの放射能を名づけて神霊放射能という、そうしてこの放射能の特異性ともいうべきは、鉱物放射能と異なり、人間の人体から無限に抽出され、ある方法によって偉力を発揮し得るのである。また今一つの特異性は、その目的が正であり善であり、人類愛的でなければ効果を発揮し得られない事である。これを科学的に説明すれば、鉱物放射能よりも一層の微粒子で、密度が濃厚であり、高度の原素である。
 昔から種々の信仰による御利益なるものはいずれもこの神霊放射能の作用であって、それを御利益と唱えたのである。しかしながらそれは私が発揮しつつあるそれとは比較にならぬ程の微力で、何分あるいは何十分一に過ぎない事はもちろんであろう。
 ここで各種効果の例を挙げてみよう。あらゆる人間の病患に向かって神霊放射を行う場合、痛苦はたちまち解消し軽快に向かう事実は、本誌「おかげばなし」中にある幾多の報告によって明らかであろう。今日最も難治とされている結核も、その大半は全治されるばかりでなく、盲腸炎のごときも現代医学においては手術によって肉を切り、血液を消耗し、苦痛を与え、臓器の剔出(てきしゅつ)によって内部的不具者となったり、しかも患者自身の経済的負担はけだし軽からぬものがある。しかるにわが神霊放射能によれば数十分にして痛苦は去り、何ら臓器を毀損(きそん)する事なく、健康時と変らないまでに快癒するのである。その他治癒最も困難とされている精神病も小児麻痺も盲目者も全治された例は少なくないのである。それのみではない。精神的欠陥例えば不良児、悪癖者、ヒステリー等も、常人にまで快癒する実例も少なくないのである。
 神霊放射の効果はひとり病患のみでない、農業に対しても顕著なものがある。例えば、虫害、風水害等によって枯死に垂(なんな)んとしたものを復活したり、土壌が改善される事等によって、稲作等は神霊放射したものとせざるものとの成果は格段の相違のある事も「おかげばなし」中に掲載されてある。その他火災の場合今や自家に燃え移らんとする間一髪、神霊放射によって風向きが変り、類焼を免れた実例も少なからず報告されている。また今や侵入せんとする盗賊に対し、戸内より神霊放射をする時、盗賊は急遽逃走したという例もよく聞くところである。その他各般にわたっての奇蹟は枚挙にいとまないのである。
 しかしながら、この神霊放射なるものは、選ばれたる特殊人に限られるように、一般は想うであろうが決してそうではない。いかなる人間といえどもこの方法を学ぶ事によってすこぶる簡単に実行し得らるるのである。ただ人によって放射能力の強弱はあるが、全然無という事は一人もない。以上によって神霊放射能がいかなるものであるかの概念は得たであろう。また別に機会を得て理論と科学的説明によって徹底しようと思うのである。