―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

help

大千世界と三千世界

『栄光』85号、昭和26(1951)年1月1日発行

 本教祝詞の中に、大千三千世界という文字があるが、これが仏教では三千大千世界というように、反対であるのはどういう訳かと、不思議がる人がよくあるから、ここに解説してみよう。
 まず、この両者の意味を、文字によって解いてみるが、大千世界の大の字は、宇宙全体という意味である。大とは無限大の意味で、言い換えれば全大宇宙という事である。また大という字は、五つの棒でなっているから、五は火であり、火は霊であり、霊は天であるから天は上になるのが本当である。ところが三千世界とは、神幽現の三界を指したもので、大千世界が、三つに分離されたそれを称えたものであり、三の数は水であって、水は体である。また文字から言っても、大は一の字を引くから始めであり、三は二の次に位するものであるから、下に付くのが本当である。また霊主体従の法則によっても、霊は上に体は下になるべきである。また今一つの解釈は、大は火であり三は水であるとしたら、大は昼の世界であり三は夜の世界となるから、仏教は夜で月の教えとしたら、今までは夜の世界であったから、三が上になっていてよかったのである。本教は昼の世界の宗教である以上、大千三千世界というのが本当である。